Googleショッピング、新分析ツールで出品者メリット向上へ

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Googleショッピング(Google Shopping)は、出品者によるリスティングの業績向上を支援することを目的とした、数多くの新しいアップデートとツールの運用開始を、3月25日に発表した。

同社は新しいコンバージョン測定ツール、価格インサイトツール、配送と返品の概要ページを公開。これらはすべて、出品者に対してリスティングの影響と、提供商品の改善方法を通知するように設計されている。さらにGoogleは、今後数カ月に新しいショッピングエクスペリエンススコアカード(Shopping Experience Scorecard)プログラムをリリースする。これによって、特定の基準を満たすブランドは「認定ストア(Trusted Store)」バッジを獲得できる。これらの新機能はすべて無償で利用できる。

巨大テック企業であるGoogleは、2019年に自社のマーケットプレイスをGoogleショッピングというブランドに変更してから、消費者のショッピングジャーニーでさらに大きな役割を果たすべく、より多くの出品者を引き寄せるために、数多くの機能を追加してきた。同社は9月に自社の検索タブの外観を刷新し、インターフェイスにいくつかの更新を行った。Googleは昨年、ウーコマース(WooCommerce)、ゴーダディ(GoDaddy)、スクエア(Square)を使用しているブランドの商品が、検索結果に自動的に表示されるようにすると発表した。

出品者に好ましいプラットフォームへ

Googleは、出品者が無償でインサイトを得られるようにすることで、出品者がほかのオンライン競合他社から抜きん出られるようにすることを目的としている。同社はこれにより、GoogleショッピングがたとえばAmazonよりも出品者に好ましいプラットフォームになることを期待している。

例として、出品者はコンバージョン測定ツールを使用して、自社のリスティングのトラフィック、インプレッション、コンバージョン率を分析できる。Googleの新しい価格インサイトツールは、消費者が商品の購入において依然として価格をもっとも重要視していることを受けて、商品の価格設定に競合力があるかどうかを出品者がチェックするためのものだ。一方で、新しい配送と返品の概要ページは、電子メールでの告知によれば、出品者が「自社の配達範囲を一目で把握し、セットアップを最適化する」ために役立つ。

出品者は、「認定ストア」バッジの獲得でも恩恵を受けられる。このバッジは、配送時間、配送コスト、返品コスト、返品時間枠についてその出品者がGoogleの基準を満たしていることを保証するものだ。

Googleの出品者ショッピング担当バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーを務めるマット・マドリガル氏は、次のように米モダンリテールに語った。「エコシステムの出品者側では、より多くのツールを提供するとともに、当社が無償のリスティングを提供することが、出品者のビジネスを真に成長させるため役立つ。当社は、Googleを本当の意味でショッピングに最高の場所にしたい」。

Amazonとの競争がもらたしたもの

Googleショッピングは自社がマーケットプレイスだとは見なしていないが、同社は長年にわたってAmazonと比較されてきた。マーケットプレイス・パルス(Marketplace Pulse)によると、バイオンGoogle(Buy On Google)は2020年末の時点で8000近い出品者を抱えていたが、2021年の時点でAmazonの600万を超えるサードパーティー出品者に比べれば比較的小規模だった。

マドリガル氏は次のように述べている。「当社は、利用者がGoogleを訪れたとき、ショッピングジャーニーのあらゆる段階において、もっとも役立つ場所となるよう、オープンなエコシステムを作り上げようと試みている。当社は、出品者を利用者と直接結びつけることを望んでいる」。

同社が運用開始したいくつかのアップデートに基づいて、インサイダーインテリジェンス(Insider Intelligence)のシニアアナリストを務めるスカイ・キャナバス氏は、Googleが自社を、商品を見つけるための、より価値のあるソースにするために注力していると語った。同社は2019年後半に、ペイパル(Paypal)の元最高操業責任者であるビル・レディー氏に対して、新しいコマース担当プレジデントへの就任を打診していた。

キャナバス氏は次のように述べている。「同社は、eコマースと小売りにかなり焦点を当てた戦略の概要を、極めて明確に描いている。これは、Amazonとの競合により推進されたものだ」。

Amazonの独占に少しずつ風穴を

Amazonは過去数年間にわたり、商品を探すためもっとも多く使用されるリソースになった。2021年のジャングルスカウト(Jungle Scout)によれば、米国の消費者の74%は、商品を探すときにまず同社を訪れる。

しかし、GoogleはAmazonの独占に少しずつ風穴を開けてきたと、キャナバス氏は語る。昨年11月に行われたモルガンスタンレー(Morgan Stanley)からの調査結果では、調査対象の回答者の57%が、Google SearchやYouTubeなどのGoogleプラットフォームで新商品を調べていることが示されている。同じ期間に、Amazonプライム(Amazon Prime)のサブスクライバーが検索にGoogleを使用する割合は、51%から56%に増加した。

同氏は、Googleのショッピングプラットフォームについて次のように述べている。「Googleをショッピングのためにより良い場所にすることで、さらに多くの利用者を引きつけることができる。重要なのは、利用者がどこで商品を探しているか、それがオンラインか、店舗にいるかにかかわらず、商品を見つけられるよう手助けをすることだ」。

Googleショッピングは2020年に、有料のみのショッピング広告プラットフォームから方向転換して、出品者に対して手数料不要になり、オーガニック検索結果に混在するようになったため、GoogleではAmazonよりも広告を区別しやすくなったと、キャナバス氏は語っている。

「エコシステムを何年もかけて」

またGoogleは、顧客がプラットフォームで検索を行う方法の選択肢を増やすため、商品のビジュアル検索や、黒人経営の企業を示すマークなど、多くのアップデートを取り入れてきた。Googleのマドリガル氏は、同社はプラットフォームのさまざまな機能の改善を続けていく計画だと語っている。「消費者の側からは、さらに多くのエクスペリエンスの更新が見られるだろう」。

同氏は次のように述べている。「当社はこのショッピングエコシステムを何年もかけて作り上げる計画で、今はまだ初期段階だ。規模の拡大につれて、非常に良い結果が見られるようになってきている」。

[原文:Google adds new shopping analytics tools to boost merchant sales]

Maria Monteros(翻訳:ジェスコーポレーション 編集:猿渡さとみ)

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