50m走が1秒早くなるポイント3つ – PRESIDENT Online

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速く走るにはどうすればいいのか。「イナズマ純也」と呼ばれているサッカー日本代表の伊東純也選手は「ランニングフォームに正解はない。私自身も走り方はスマートではない。速く走るために必要なことは、フォームよりも、『腕振り、足上げ、着地』の3つが重要だ」という――。

※本稿は、伊東純也『子どもの足がどんどん速くなる』(アスコム)の一部を再編集したものです。

伊東純也選手伊東純也選手 – 写真提供=アスコム

「速く走れる子」と「足が遅い子」の決定的な違い

走ることが苦手な子どもに、「どうして速く走れないの?」とたずねると、たいてい次のような答えが返ってきます。

「だって、運動神経が悪いから……」

これを親の立場になって考えると「ウチの子は生まれつき運動が苦手で……」という言葉が返ってくることでしょう。

この言葉の裏には、運動の得意不得意は、生まれつき決まっているという思い込みがあります。なぜ、私たちは「足の速さは生まれつき」と考えてしまうのでしょうか。

伊東純也選手
伊東純也選手(写真提供=アスコム)

これは水泳と比べると、分かりやすいかもしれません。

水泳の場合、はじめから泳げた、という子はいないと思います。たいていは水中で目を開けるところから始めて、次に水に浮かび、それからバタ足の方法を親や学校の先生に教えてもらってようやく泳げるようになります。

ゼロからひとつずつ積み重ねていくので、努力や工夫次第で水泳は上達する、という気になれます。

でも、足の速さは違います。だれに教わることもなく、いつの間にか自然に走れてしまうので、速い遅いは生まれつき決まっているものだ、と錯覚してしまうのです。

だからこそ、すべての子どもに速くなるチャンスがあります。速くなるための走り方を知る機会さえあれば、「走ることが苦手」と思い込んでいるあなたのお子さんも、速く走れるようになります。

ランニングフォームに正解はない

では、速く走るために必要なこととはなんでしょうか。足が速くなる方法が書かれた本やサイトの多くには、正しい走り方について、ていねいな説明が書かれています。

「ひじは90度に曲げ、うしろに引くときの反動を利用して、逆の足を勢いよく前に出しましょう」
「足は重心のまっすぐ下に着地させてください」

これをお子さんに伝えても、頭で理解できたとして、伝えられた通りに体を動かそうとすると、わけがわからなくなってしまうと思います。理論的に間違っていなくても、説明が細かすぎたり難しすぎたりして、どう走っていいか混乱してしまうのではないでしょうか。

私はそもそもランニングフォームに「これが正解」というものは存在しないと思っています。

私自身、だれかに走り方を教わったという経験がなく、フォームは我流。これまで「たしかに速いけど、ジュンヤの走り方って変だな」と、チームメイトにしょっちゅうからかわれてきました。すり足で、ちょっと猫背で、腕をグルグルまわしていて……。自分で見ても、決してスマートな走り方ではないと思います。

それでも、実際に私は速く走ることができています。身体能力が優れていると言われるアフリカ系の選手にも負けないスピードを出すことができます。

世の中には、まったく同じ体の人はいません。

背が高い人がいれば、低い人もいる。
体が柔らかい人がいれば、私のようにものすごく硬い人もいる。
足が長い人がいれば、短い人もいる。

つまり、それぞれの体に合った走りやすいフォームがある。教科書通りの綺麗なフォームが、必ずしも「お子さんにとって正しいフォーム」ではないのです。

伊東純也選手伊東純也選手 – 写真提供=アスコム

速くなるために大切なことは3つ

私が自分の走り方の分析をしたきっかけは、ある関係者のお子さんから「運動が苦手なんですが、どうしたら速く走れますか?」という質問を受けたことでした。

それまで走りに関して「速く走れているのだからそれでいい」と思っていた私ですが、真剣な質問に対して、これは軽々しくは答えられないなと思いました。

また、自身の動きを確認するいい機会だと捉え、プレー中の映像を見返し、さらには、元陸上競技選手だった方にも映像を見てもらい分析しました。

決して綺麗とは言えない私のフォーム。それに加えて、実は体が本当に硬い。前屈でも指先がちょっと地面に触れるくらいです。考えれば考えるほど欠点だらけの私が速く走れるのはなぜなのか――。

その結果、速く走るために大切なことは、たった3つだけだったという結論にたどり着きました。

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