ウクライナと共に北朝鮮

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いつの間にか3月も下旬。桜と共に新年度入りとなりますが、過去2年の4月とは違うフレッシュな気持ちになりたいところです。もちろん、我々を取り巻く環境は決して良好はありません。ただ、コロナあり、ウクライナ問題あり、物価高ありといった様々な変化と刺激と緊張感の中で新しい時代の一章を開けるという期待感もあります。ことわざでは正月を「一年の計」としますが、学校や職場の一年の計は4月であり、春という解放感も溢れます。苦しい中で前向きになることが大事ですよね。私も新たなる一歩という気持ちを込めていきたいと思います。

では今週のつぶやきをお送りします。

市場は来週も強気か?

先週のこの項で「市場のイベント終了、来週から新たなチャプターに」と述べました。日米株式市場ともに3月8日から10日頃に底打ちし、強烈な巻き返しに入っています。理由は「戦時の買い」がベースで中央銀行による金利政策の流れを確認した先週で概ね方向性が定まったわけです。日本の株式市場は既に9連騰と久々の快晴続きです。3月22日のブログでは日経平均は中期3万円狙い、ダウも最高値が期待できると述べました。この見方に今のところ、変更はありません。

日本株は安値を拾う動きとエネルギー関連の物色が強く、三菱商事など商社株で資源を積極的に手掛けているところは株価の上昇ペースが速くなっています。「戦時の買い」の理由は戦争により、モノの流れや消費傾向に変化が生じることで今までにない特需が生まれるからです。ロシア産が止まれば誰がそれを補填するのか、戦後のウクライナの復興に必要なものは何か、など様々な現実問題と期待感が混じるのです。日本で戦争特需としてもっとも有名なのは朝鮮戦争の際で、日本の戦後復興の一役を担いました。

あくまでも一般論として述べると、今後、金融株がチャートを無視した上昇になるかもしれない気がしています。金融株は癖が悪いのですが、あるきっかけで突如、異様なボリュームを伴って売買が進むことがあります。その際にはチャートは一切参考になりません。その時の流れに乗る展開ですが、金融株が急騰するときは概ね、景気が上向くときともされます。物価高になりそうで企業景況(景気DI)は今も悪いですが、今後、上向くとみています。2022年は日本は勝ち組になれるかもしれません。

ウクライナと共に北朝鮮

国家の指導者が戦争に踏み込むには相当の覚悟がいるものです。レッドラインを超える意味は自身の全てを賭けるわけでそこまで踏み込むのは権威主義国家の指導者しかできません。少し前に「大統領と首相」というブログをお届けしましたが、政党の代表者である首相は立法側も一部兼ねることからレッドラインを超えにくいという特徴があるともいえるのです。今回のロシアは権威主義を盾に明らかにレッドラインを超えてしまったわけです。

手紙を読む金正恩氏 北朝鮮公式HPより

私が恐れているのは前例ができると「俺もやる」と考える指導者も出やすくなることです。また、世界の目が他のところに行っている間に(=鬼の居ぬ間)という見方もあるでしょう。「西のクリミア半島、東の朝鮮半島」においてうずうずしているもう一人の指導者に日本はまだ十分な警戒心を持っているとは思えません。24日に北朝鮮が打ち上げたミサイルはICBMだった可能性が指摘されています。確かに打ち上げの兆候はあったし、4月15日が金日成主席の生誕110年なのでそれに向けて何か起こるのではないか、とも分析されていたはずです。私でも知っているのですから政府は相当の分析をしていたことでしょう。

問題は5月以降です。尹氏が大統領に就任した時、彼がどんな行動を起こすのか、読めないのです。尹氏はようやく中国、習近平氏と電話会談をしました。感情はともあれ、タイミング的にはずいぶん遅かったと思います。当然、習氏は冷たい祝福を贈ったことでしょう。その間、北朝鮮と中国の鉄道による貿易は実質的に回復し、1-2月は前年比3500倍とされます。韓国の中央日報が「文大統領が5年執着した韓半島平和プロセスに『死亡宣告』」と報じているように朝鮮半島の和平工作の時代は終焉、今後、厳しい関係が見込まれます。尹氏はアメリカを取り込むことができるのでしょうか?私はいざとなってもアメリカは実戦部隊は出さないとみています。その理由はまた後日詳しく書きますがその時、日本はどうする、という課題は当然出てくるのです。

相続でもめる心理

親族が亡くなった時、深い悲しみと共に欲望の渦が沸き上がるのは小説や有名人だけの話ではありません。複数の相続人がいる場合、仮にテレビ一台分でも「あっちのテレビは大きいぞ」と監視の目を光らせ、血みどろのデスマッチをした挙句、親族関係がバラバラになるという悲惨なケースも多々あります。他人から見れば最も醜い話です。見たくもないけれど女性セブンの「小澤征爾氏の30億円資産を巡って家族が分断 小澤征悦、姉、母が対立」が目に入りました。しょうがないな、と思います。

北米でも当然、そのような闘いをしているケースはあり、私の身近なファミリーも大バトルで訴訟合戦もありました。遺産の額が桁違いなのですが、思うに当地と日本では若干違いがある気がします。こちらでは基本はファミリーツリーの幹を太くするのが原則。枝分かれすると細くなるので一本の太い本家を作ります。日本の場合はそもそも税務署が一番おいしいところをもっていってしまうのでその残りの分け前闘争であってファミリーツリーというほどの発想はないと思います。それこそ長男至上主義なんて言うとやれ儒教だ、やれ昭和の初期の話だということになってしまいます。

相続はある意味、天から降ってきたお金のようなもの。そうなると10万円より15万円、1億円より1億5千万円といった具合で「もっと」という気持ちになるのですが、そもそも「もっと欲しい」という根拠もないのです。なぜなら貰う予定があったわけではなく、遺産がこんなにあったとその時初めて知るだけだからです。それ以上にそんな大金が降り注いで来たら人間、ろくなことに使いません。よく耳にするのは「宝くじに当たると人生、道を踏み外す」点です。遺産をもらっても今までのつつましい生活を続けられますか?そのお金を私腹に肥やすのか、もっと別の使い方を考える賢人になれるか、性格が出ると思います。ブーマー層を背景にした相続と世代替わりが進む中、あまり見たくない喜怒哀楽があちらこちらで起きるのでしょう。

後記
今週日曜日(日本時間月曜日)にアカデミー賞の発表があり、4部門にノミネートされている「ドライブ マイ カー」の受賞に期待がかかっています。下馬評も高いようで良い結果を期待したいところです。この作品の原作は村上春樹氏の短編小説。そういえば彼もノーベル文学賞から少しずつ遠ざかっているような感じもしますが、この作品の受賞が起爆剤となればファンにはたまらないでしょう。作品の背景は広島。原爆のイメージが強いことは今の社会情勢にマッチしているし、岸田首相の地元でもあります。広島にスポットライトが当たるのでしょうか?

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2022年3月26日の記事より転載させていただきました。

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