自分はどうしたら成長できるのだろう?

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先日「会社はどうしたら成長できるのだろう」というブログを発信しました。会社の成長、日本の成長といったマクロ的な話をされてもねぇ、と思った方もいらっしゃったでしょう。そこで今日は自分の成長について考えてみたいと思います。

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会社の成長と自分の成長のプロセスを比較すると最大の違いは「お金のかけ方」と「人手のかけ方」です。会社の場合は規模にもよりますが、それなりにスタッフを雇い、お金を投下することで成長を図ります。資金は手持ちのお金、あるいは銀行や投資家から資金調達する方法もあります。手持ちがない、外部からの資金調達の方法も限られている場合でも近年は効率的なビジネス展開をする方法はいくらでもあります。よって出を少なく、入りを多くすることに務め、「石の上にも三年」ではないですが、コツコツと積み上げ、チャンスを虎視眈々と狙うことかと思います。

但し、せっかくお金をかけても現代社会は3年もするとビジネス環境がすっかり変わってしまいます。最悪なのは「今、これはやっているぜ。俺もこれやる!」というケースです。今はやっているということはもうピークだともいえるのです。例えば日本で高級パン屋ブームが起きていますが、相当数が3年以内に無くなるはずです。理由は本当においしいパンを作り、ビジネスセンスに長け、近隣顧客を週一のリピーターにするマーケティングができる人はごく限られるからです。大概の経営者は「美味しいパンを作る」ことに7割も8割もエネルギーを割くのですが、昔ならともかく、今はそれだけではもう通用しません。その間に大手メーカーが必ず潰しにかかります。彼らは人材もマネーもマーケティングも上を行くのです。

そうだとすればお金をかける前に自分を磨き、未来を創造し、判断力を高めることがもっと重要になってきます。これが今日のテーマである自分の成長です。

会社も個人も成長のさせ方は2通りあります。自分が究極のトップを目指すか、バランスよい幸せを得るか、です。日本人の特性として究極のトップを目指す人は多い気がします。事実、それで花が咲いた人は多くいます。先般の夏や冬のオリンピックでメダルをもらった選手達もそうですし、藤井聡太氏や大谷翔平氏、松山英樹氏も入るでしょう。日本人のみならず、東アジア全般の傾向として究極を目指し切磋琢磨する人が多いというのがカナダで30年いる中での感想です。

私がアメリカ、ワシントン州のゴルフ場を経営していたころ、近くにプロゴルファー養成スクールがありました。そこには韓国人のプロを目指す卵たちがごっそりいたのです。当時、韓国のプロゴルファーは日本で稼げるというので話題になっており、自分の子供をプロゴルファーにし、いつかは稼いでもらうために親が必死の投資をしたわけです。この手の話は日本も中国も韓国にもよく見られます。日本では一昔前に子供にダンスを教え込んだとか聞きませんでしたか?

では北米はどうか、というと「あいつはゴルフで頑張っているんだよな。だから俺は野球で頑張るよ」といった具合に常に自分の能力を考え、相手の頑張りに刺激を受けながら自分自身の持てる才能や能力を伸ばす、といったケースが多い気がします。

だいぶ前にご紹介したと思いますが、親が子の教育をするには親が子の将来を決めつけるのではなく、子が持っているであろう才能を引き出すためにいろいろなことをさせるのが良いのです。子は様々な経験を積む中で自分に見合う才能を必ず見つけ、これだ、というところにヒットするのです。

では社会人になったらそれはできないのか、といえば真逆です。社会人の方がずっとそれはやりやすいのです。なぜならば自分の意志である程度、金銭的にも時間的にも融通がきくのですから勉学をしたり、体験したり、挑戦することはとてもたやすいことなのです。いざ、その道に興味を持ったならばユーチューブの視聴も止める、デートもしない、酒も飲まない、友達付き合いも減らしてでもとことん、それに時間を費やすことでしょう。「二兎追うものは一兎も得ず」を私流に解釈すれば「チャンポンは自分の純度をそこまで高められない」という意味です。

もう一つは結果をすぐに求めないことです。目標は必ず設定する、そして長期的な夢や目標と同時に短期的目標としてつま先立ちすればもうちょっとで届く目標を決めることです。あまりにも無謀な目標を立てるから多くの人は脱落するのです。そうではなくて、手が届きそうな目標に到達することを繰り返すことで、自分を高みに持っていくのです。

私が絶対に重要だと思うのは「続けるチカラ」です。「継続は力なり」とは本当に良い言葉です。香川県に金刀比羅神宮というのがあるのですが、上の奥社まで1368段の階段があります。幼い頃行ったのですが、私にはこれが長かった!しかし、人生とはあの階段を上るのと同じなんだ、と今でも思い続けているのです。あの幼少時の妙な経験が今でも生かされています。

最後、忍耐には苦しみもあります。思い通りにならないし、失敗は日常茶飯事です。誰も王道など知りません。試行錯誤しながらもよじ登っていくことも大事だと思います。

面倒くさい?家でネット見ている方がいい、と思うならそれも人生。だけど一度の人生、何かもっと楽しんでみたいと思っているはずです。さぁ、思ったらまずは一歩、踏み出してみませんか?

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2022年3月20日の記事より転載させていただきました。

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