海外移住者はマイナンバーカードが失効、旅券の新規申請は結局窓口へ

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なお残る「デジタル化」への大課題

こんにちは、音喜多駿(日本維新の会 参議院議員 / 東京都選出)です。

「会議に出たくない」 デジタル庁、民間出身職員が反発
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA119T20R10C22A4000000/

日経新聞で始まった連載「もがくデジタル庁」が、霞が関のデジタル化における苦闘を報じています。

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責任が曖昧であるがゆえ、膨大な会議や資料が必要になる「縦割り」「根回し」文化…。本来「デジタル化」ともっとも遠いところにある概念に未だに振り回される霞が関・中央省庁の実態がまざまざとあぶり出されます。

ここを技術と政治力で突破していかなければならないわけですが、ちょうど本日の参議院・外交防衛委員会でも旅券申請のデジタル化申請に伴う質疑が行われました。

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本改正により、パスポート更新がオンラインで完結できるようになったことは一歩前進でありますが、旅券や外務省に関わることだけでもデジタル化の課題は多数あります。

・更新はデジタル化されたが、新規申請は結局、戸籍謄抄本を窓口で提出する必要があるためにオンライン完結しない
・海外に移住すると住民票が失効するためにマイナンバーカードも失効する
・新パスポートは住所記載がないため、海外在住者は運転免許証など別の身分証が必要になる上に、その運転免許証も更新手続きのためには帰国が必要
・旅券申請はデジタル化されても、類似の「船員手帳」はオンライン化されない

今回の質疑で取り上げただけでも、これだけの未解決案件がズラリ。民間感覚でいうと

「え、そんなこともできないの?!」

ということばかりでしょう。特に前者2つは、マイナンバーが戸籍と完全に紐づいていない設計になっているために生じる二度手間です。

保守派はマイナンバーの侵食により戸籍制度が変容することを恐れ、左派は「国民総背番号制だ、国家管理体制だ!」とマイナンバーで戸籍情報まで一元管理されることを拒む。

という政治的反発により、せっかく導入されたマイナンバー制度は手足を縛られた状態で、結局各種の手続きに戸籍謄抄本が必要だったり海外ではマイナンバーカードが失効されたりします。

これらもおおむね令和6年度までには解消見込みとのことですが(マイナンバー失効問題は2年以内)、それでもまだ年単位の時間を要するわけで。

マイナンバーについては、結局銀行口座との完全紐づけも義務付けることができなかったわけですが、どこまでマイナンバーを活用するかを今いちど抜本的に見直すことは、大デジタル時代に避けて通れない政治課題といえるでしょう。

外交防衛委員会なので主に外務省にかかわるテーマを本日の質疑では取り上げましたが、今後も様々な角度からデジタル化への課題を提起し、解決に向けた建設的な提案を続けてまいります。

それでは、また明日。


編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会)のブログ2022年4月19日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。

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