メレルが広告予算の半分を CTV に費やす理由:「我々が予算を使う場として、重要なところだ」

DIGIDAY

アウトドア用フットウェアメーカーのメレル(Merrell)がCTV(コネクテッドTV)空間に大きく踏み出そうとしている。メレルは2022年、ターゲット層へのリーチ向上とブランド認知度アップのため、ストリーミングデバイスでの動画スポット広告により多くの費用をかける予定だ。

メレルのデジタルマーケティング担当シニアディレクター、ジェーン・スミス氏によると、41年の歴史を持つ同ブランドの広告費の半分以上が、今年はCTVの取り組みに費やされることになっており、昨年の5%から増加するという(正確な数値は不明)。

「これは、2022年に我々が行う最も重要な投資だ」とスミス氏は言い、メレルが昨年からファネル上部での、ブランド認知のための戦術に多くの広告費を費やしていることを補足した。多くの企業と同様、これは、買い物客がストリーミングコンテンツや他のデジタル空間でより多くの時間を過ごすようになるなかで、彼らの前に立ち続けるための動きだ。

CTVへの投資がもたらすもの

現在メレルは、ロク(Roku)、プルートTV(Pluto TV)、スリングTV(Sling TV)、ダイレクトTV(DirectTV)、Hulu(フールー)などのストリーミングプラットフォームで、女性消費者をターゲットにしたキャンペーンを含む、3つのキャンペーンを展開している。

オーディエンスの増加に加えて、CTVのターゲティングと測定機能により、メレルは「どのプラットフォームで何分間表示されたか、その後の顧客のカスタマージャーニーがどこに行ったか」まで詳細レベルのレポートを作成できるようになった、とスミス氏は述べる。ターゲティングと測定の機能が向上したことで、同ブランドは今年、CTVにより資金を投じたいと考えるようになった。

CTVの取り組みは、2021年春に少額の予算で始まり、その後、四半期ごとに着実に増強され、メレルの広告費の半分に達するまでになった。スミス氏によると、今年いっぱいは毎月、CTVで何らかの広告を展開する予定だという。

「これは、組織の他のメンバーに(CTVの利点を)売り込むための実験だった」とスミス氏はいう。「CTVは、我々が予算を使う場として本当に重要なところだ」。

このところのCTVへの投資のおかげで、メレルは、CTVのキャンペーン広告で紹介されたふたつの靴のスタイルで、ブランドサイトにおいて前年比2桁の伸びを記録したとスミス氏は報告する(メレルに詳細を問い合わせたが、記事公開までに返答はなかった)。

追随するブランドたち

カンター(Kantar)によれば、メレルは昨年、メディアに280万ドル(約3億4670万円)以上を費やしたという。この金額は2020年の240万ドル(約2億9700万円)から増えている。なお、カンターが追跡していないため、この数字にはソーシャルへの支出は含まれていない。

CTVへの投資を増やしているのはメレルだけではない。ティールズ(Dr Teal’s)アドア・ミー(Adore Me)ビビッド・シーツ(Vivid Seats)など、最近の広告主は、メディアミックスの強化と多様化のためにストリーミングとデジタルビデオの活用に注目している。イーマーケター(eMarketer)によると、2021年の時点で、CTVはデジタル広告で最も急成長しているチャネルに数えられている。米国におけるCTVへの投資額は134億1000万ドル(約1兆6600億円)に達し、予測期間終了の2025年までに倍増すると予想されている。

広告エージェンシー、ダガ(Dagger)のメディア・スーパーバイザーを務めるフィル・ルウィッキ氏によると、テクノロジーの進歩によりメディアチャネルのターゲティング機能が向上すれば、それは、今日のメディア戦略にとってますます貴重な存在になるという。

「アウトドア愛好家や特定のタイプの番組を視聴している人など、特定のオーディエンスにリーチするマーケターの能力が、従来のTV番組よりもはるかに優れている」と、ルウィッキ氏は電子メールに書いている。また、CTVとOTTをソーシャルやオンライン動画戦略と組み合わせることで、ブランドや製品の認知度を全体的に高めることができるともいう。

「テストすることは重要だ」

ルウィッキ氏はまた、メレルにとっては、関連性の高い空間やチャネルで広告を配信することで、新しい顧客に製品を紹介するチャンスになると説明する。スミス氏とメレルのマーケティングチームにとって、ストリーミング広告は画期的なものであり、効果が証明される限り、ブランドは継続的に投資していくだろう。

スミス氏はこう語る、「我々はまだテスト中で、常にテストしている。だが、我々にとっても、多くの人にとっても、手を動かして、ある特定の空間を掘り下げ、テストすることは重要なことだ」。

[原文:‘The most significant investment for us this year’: Why Merrell footwear is dedicating half of its ad spend to digital video

Kimeko McCoy(翻訳:藤原聡美/ガリレオ、編集:猿渡さとみ)

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