CTV 、OTTに時間と予算をつぎ込むブランドたち:「本物のパフォーマンスチャネルとして活用したい」

DIGIDAY

広告主は、Huluやロク(Roku)などの広告付きストリーミングサービスの画面に希望を見いだしているようだ。

デジタル広告業界は、最近のデータプライバシー規制のおかげで競争が激化し、コストがかかり、測定が困難になっている。一方でユーザーの従来型テレビ離れは続いており、ストリーミングに費やす時間が増えている。こうした変化のすべてが、消費者に広告を見てもらうための別の方法をブランドに模索させている。

各ブランドの移行

今年、アウトドアシューズブランドのメレル(Merrell)は、広告費の半分以上をデジタル動画に割り当て、昨年の5%から増加したと述べた。この増加に伴い、同社はロク、プルートTV(Pluto TV)、スリングTV(Sling TV)、ディレクトTV(DirectTV)、Huluなどの広告対応型ストリーミングプラットフォームで3つのキャンペーンを展開している。

「これは私たちにとって今年最も重要な投資だ」と、メレルのデジタルマーケティング担当シニアディレクターのジェーン・スミス氏は以前DIGIDAYに語っている。

保険スタートアップのクイリティ(Quility)についても、同様のことが起きている。同社は今年、Huluやテレビ局のデジタルサービス、ABCのローカルチャネル、A+E、BBCアメリカ(BBC America)、CBS、CNBCなどのストリーミングプラットフォームを横断して、CTVやOTTのスポット広告に、より多くの広告資金を投入するために、ブランド認知度予算を2倍にしたのだ。ドクターティール(Dr.Teal)アドアーミー(Adore Me)シャッターフライ(Shutterfly)などのブランドも昨年、同様の措置を取っており、人々がコンテンツをストリーミングし続けるなかで、メディアミックスにデジタル動画を追加している。

「トラッキングが可能で、すべてプログラマティックで、ちゃんと成果が得られる」とエージェンシーのロージーラブズ(Rosie Labs)でCEOを務めるデーヴィッド・ソング氏は語った。「よりそこに広告費を投入しない理由はない」。

メディア関係者によると、この移行は2020年4月、AppleがiOS 14.5の一部としてApp Tracking Transparency(ATT)をリリースしたことに始まるという。その結果、広告主はソーシャルメディア広告の測定の問題に直面し、代わりにメディアバイヤーごとにCTVとOTTに広告費をつぎ込み始めた。たとえば昨年、ロージーラブズのクライアントは広告費の30%をFacebookに費やした。具体的な数字は明かさなかったが、ソング氏によると、その支出は予算全体の約10〜15%に下がったという。

もっとも成長したチャネルに

調査会社のeマーケター(eMarketer)によると、CTVは昨年デジタル広告でもっとも急成長したチャネルのひとつだという。米国では、2025年の同予測期間末までには投資額が130億ドル(約1兆6103億円)超に達し、倍増すると見込まれている。デジタル広告分析プラットフォームのパスマティックス(Pathmatics)の最近のレポートによると、今年は広告主たちがOTTに毎月費やしている額は、少なくとも10億ドル(約1238億円)となっている。(パスマティックスの広告インテリジェンスデータ機能は昨年11月に開始されたため、これらの数字が前年、どれほどだったかは不明だ)。

メディアバイヤーによると、トゥビ(Tubi)、プルート、Hulu、ディスカバリー+(Discovery+)などのストリーミングサービスの現在のCPMは、10ドル(約1240円)台半ばから20ドル(約2450円)規模で、一方、HBO MAX(HBO Max)やピーコック(Peacock)のようなストリーミングプラットフォームのCPMは、40ドル(約4900円)半ばに近い金額だという。

昨年、ロージーラブズのソング氏は、クライアントたちが広告予算の5%から10%をCTVとOTTに費やしたと推定している。ソング氏によると、この数字はその後増加し、25%から30%に達したという。具体的な数値は明らかにしなかった。ロージーラブズは、コカコーラ(Coca-Cola)、エッグライフフード(Egglife foods)、オービッツ(Orbitz)などの顧客に起用されている。

クリエイティブ面での変化

クリエイティブ面でも、似たようなことが起きていると、動画制作プラットフォームのクイックフレーム(QuickFrame by MNTN)で西海岸パートナーシップ担当ディレクターを務めるフィル・パトリアーカ氏は言う。同氏によると、最近このプラットフォームには、CTV・OTTチャネル専用に作られたオーディエンスをターゲットにしたクリエイティブのリクエストが殺到している。具体的な数字は明らかにしなかった。

同氏は米DIGIDAYのメー取材でこう語っている。「広告主たちは、CTV・OTTに時間とクリエイティブ関連の予算をつぎ込み、このチャネルを本物のパフォーマンスチャネルとして活用しようとしている」。

ヒルホリデー(Hill Holliday)で投資部門シニアバイスプレジデントを務めるエリカ・スペリー氏は、広告主に対して、CTV・OTTには画一的なアプローチは存在しないため、この分野が成長し、新たなプレーヤーが参入してくるなかで、何が自分たちに適しているのかを見つけるためにテストを続けるよう警告している。

「テストを続けること。昨日うまくいかなかったからといって、今後もうまくいかないとは限らない」と彼女は述べた。

[原文:‘An explosion in the channel’: Why marketers are giving digital video a bigger piece of the advertising pie

Kimeko McCoy(翻訳:塚本 紺、編集:黒田千聖)

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