匿名通信システム「Tor」専用ウェブサイトを開設するメリットとは?

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ロシアが海外からの情報を遮断する動きを進める中、Twitterや報道大手のBBC、The New York Timesなどが匿名通信システム「Tor」専用のウェブサイトを開設したことが話題となっています。ウェブサイト運営者がTor専用サイトを開設するメリットについて、セキュリティ専門家のアレック・マフェット氏が解説しています。

Why offer an Onion Address rather than just encourage browsing-over-Tor? – dropsafe
https://alecmuffett.com/article/16007

Torは複数のノードを介して通信することで通信経路を匿名化するシステムで、「Tor Browser」や「Brave」といったTor接続に対応しているウェブブラウザで利用可能。さらに、ウェブブラウザの管理者はTor対応ブラウザでしかアクセスできない「.onion」というドメインを持ったウェブサイトを開設することも可能です。

2022年にはロシアによる情報統制が進む中、TwitterやBBC、The New York TimesといったウェブサイトがTor接続専用ウェブサイトを開設したことが話題となりました。実際にTor接続専用Twitterにアクセスする方法は、以下の記事で解説しています。

ロシアから遮断・検閲されてもツイートできる「Tor版Twitter」が登場、実際にアクセスしてみるとこんな感じ – GIGAZINE

「.onion」ドメインを持ったウェブサイトは、そのウェブサイトの運営元の情報を隠すことが可能です。しかし、TwitterやBBCといった大手ウェブサイトでは運営元の情報が広く知れ渡っていることに加え、Torを利用すれば通常版のTwitterやBBCに匿名接続することも可能なため、わざわざ「.onion」版のウェブサイトを用意する必要は無いように思えます。

マフェット氏によると、大手ウェブサイトが「.onion」版のウェブサイトを用意する最大の目的は「Torによる通信経路の匿名化に正式対応している」という姿勢を明示できることにあるとのこと。Torに対応していることを明示することで、運営元は匿名通信への理解をアピールできるのです。

また、Tor接続を利用しているユーザーは通常のユーザーと挙動が異なることから、ウェブサイトのBOT検知システムに誤検知されてしまうことがあります。ウェブサイトの運営者は、「.onion」版のウェブサイトではBOT検知システムの設定を変更することで、Torユーザーの誤検知を防止できます。


さらに、Torの利用者の中にはウェブサイトに対して悪意ある攻撃を仕掛けるユーザーもいますが、「.onion」版のウェブサイトを用意してTorユーザーを分離することで、攻撃への対応が容易になる可能性もあるとのことです。

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