死後もメタバースで「生き続ける」モード、チェコのVR新興企業が開発中

CNET Japan

 このような話が出てくるのは時間の問題だった。チェコの仮想現実(VR)開発企業Somnium Spaceが、メタバース空間で永遠に生き続けられるようにする技術の一端を明らかにしている。

Somnium Space
提供:Somnium Space

 Somnium Spaceの最高経営責任者(CEO)Artur Sychov氏は、数年前に父親をがんで亡くしてから、死後も故人の人格を保存する方法を探り始めた。Somnium Spaceが開発中の「Live Forever」(永遠に生きる)モードはその成果だ。ユーザーは自分の容姿や声、さらに人格まで模倣したデジタルアバターとして「生まれ変わる」ことができる。

 このような目的を実現するため、Somnium Spaceは会員の許可を得て、会話や動作、顔の表情など、膨大な量の個人のデータを記録しようとしている。

 Sychov氏はVICEの取材に対し、「私が死んだとしても、生前にこうしたデータを集めていたとしたら、(中略)私の子どもたちが訪れて、私の動作、私の声を持つ私のアバターと会話できる」と説明した。「その人と会って、話をしている間、最初の10分ほどは、相手が実は人工知能(AI)であることに気づかないかもしれない。それを目指している」(Sychov氏)

 Somnium Spaceはイーサリアムブロックチェーン上に構築され、「VIVE」やMeta(旧Oculus)などのVRヘッドセットからアクセスできる。ユーザーはデジタルの土地を購入し、家や財産、その他のNFT(非代替性トークン)を購入、建設、インポートできるようだ。Somnium Spaceをブロックチェーンにリンクさせることで、ビジネスモデルが「完全に透明で理解しやすい」ものになっているとSychov氏はツイートしている

 Somnium Spaceは、関心を寄せるユーザーのスキャンを2022年中に開始し、2023年には最初のLive Foreverアバターを展開する計画だ。

 まず、ユーザーが個々のSomnium Space区画(パーセル)で発する音や動作のみを収集するという。いずれ収集するデータの規模は、スマートフォンの利用時に収集されているデータの100倍から300倍になる可能性があるとSychov氏はVICEに説明した。

 同氏はさらに、AIの進化に伴い、死後も長きにわたって故人のサイバー版の分身が本物に近づくよう改善することが可能だと述べた。この取り組みへの参加者はいつでも記録を止めたり、Somnium Spaceに自分のデータを完全に削除するよう依頼したりすることができる。

 Somnium Spaceは「Facebook」を運営するMeta PlatformsやAppleなどのIT大手のように個人情報を広告主に販売する事業は行っていないため、ユーザーは監視されることを心配する必要はないとSychov氏は言う。

 同氏はViceに対し、「当社は利用者の名前を知りたいと思っていない」と話した。「あなたが誰であるかということは問わない」(Sychov氏)

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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