DirectX対応の中国製デスクトップGPU「MTT S60」。LoLやCS:Goもプレイ可

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MTT S60

 中国Moore Threadsは3月30日(現地時間)、同社初となるデスクトップGPU「MTT S60」を発表した。同社が設計したMUSA(Moore threads Unified System Architecture)に基づいたものとなっており、レンダリング、デジタルワークロード、エンターテインメント、CAD/CAEといったPCおよびワークステーション用途に好適としている。

 スペックを語る前にまず注目したいのは、PHYTIUM、龍芯、兆芯、海光といった中国製CPUのプラットフォームのみならず、IntelとAMDをサポートしているほか、Linux OSだけでなくWindows 10への対応が謳われている点。DirectX、Vulkan、OpenGL、OpenGL ESをサポートすることが謳われており、Windows用のゲームを含む幅広いアプリケーションが動作するのは特筆すべきだろう。

 同社によるとフルHD解像度の環境下において、eスポーツゲームに耐えうる性能を実現したとしており、Windows環境下では最高画質に設定した「リーグ・オブ・レジェンド」がプレイできたほか、中国産Linuxの環境において「Counter-Strike: Global Offensive」や「Dota 2」といったタイトルがスムーズに動作したとしている。

 さて、MUSAのアーキテクチャだが、レンダリングエンジン、マルチメディアエンジン、AIアクセラレータ、物理エンジンといった、現代的なGPUに備わるべき機能を一通り搭載しており、様々なGPUワークロードに対応できる。また、極めて早い段階でGPUの量産と納品を実現できる中国初のGPUになるとしている。

MUSAのユニファイドシステムアーキテクチャ

 MUSAの中でも注目は物理エンジン「AlphaCore」の搭載であり、固体や流体、柔軟体を高精度で物理シミュレーションでき、バーチャルキャラクターの筋肉組織の動きに合わせて布や髪の毛を動かし、シネマ級のリアリティを実現するとしている。

AlphaCoreによる物理シミュレーション

 AlphaCoreに対応した布や毛といった材料をシミュレーションするツール「VeraFiber」、気体や流体をシミュレーションするツール「Catalyst」、生物をシミュレーションするツール「Bionics」もリリース。Houdini VellumやPyroFXといった既存ツールと比較して5~10倍の性能向上を実現できるとしている。これらのツールはVulkan、CUDA、DirectXといったランタイムと互換性があり、Houdini、Unreal、Unity、D5といったゲームエンジンやソフトウェアをサポートする。

 MTT S60ではこのMUSAアーキテクチャを採用した「蘇提」コアを採用し、12nmプロセスで製造。2,048 MUSAコアを内包し、単精度浮動小数点演算性能は6TLFOPSを実現。テクスチャフィルレートは192G Pixel/s、搭載メモリはLPDDR4xで容量は8GBとしている。4K/8K出力をサポートするほか、H.264/H.265/AV1のエンコード/デコードに対応する。

第1世代MUSAアーキテクチャGPU「蘇提」

 搭載システムはLenovo、Inspur、SUPERCLOUDなどがらリリースされる予定。

 一方で、データセンター向けとしては「MTT S2000」というモデルを投入する。こちらはMUSAコア数が4,096基へと倍増するほか、メモリも最大32GB、単精度浮動小数点演算は12TFLOPSを達成する。また、PyTorch、Tensorflow、PaddlePadlleといったディープラーニングのフレームワークをサポートする。

データセンター向けのMTT S2000

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