Appleのプライバシー保護は自社製品の性能を制限するほど徹底されている、その実例とは?

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Appleはウェブブラウザ「Safari」にトラッキング防止機能を搭載したりApp Storeにデータの用途を明記したりと、ユーザーのプライバシー保護に力を注いでいます。Appleの厳しいプライバシー保護指針により、同社の自社製品ですら一部機能が制限されているとのことで、その事例を海外メディアのThe Informationがまとめています。

Apple’s Privacy Rules Leave Its Engineers in the Dark — The Information
https://www.theinformation.com/articles/apples-privacy-rules-leave-its-engineers-in-the-dark

iPhoneやiPadのユーザーなら、アプリのインストール時に以下のような「追跡の可否を選択する画面」が表示された経験があるはず。この表示は「ユーザーの情報の取り扱い方法をユーザー自身に決めさせる」というAppleによるプライバシー保護の取り組みの一環です。


Appleはユーザーのプライバシー保護を重視しており、上記のようなプライバシー保護の仕組みを製品の中に数多く導入しています。また、Apple純正アプリのインストール時にも上記の「追跡の可否を選択する画面」に似た画面が表示されるなど、Appleによるプライバシー保護指針はサードパーティー業者の開発するアプリだけでなくApple自身が開発するアプリやOSにも適用されています。

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The Informationによると、Appleのプライバシー保護対策を担当するスタッフは、開発部門の上級スタッフよりも大きな権限を持っているとのこと。このため、開発中の新機能がプライバシー保護指針に則さない場合、プライバシー保護担当スタッフは新機能の搭載を見送ることができます。例えば、2015年に開発されていた「Siriに話しかけて買い物する機能」は「Siriが収集した音声情報とApple IDが紐付くことの回避策が見つからない」という理由から実装が中止されました。

Appleのプライバシー保護対策によって、Apple製品の性能がライバル製品よりも劣ってしまう場合もあります。例えば、動画ストリーミングサービス「Apple TV+」ではプライバシー保護指針に則してユーザーから収集する情報を最小限に抑えているため、Netflixなどのライバルサービスと比べて「ユーザー好みのムービーをオススメする機能」の精度が低くなっています。

また、Apple純正地図アプリ「マップ」には「Google マップ」などのライバルサービスと同様にルート検索機能が搭載されていますが、ライバルサービスと異なり「出発地点と目的地点」などの情報を収集していないため、ルート検索機能の精度が低くなっているとも指摘されています。


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