ロシア軍の無線傍受から「ブチャの市民虐殺はロシア軍の計画的な戦略」だったことが暴かれたとの報道

GIGAZINE
2022年04月08日 21時00分
メモ


by Prachatai

ドイツのニュースサイトのDER SPIEGELが2022年4月7日に、「ウクライナ・キーウ近郊の町ブチャで行われた残虐行為との関連性が高いロシア軍の無線通信をドイツ当局が入手した」と報じました。

Possible Evidence of Russian Atrocities: German Intelligence Intercepts Radio Traffic Discussing the Murder of Civilians in Bucha – DER SPIEGEL
https://www.spiegel.de/international/germany/possible-evidence-of-russian-atrocities-german-intelligence-intercepts-radio-traffic-discussing-the-murder-of-civilians-in-bucha-a-0a191c96-634f-4d07-8c5c-c4a772315b0d

2022年2月にロシア軍がウクライナの首都のキーウの包囲を開始して以来、約1カ月間にわたりロシア軍により占領されていたブチャでは、ウクライナ側による奪還後におびただしい市民の遺体が発見されました。両手両足を縛られ切断された子どもの遺体や、耳の切断や歯を抜くといった拷問が行われた形跡のある遺体が見つかったこの事件に対し、ロシア側は「ロシア軍撤退後にブチャを占領したウクライナ軍によるものである」と説明しています。

しかし、高精度な人工衛星を用いた検証では、路上などに放置されていた市民の遺体は、ロシア軍が制圧していた時期からそこにあったものだと結論づけられました。

ロシア軍の残虐行為を暴いた人工衛星の性能はどれほどなのか? – GIGAZINE


この件について調査したドイツ連邦情報局(BND)は4月6日に、ドイツの国会議員らに調査結果を報告しました。DER SPIEGELが入手した情報によると、BNDが傍受したロシア軍の無線通信には、ロシア軍の兵士がブチャの市民を虐殺したことを裏付けるような内容が含まれていたとのこと。

無線通信は、あくまでキーウ北部で傍受されたものなので、ブチャでの具体的な殺害の証拠と結びつけるのは困難だとされていますが、DER SPIEGELは「傍受された無線通信の一部は、ブチャの幹線道路で見つかった遺体の状況と明らかに一致しています」と指摘しました。例えば、あるロシア軍兵士の無線音声は「自転車に乗った人を撃ったところだ」と他の兵士に報告するものでした。そして、DER SPIEGELが実際にブチャで撮影した虐殺現場の写真には、自転車に乗っている最中に殺害されたとおぼしき男性の写真が含まれています

BNDが傍受した会話は、ロシア軍が残虐行為を日常生活の一部のように話していたことを示唆するものでした。また、傍受された音声について詳しい情報筋によると、これらの証拠は民間人の殺害がロシアの軍事活動の基本的な要素であり、同時により大きな戦略の一部にもなっている可能性があるとのこと。つまり、市民の殺害は占領された地域の人々に恐怖を植え付け、抵抗する意志をそぐことを意図したものだったと考えられるとのことです。

by manhhai

こうした証拠は、ブチャでの残虐行為は兵士個人の暴走によるものだという臆測や、偶発的な出来事だったという言説を否定するものだとDER SPIEGELは述べました。

DER SPIEGELによると、傍受された無線通信はさらなる分析にかけられており、その中にはブチャで発生したような残虐行為が、ほかの場所でも起きていることを示唆するものもあったそうです。

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