「テスラ車で自動運転中の事故ムービー」を投稿したテスラ社員が解雇される

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テスラは自動運転ソフトウェア「Full Self-Driving(FSD)」をのベータ版を有償提供しています。このFSDを利用した自動運転中の事故ムービーを公開していたテスラの社員が、2022年2月にムービー公開を理由に解雇されました。

Tesla fired an employee after he posted driverless tech reviews on YouTube
https://www.cnbc.com/2022/03/15/tesla-fired-employee-who-posted-fsd-beta-videos-as-ai-addict-on-youtube.html

今回テスラから解雇されたのは、テスラ車で自動運転技術のテストオペレーターなどを務めていたジョン・バーナル氏です。バーナル氏は2020年8月にテスラに入社し、当時テスラが社員向けにFSDの無償提供キャンペーンを実施していたことから「Model 3」を購入して、2021年2月にモデル3での自動運転の様子を投稿するYouTubeチャンネル「AI Addict」を開設しました。

バーナル氏がAI Addictに投稿したムービーの中には、FSDの使用中に事故が発生した様子を撮影したものが複数含まれていました。例えば、以下の記事ではバーナル氏がAI Addictとして投稿した「FSDによる自動運転中に障害物に衝突したり路面電車レーンに侵入したりするムービー」の内容を確認できます。

テスラの完全自動運転システムのベータ版テストで道路にある障害物を認識できずに衝突してしまうムービー – GIGAZINE


バーナル氏はAI Addictの開設以来、上記のような事故発生を含むムービーを複数投稿し続けてきました。しかし、2022年2月にマネージャーから「テスラのポリシーに違反」していると告げられて解雇されてしまったとのこと。バーナル氏は「自分の所有する自動車で就業時間外に自動車技術の検証を行うことを禁じるポリシーなど見たことがありません」と述べ、ポリシー違反を否定しています。

CNBCがテスラの社員から入手したSNS利用ポリシーには、FacebookやTwitter、Instagram、RedditといったSNSに関する項目は存在するもののYouTubeに関する項目は存在しなかったとのこと。加えて、SNS上でテスラの製品を批判することも特に禁止されていませんでした。また、バーナル氏は「FSDは一般消費者向けの製品です」と述べ、テスラ社員しか知り得ない情報をYouTube上に公開していたわけではないと主張しています。

テスラは、FSDの利用権をはく奪する際は複数回の警告を送信するとされています。しかし、バーナル氏が2022年3月16日に投稿したムービーでは「最近の運転データ」を理由にFSD利用権を突然剥奪された旨が語られています。バーナル氏は自身の所有するModel 3でFSDを利用できなくなった後も、FSDを利用可能な別の車両を用意いて自動運転のテストを続けているとのことです。

Tesla FSD Beta San Jose Stress Test – YouTube
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CNBCはテスラのイーロン・マスクCEOが自身を「free speech absolutist(言論の自由主義者)」と名乗っているにもかかわらず、バーナル氏のような事例が発生したことに苦言を呈しています。また、テスラは過去にFSDのベータ版利用者に対してSNSへの感想投稿を控えるように要求していたことが報じられており、この慣行が利用者による不具合報告を萎縮させた可能性があるとして米国運輸省道路交通安全局は調査を開始しています。

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