アメリカ経済は強いのか?

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アカデミー賞授賞式の際のウイル・スミス氏によるクリス・ロック氏への平手打ちは考えれば考えるほど微妙な事件です。脱毛症のスミス氏の奥さんをからかったジョークにスミス氏が激怒したというのはある意味、奥さんを守る気持ちの表れで立派と訳せる部分もあります。一方、世界中が注目する権威ある式典のテレビ放送中に起きた事件として放置できない主催者は一定の罰則を科すのでしょうか?

しかし、我々は常々人の差別をしてはいけない、人権擁護だと主張します。ならロック氏は人の欠陥で笑いを取ることが許されるのでしょうか? 皆さんはスミス擁護派、それとも厳罰対処派でしょうか? 世の中、自分でじっくり考えることが大事ですが、これは学校の討論のテーマには最適だと思います。

では今週のつぶやきをお送りします。

アメリカ経済は強いのか?

私はアメリカ株をこの1年半で1銘柄しか購入していません。株価が異様に高くてバリュエーション的に買いたいものが全くないからです。かといってカナダの株も言うほど購入していません。どうしてもしっくりこないので投資用資金は積みあがっています。もちろん、2%の利ザヤを狙う日計り(デイトレード)なら別でしょうが、私はそんなに暇ではありません。アメリカの一部のアナリストは今後、市場の上昇余地は数%程度であろうみています。

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唯一、その均衡をブレークすることがあるならばオールドファッションのシェールオイルを掘り、ガスや小麦やその他不足する食糧を欧州に輸出すればこれは次元が変わる可能性があります。但し、バイデン大統領が石油備蓄の大放出を決定したことは自らの首を絞めることになるとみています。一番怒っているのは中東OPEC諸国なのです。彼らを本格的に敵に回したバイデン氏は外交的行き詰まりを起こすし、あの程度の備蓄放出は「水漏れの穴をダクトテープでふさぐようなもの」と揶揄されているほどです。

本日発表された3月の雇用統計は事前予想には届かなかったものの43.1万人増で失業率は3.6%とほぼベストの水準となっています。完全雇用に近いため、FRBは更なる利上げの地ならしが出来たとみています。一方、4月中盤から聞こえてくるであろう1-3月の企業決算に私は身構えています。決して美しいものではないと思います。それならばどう見ても割安の日本株の方がはるかに魅力的には見えます。円安だし、ドル建てだと安いんです。日本株のADR(米国預託証券)もチェックする価値がありそうですね。

日本はインドを味方に取り込めるのだろうか?

古い話で恐縮ですが、東京裁判でパール判事が被告全員無罪である、としたのを覚えていますか?インド人判事が下したこの判断の理由は「裁判の方向性が予め決定づけられており、判決ありきの茶番劇である」(ウィキ)としたのです。日本の保守派のからすれば拍手喝采だったでしょう。ではインドは日本とウマが合うのか、といえばこれほど合わない国も少ないとされます。90年代から00年代に数多くの日本企業がインドに進出しましたが、うまく根付いたのはスズキ自動車などごく一部です。

今般、日本はアメリカ、オーストラリアと共にインドを取り込もうとしています。理由は中国包囲網です。一方、今回のウクライナ問題ではインドはロシアと貿易を継続したり、新しい取引をしようとするなどの動きもあり、関係者はやきもきしていることでしょう。インドはいったいどこを向いているのだろうと。答えは割と簡単です。インドは何処にも向かない、誰かと強い同盟は好まず、その時々に応じて対応するという姿勢です。「お前と俺は同期の桜」といった熱い友情も長年の関係も何もナッシングであっさり裏切られることも大いにあり得ると思います。

世の中の外交は同盟国づくり、つまり、仲間を増やし、いざとなれば行動を共にする、というスタイルが主流です。経済的枠組みのように便益が明白の場合には進むと思いますが、これから10年、20年というスパンで見ると同盟のあり方は大きく後退すると考えています。理由はディスクロージャーがより進むことで国民が外交にまで口出しし、「なぜその国と仲良くするのか?」ということがイシューとなり、今まで政権の一部の考えで進めてきた外交の自由度が狭まると予想できるからです。

私が見るインドこそ、その考えを何十年も変えずにずっと突き進んできた国の一つだとみています。考えてみてください、安倍元首相がプーチン氏とあれだけ仲良くしていたのにこれほどあっさり手のひら返しだったことを。

入社式訓示にみるオトナの目線

4月1日に一斉に入社式が行われました。日本独特の儀式で社歌を歌うところもあるのでしょう。上司や今後出てくる部下にも「さん付け」をするのに同期の人にだけは苗字呼び捨てOKという文化もこれまたオツなのでしょうか? 産経の「新入社員だけではもったいない 入社式で社長が語った深イイ〝人生訓〟」をざっと見ると社長の訓示には概ねキーワードがあります。夢(バンナム)、強さ(ローソン)、失敗経験(楽天)、自信(トヨタ)、社会人の姿勢(グンゼ)、自由闊達(三菱マ)などなどが並びます。

これらの訓示はある意味、ごく当たり前の話で、私からすれば今更それを言うか、という気もしますが、逆に人生20年前後過ごしてきた新入社員諸君はノホホンと過ごし、いつの間にか社会人になっていた人が大半という世相を表しているとも言えそうです。家庭では我儘、学校では気があう人とだけ付き合うという生活をしてきました。会社組織は多くの先輩、そして嫌な人、苦手な人が主流な中で今までの楽しかったストレスフリーライフとは完全に縁が切れるのです。

ところで先日、ある現役東大生に就職トレンドを伺いました。役人は全く人気なく、起業する人も周りにはそんなにいないと。ではYouは何処へ、と聞けば「一流企業」を目指すようです。東大に入っても一流企業というのも腑に落ちません。超一流企業に行けば東大卒はごろごろいますが、東大卒がビジネスができるという保証もないのです。東大だからこそ目指す異次元があってもいいのかなぁ、と。それにしても各社社長さんの訓示を通して見えたのは「腫れ物に触る気持ち」だったかもしれません。

後記
住宅の管理組合の英国人会長と私、それと私が雇うインド人のコンサルで絶対に合意を取り付けねばならないかなり神経質なミーティング。コンサル氏とは前日に事前の戦略を打ち合わせ、私も更に考え、落としどころのオプションを2-3つもって会議に臨みました。小うるさい英国人独特の屁理屈をうまくかわし、最後、説得出来ました。たかがミーティング一つでも自分の絶対に持っていきたい方向を定めた戦略が必要だと改めて思いました。会議に臨んでから「どうしようか」ではなく、こうするという明白な目標設定が重要だと改めて感じたところです。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2022年4月2日の記事より転載させていただきました。