衛星通信サービス「Starlink」がフランスで通信ライセンスをはく奪される

GIGAZINE


by Steve Jurvetson

イーロン・マスク氏がCEOを務める民間宇宙企業SpaceXは、人工衛星を用いたインターネット通信サービス「Starlink」を展開しています。Starlinkはアンテナを設置するだけで世界中どこでもインターネットを利用可能という特徴を持っており、ウクライナにおけるインターネット通信環境の確保などに役立っています。そんなStarlinkのフランスにおける通信ライセンスがフランス国務院によって取り消されました。

Arcep launches a public consultation on the authorisation to use frequencies requested by Starlink
(PDFファイル)https://en.arcep.fr/fileadmin/cru-1648459125/user_upload/18-22-english-version.pdf

French court revokes SpaceX’s Starlink internet license, citing monopolization concerns | Space
https://www.space.com/starlink-french-court-revokes-license-monopolization

Starlinkは衛星軌道上を周回する数千台の人工衛星を利用して地球上のあらゆる地点でインターネットを利用可能とするサービスです。Starlinkを利用するには専用の受信機を設置するだけでよく、インフラストラクチャーの整っていない地域でもインターネットを利用できることから大きく注目されており、ロシアによる軍事侵攻を受けているウクライナでもStarlinkが通信環境の確保に利用されています。

一方で、Starlinkは使用する人工衛星の多さから「スペースデブリが増加する」「人工衛星が明るすぎて天体観測に支障が出る」といった問題点も指摘されています。

「SpaceXの人工衛星が明るすぎて宇宙研究を破壊してしまう」という懸念 – GIGAZINE


上記のような問題点を指摘されながらもStarlinkはアメリカやヨーロッパでサービスのベータ提供を開始しており、フランスでも2021年5月からベータテストが始まっていました。しかし、2022年4月5日にフランス国務院は「SpaceXの戦略によってStarlinkは市場の経済的バランスを崩壊させる可能性があります」と述べ、SpaceXの電波通信ライセンスを取消しました。また、フランスで電波通信規制を担当するArcepがSpaceXにライセンスを与える際に外部の意見を十分に聞かなかったとも指摘しています。

国務院の決定に対してArcepは「Starlinkの事業が市場に重大な影響を及ぼすことはなく、エンドユーザーに影響を与えることもありません」「Starlinkが使用している周波数帯は他の衛星通信サービスも利用可能です」と述べ、SpaceXのStarlinkは独占状態にないと反論しています。加えて、ArcepはSpaceXへのライセンス付与以前から他の衛星通信サービスがフランス国内で数万人に利用されていたとも主張しています。

国務院は、Arcepに対して2022年5月9日までにSpaceXの申請を再検討するように求めています。電波通信ライセンスについて詳しい情報筋は宇宙関連メディアのSpaceに対して「おそらくArcepはSpaceXに再度ライセンスを与えますが、追加の条件が加わる可能性があります」と述べています。

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