テレワークを続けている中で、書類の受け渡しをPDFファイルで行う機会が増えた。何か修正などがある場合には、以前に紹介した「PDF-XChange Viewer」で指示を書き入れているが、PDFファイルの扱いに慣れない同僚や取引先などは苦労しているようだ。
……この記事を書いている時点で、東京都でまん延防止等重点措置が解除されてから11日が過ぎた。
私が勤めている新宿にある中小企業では現在、各スタッフが可能な範囲でリモートによる業務を行っている。その中で、今回はもっと扱いやすいようにと、PDFファイルをWord形式やPowerPoint形式に変換してみた。
3月28日(月):Adobe公式では有料版ソフトが必要に
今日は取引先に確認してほしい資料があったので、そのPDFファイルをメールに添付して送ることにした。午後になると送信相手から電話がかかってきたのだが、どうやら修正してほしい個所があるものの、それをどう書き込んでよいか困っているらしい。
「WordやPowerPointで送ってもらえないか」と言われたが、この資料はデザイナーがAdobe InDesignで作成したもの。まさか、デザイナーに「Wordで作り直してくれない?」と頼むわけにもいかないだろう。
以前に似たシチュエーションでオンラインサービス「Acrobat.com」の変換機能を使ったことがあるが、どうやら利用回数の制限があるようで、その時はすぐに機能が使えなくなった。今回も試してみたのだが、繰り返し機能を使おうとすると、有料版のサービスの登録を求められてしまう。どうやら、有料版の「Acrobat Pro」を購入して、その変換機能を利用しろということらしい。
他にも、PDFファイルをWord形式に変換するオンラインサービスはいくつかあるようだが、利用回数に制限のあるものが多いらしい。手元にはまだ変換しなければいけないファイルが残っているのだが、さてどうしたものか……。
3月29日(火): Wordには標準で変換機能が用意されていた!
あれから調べてみたところ、会社で利用しているPCにインストールされた「Word」(Microsoft Office Home and Business 2019)であれば、PDFのファイルをWord形式に変換して開くことができるようだ。
さっそく、Wordを起動してPDFファイルを開いてみたところ、変換作業が行われた後で、ファイルの中身を表示することができた。文字の配置は「テキストボックス」機能を使って再現されており、このボックスをクリックすれば、文章の書き換えも可能。これなら、文字の修正を赤字で入れておけば、それを相手にかんたんに伝えることができそうだ。
ただ、PDFファイルの変換中に、画面上には「元のPDFとまったく同じ表示にはならない場合があります」とのメッセージが表示された。「特にグラフィックが多く使われている場合に、そうなる可能性が高くなります」とのことらしい。
実際に手持ちのPDFファイルをいくつかWordで開いてみたところ、レイアウトが入り組んでいるようなものは、文字や写真の配置がズレてしまった。「テキストボックス」機能や図の「レイアウトオプション」(回り込み)機能などを駆使して、デザインを再現しようとしてみたが、それでもカバーできない個所がある。一応手作業でカバーできないかと試してみたが、これ以上はWordの編集機能だけだと対応するのは難しそうだ。
3月30日(水):PDF=MS Officeの変換精度はフリーソフトの方が高い
変換後にレイアウトが崩れてしまった資料について、「PowerPointならもう少しフォローできるかも?」と思ったのだが、ファイルを開いた画面にはワケの分からない数式が表示されただけだった。どうやらPowerPoint(Microsoft Office Home and Business 2019)には、PDFファイルを変換する機能が備わっていないらしい。
そこで、フリーソフトを色々と当たってみたところ、「PDFelement」というソフトを使えば、PDFファイルをPowerPoint形式などに変換できるらしい。
さっそく、インストールしてみたところ、「エクスポート」機能を利用することで、ソフトで開いたPDFファイルをWordやExcelなどの形式に出力できた。しかも、Wordでは崩れてしまったレイアウトが、かなりの精度で再現されている。もちろん、文字の修正もできるので、PowerPointの扱いになれた営業などが相手なら、「PDFelement」を使って変換したファイルを送る方がよいかもしれない。
ただ、試用版の「PDFelement」では、変換後のファイルにウォーターマークが表示されてしまった。身内での資料チェックなどには便利だが、取引先などが相手の場合は使いにくいかもしれない。