独立系エージェンシー 、大手企業のようにプログラマティックを使いこなしはじめる

DIGIDAY

以前も述べたとおり、2022年は独立系エージェンシーの年になるかもしれない。ロサンゼルスの独立系エージェンシーであるエクスベラス・メディア(Exverus Media)がそれを証明しようとしている。エクスベラスは大手持ち株会社の領域だったプログラマティック投資などの新しい分野を追加、強化しながら、顧客リストを充実させている。

多くの意味で、ここ数カ月から数年のあいだ、業界(と報道機関)に称賛されるより叩かれているアドテクのおかげで、小規模なエージェンシーが持ち株会社のエージェンシーの(小さな)鏡像のように、ツールやサービスを構築しやすくなった。エクスベラスもそのような小規模エージェンシーのひとつで、立ち上げから1年のプログラマティックトレーディングデスクにAIを導入し、ショーン・エドワーズ氏をプログラマディックメディア担当アソシエイトディレクターに起用した。エドワーズ氏はPHDで同様の職務に就いていた人物だ。創業者兼プレジデントのビル・デュラント氏は、これらの取り組みによって、顧客は15%程度のコスト削減を実現していると強調する。

「最終的には、総合的な測定ソリューションに到達できると考えている。クライアントに何十万ドルも負担させることなく、あらゆる場所で何が売上に貢献しているかを正確に把握できるソリューションだ」とデュラント氏は語る。「このようなオムニチャネルの世界で、それを正確かつ決定論的に行いたいと考えている。それができる自信は95%だ」。

CPGの世界で腕を磨いてきた

デュラント氏によれば、特にエクスベラスの顧客リストの大きな部分を占めている消費財(CPG)企業(新規顧客のジョベ・ウェルネス[Jovē Wellness]、プレミア・ニュートリション[Premier Nutrition]など)は、より現代的な測定ソリューションをプログラマティックエコシステム(ザ・トレード・デスク[The Trade Desk]からAmazon、DV360まで)に接続する機会を得ているという。エクスベラスは現在、AIアルゴリズムに対応した測定を外部の測定プロバイダーと統合し、あらゆるメディアチャネルの売上、アトリビューション、予測を把握したうえで、プログラマティックトレーディングデスクで粒度を高めるというアルファテストを行っている。

「それらすべてがアルゴリズムに反映され、オンラインでもオフラインでも具体的に何がブランドの成果につながるかについて、より適切な選択ができるようになった」とデュラント氏は補足する。「2022年後半、そして、2023年に無事に突入したければ、Cookieや非推奨の技術にまったく依存しない方法でそれを実現するしかない」。

インサイダー・インテリジェンス(Insider Intelligence:旧イーマーケター[eMarketer])のアナリストで、デジタルメディアとテクノロジーを担当するエブリン・ミッチェル氏は「一般的に、独立系エージェンシーはこの種の新製品に投資できるほどの財務的規模がない」と話す。「このような技術の場合、セットしたら終わりというわけにはいかない。プライバシー市場は目まぐるしく変化しているため、絶えず更新を続ける必要がある。小規模エージェンシーがこれを実行しているという話は聞いたことがない」。

エクスベラスはプログラマティックを構築する前、ジョベのようなスタートアップの戦略コンシェルジュとして、CPGの世界で腕を磨いてきた。ジョベは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック中、ボトル入りの飲料水を発売した。エクスベラスはさらに、コンビニエンスストアのカム&ゴー(Kum & Go)、冷凍チキンメーカーのジョン・ソウルス・フーズ(John Soules Foods)、ヘアケア用品のノット・ユア・マザーズ(Not Your Mother’s)といったCPG企業を顧客リストに加えた。

「まさにデータ駆動型だ」

エクスベラスのプランニング、戦略責任者のタリア・アーノルド氏によれば、2021年は合わせて9の新規顧客を獲得したという。そのなかには、金融に関するファネル上部の教育活動に目を向けているフィンテック企業のバンクレート(BankRate)、人道支援組織のコンサーン・ワールドワイド(Concern Worldwide)、全国放送テレビへの投資を拡大している環境保護団体4オーシャン(4Ocean)など、CPG以外の顧客も含まれる。

「課題が一貫しているクライアントと仕事をすることが多い」とアーノルド氏は語り、低迷しているソーシャルへの投資を一例として挙げた。「多くの場合、転換点を迎えている顧客だ」。

高級栄養補助食品のブランドであるダイマタイズ(Dymatize)のマーケティングディレクター、プリヤ・クマール氏は、過去5年間の成長を理由に、エクスベラスへの支出を増やす予定だと述べている。ただし、具体的な数字は明らかにしていない。「彼らは素晴らしいパートナーだ」とクマール氏は話す。「彼らの提案はすべて、実証された研究に基づいており、ビジネス上の目的を達成する助けになる」。メディアミックスの提案、メディアチャネルの専門知識、新しいメディア技術という点で、「エクスベラスはまさにデータ駆動型だ」。

新規顧客のひとつ、飲料水ブランドのジョベを所有するジョベ・ウェルネスのCMO、エリザベス・ルーシー氏は次のように語る。「彼らが提案するメディアは幅広く、スタートアップのブランドとしては、予想以上に幅広いと感じた。しかし、マーケティングを行うとき、なぜそのアプローチを取るかについて、彼らは研究と経験に基づいて判断している」。2021年、ジョベはエクスベラスの支援を受け、パブリックス(Publix)のスーパーでの販売にこぎ着けた。

エクスベラスは自社の文化に活気を与え、米国の現状を反映させるため、人材採用における多様性も重視している。「私たちの会社は女性とマイノリティが過半数を占めているという事実に大きな誇りを持っている」とデュラント氏は話す(正確な内訳は不明)。「それが流行語になる前から、私たちはやるべきことをやってきたと思っている」。

[原文:Media Buying Briefing: How indie Exverus grew its clients and programmatic practice to behave more like a big shop

Michael Bürgi(翻訳:米井香織/ガリレオ、編集:長田真)
Illustration by Ivy Liu

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