ヘリコプターを使って打ち上げ後の落下するロケットブースターを空中でキャッチするという試み

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宇宙船の打ち上げに使用されたロケットブースターを「ヘリコプターを使って空中でキャッチする」という試みを、米国電気電子学会(IEEE)が運営するIEEE Spectrumが取り上げています。

A Helicopter Will Try to Catch a Rocket Booster in Midair – IEEE Spectrum
https://spectrum.ieee.org/rocket-booster-rocket-lab

ニュージーランドの海岸沿いには2つのロケット発射台が存在します。そのうちのひとつはアメリカのバージニア州に拠点を置くRocket Labの、小型衛星を宇宙まで運ぶための再利用可能ロケットである「Electron」を打ち上げるための専用発射台です。地球の重力は非常に強力であるため、宇宙船を宇宙へ運ぶためのロケットの3分の2は大気圏を離脱するために使用されます。そして、従来のロケットは打ち上げからわずか3分程度で二度と使用することができないゴミになってしまいます。

このロケットを再利用可能にすることは、多くの資金および資源の節約につながるため、宇宙開発の初期から航空宇宙エンジニアにとっての夢でした。再利用可能ロケットはすでに実現しているテクノロジーで、イーロン・マスクの宇宙開発企業であるSpaceXが開発したFalcon 9が、2016年に打ち上げ後のロケットの回収に成功。

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その後、Falcon 9の利用は普及しており、2020年にはアメリカ初の民間宇宙船の打ち上げにも使用されています。

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Falcon 9が自身のブースターを使ってロケットが自身で地上に戻ってくるのに対して、Rocket Labは別のアプローチでロケットの回収を試みます。Rocket Labは現地時間の2022年4月22日にElectronを用いた打ち上げを計画しており、これには34基の商用衛星が搭載される予定です。打ち上げに使用されるロケットブースターのElectronは多段式ロケットとなっており、1段目のエンジンは通常、太平洋に落下することとなるのですが、この1段目のエンジンをヘリコプターを使って空中で回収する計画となっています。

Rocket Labのエンジニアであるモーガン・バイリー氏は、ヘリコプターを使ってロケットを空中で回収する試みについて「非常に複雑なことで、ヘリコプターを正確に正しい場所に配置する必要があります。エンジンの落下位置を正確に予測する必要があり、落下するエンジンを回収できるように十分減速させる必要もあります」と述べました。バイリー氏によると、このヘリコプターを使ってエンジンを回収する試みに向け、さまざまなテクノロジーを個別に検証してきたそうで、これらを組み合わせた挑戦が「今回の回収」となる模様。

Electronは全長18メートルの打ち上げロケットで、1段目のエンジンの長さは約12メートル。このElectronの打ち上げは現地時間の2022年4月19日にニュージーランドのマヒア半島で行われます。Electronは地上から520kmの高さまで飛行する予定ですが、1段目のエンジンは高度70kmの地点で分離され、海上へと落下していきます。回収を担当するのは専用のカスタマイズが施されたシコルスキー S-92というヘリコプター。なお、シコルスキー S-92は石油やガスの輸送や捜索救助活動などで活躍する大型のツインエンジンヘリコプターです。

This helicopter? We’re going to use it to pluck Electron’s first stage from the sky as it returns to Earth under a parachute during our next mission, a commercial rideshare launch scheduled for lift-off in the second half of April.????????????

Full details: https://t.co/RcRJMigiVz pic.twitter.com/Hv9987DSTo

— Rocket Lab (@RocketLab)


すでにRocket Labは宇宙開発企業としての地位を確立しており、Electronはこれまで26基も販売されています。Rocket Labによると、同社はこれまで112基の人工衛星を打ち上げており、その多くは比較的安価な小型の人工衛星です。宇宙開発企業に資金提供を行うSpace Capitalのチャド・アンダーソンCEOも、「現在、人工衛星を衛星軌道上に運んでいるのはSpaceXとRocket Labの2社のみです」と述べています。

Electronは特別な遮熱処理を施しているため、時速8300kmの速さで落下するエンジンを保護することが可能。なお、地上へと落下するエンジンは空力加熱により最大2400度にも到達するとのこと。高度13kmの地点でElectronの1段目エンジンに搭載されている小型のパラシュートが展開し、高度6kmの地点でメインのパラシュートも開きます。2つのパラシュートによりエンジンは大幅に減速し、落下速度は時速36kmまで低下します。

シコルスキー S-92はパラシュート部分にカギ縄を引っかけることでエンジンを回収します。


再利用可能ロケットのパーツが海に落ちれば、再利用できるようにするにはエンジンを清掃する必要があり、これには費用と時間がかかります。そのため、エンジンを空中で回収することができれば、改修にかかる時間と費用を節約することが可能となり、より実現可能な再利用可能ロケットの実現につながるわけです。

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