美容製品も「店頭で 量り売り 」の時代へ:ザボディショップ、ディプティックの事例

DIGIDAY

美容製品の大容量のリフィルを店頭で提供するのは、ゼロウェイストを謳うニッチな量り売りの店では長らく行われてきたことだ。そしていま、このやり方が国際的な大手ブランドのあいだで広まりつつある。

4月7日、ザボディショップ(The Body Shop)はアースマンス(Earth Month)を記念して、2022年末までにバルクリフィルプログラムを世界の約900店舗に拡大すると発表した。ロクシタン(L’Occitane)やディプティック(Diptyque)など、ほかの大手ブランドも店頭でのバルクリフィルを実験的に行っている。大手ブランドは、近年全米に次々と誕生している小規模な独立系の量り売りショップの先例にならっている。

「(店頭での詰め替えの)導入率を見たところ、全体的に前向きに受け止めている。標準(的なパッケージ)と比較して、売上全体に占めるリフィルの普及率の割合に、引き続き注目していく。また、このプログラムとその利用可能性への理解が深まるにつれて普及率がこのまま上昇すると期待している」と、ザボディショップの北米マーケティングおよび企業責任バイスプレジデントのヒラリー・ロイド氏は述べている。

大手ブランドも店頭での量り売りの実験を開始

リフィラリー(Refillery)、コモングッド(Common Good)、サステインLA(Sustain LA)、ウェルリフィル(The Well Refill)といった量り売りショップは、店頭でのリフィルモデルを早くから採用しており、石鹸やシャンプーからスキンケア製品まで、顧客がそれぞれの会社の瓶に詰めることができるよう、あらゆる製品のバルク容器を提供している。ベイシング・カルチャー(Bathing Culture)、ドクターブロナー(Dr. Bronner’s)、ミャウミャウツイート(Meow Meow Tweet)といったインディーズブランドも、量り売りショップ向けに製品をバルクで製造しているブランドだ。

国際的な大手ブランドも、過去4年のあいだにこの方法を試し始めている。ザボディショップは、70年代に創業者が初期の店舗に設置した量り売りモデルに着想を得て、2019年9月、ロンドンのボンドストリートの店舗で初のリフィルステーションのテストを開始した。

同ブランドが店舗にリフィルを導入して以来、「圧倒的にプラスの」結果が得られていると、ロイド氏は述べている。「いくつかの店舗では、顧客の50%が通常のパッケージではなくリフィルを選んでいる」。

ディプティックは昨年、ニューヨークのプリンスストリートにあるブティックでフレグランスのリフィルステーションのテストを開始し、ロクシタンは2019年にプロヴァンス、ドイツ、スペインでシャワージェルのリフィルステーションの実験をスタートさせた。

量り売りには課題もあるが、若い消費者に人気

ブランドにとって、量り売りの拡大における物流面での最大の課題は、スペースに制限があることと規制上の要件だ。ザボディショップは、より小規模な店舗向けにリフィル用の車輪付きカートを制作して、世界的に展開するべく各国の規制に取り組んでいる。

「今後5年間、リフィルを展開するという野望を推進していくなかで、引き続きこうしたいくつもの課題を克服していきたいと思っている」とロイド氏は言う。現在、同ブランドは51カ国の499店舗にリフィルステーションを設置しており、2022年末までにさらに400店舗にリフィルステーションを導入する予定だ。

ディプティックは今年後半に、さらに多くの店舗でリフィルを展開する計画である。一方、ロクシタンは、2021年に米国、カナダ、アジアの一部の店舗でリフィルバーを拡大している。

ロイド氏によると、消費者に広く普及する上で利便性が最大の障壁となっているものの、若い層の買い物客が普及率を押し上げている。リフィルモデルは、環境を意識しているZ世代やミレニアル世代の若い消費者のあいだでとくに人気がある。ザボディショップでは、このシステムが20歳から29歳の年齢層でもっとも広く利用されていることがわかった。

今後はパッケージのゼロウェイスト企業が支援されると想定

またロイド氏いわく、同ブランドは現在、ウェブサイトでのリフィル可能なオプションの導入を検討中であり、2023年のローンチを目指している。クローズドループのオンラインのリフィルモデルは、ループ(Loop)のようにコングロマリットがスポンサーとなっているイニシアチブや、ユニ(Uni)のようなインディーズのスタートアップのおかげで、店頭に代わるデジタルな選択肢となっている。これらのサイトを通じて、ユーザーは使い捨てのプラスチックを捨てるのではなく、金属製のボトルをブランドに送り返して詰め替えてもらう。

「気候変動が地球の未来が直面する最大のリスクとなっており、顧客の購買力が引き続き私たちのような企業を支援する方向へとシフトしていくことを想定している。ザボディショップはネットゼロ(温室効果ガス排出ゼロ)でネイチャーポジティブな世界に向かって活発にアクションを起こしていくために、循環型モデルと再生可能エネルギーを採用し、パッケージにおいてゼロウェイストとなることを確約する」とロイド氏は述べている。

[原文:In-store beauty refills are finally going mainstream]

LIZ FLORA(翻訳:Maya Kishida、編集:黒田千聖)

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