山本太郎氏 決議反対の意図説明 – 山本太郎

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先日、ロシアの侵略を非難する決議が行われました。

れいわ新選組は「反対」。

「けしからん!」 「許せない!!」
いろんなお言葉を頂戴しました。

支援者のみなさんにも戸惑われた方々がいらっしゃると思います。
申し訳なく思うと共に、根本的な部分を共有する必要があると考えました。

今回話題になった「決議」

みなさんは、「決議」って、なに?と聞かれて説明できますか?

残念ながら国会議員であっても、理解できていない方々もいます。

超基本的な理解を一緒に深めさせてください。

国会の決議とは?

ネットで「決議とは」、など検索すると、さまざま出てきます。

その中に、参議院HPがあります。
https://www.sangiin.go.jp/japanese/aramashi/keyword/honkaigi.html

一番正確な情報と言えるので、これを使って説明します。

TVなどで「国会で決議が行われました〜」と報じられるのは、衆議院・参議院、それぞれの議会で行われるもので、正式には「本会議決議」と呼ばれます。

本会議決議
決議の種類
 議院が決議の形式で外部に一定の意思を表明することは、会議体としての議院が当然に有している権能とされています。

議会は「決議」という形で、政府や社会などに対して一定の意思を表明することができる、と冒頭にあります。

さらにHPを見てみると・・

決議にも種類があります。

議院が行う決議には、(1)内閣不信任・信任決議(衆)、内閣総理大臣問責決議(参)など内閣の責任を追及する決議、(2)議長不信任など議院の内部事項に関する決議、(3)感謝・祝意など儀礼に関する決議、(4)国政の諸般の事項に関し、内閣に対する要望、勧告、警告などを表明する決議(以下「政策的決議」という。)などがあります。

決議の種類には4つあって、(1)〜(3)は、議会として、内閣や大臣などに、「その資格がない、やめてくれ!」などにも使われ、「ありがとう!」 「お疲れ様でした!」という感謝を表す時にも決議されることがあります。

今回行われたロシア侵略非難は?

決議の種類の(4)になります。
(参議院事務局 確認済み)

(4)国政の諸般の事項に関し、内閣に対する要望、 勧告、警告などを表明する決議

議会が政府に具体的に要求する決議が(4)、の政策的決議です。

まだ十分にお仕事が足りていませんよ、腰が引けていますよ、こう言ったことをやりなさいよ、と後押しする、時にはハードにお尻を叩くための政策的「決議」です。

参議院HPを順に見ていくと、決議とは、衆議院や参議院が社会に対して、ただ単に意思を表明するためのツールでないことがわかります。

今回行われた3月1日の決議内容は、ロシアの軍事侵略を非難し、攻撃を止め、兵をウクライナから撤収せよ、経済制裁などでわからせろ、といった趣旨ですが、これは既に、2月25日(ウクライナへの軍事侵攻翌日)、岸田首相が記者会見で述べている内容でしかありません。

総理の会見が先、国会決議が、後です。

2月25日岸田首相記者会見
http://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/statement/2022/0225kaiken2.html

3月1日決議の衆議院・対ロシア非難決議
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/topics/ketugi220301-1.html

両方の内容を比較すれば理解できますが、総理発言の、「これまでの外交努力」、「力による現状変更の国際法違反」、「制裁と邦人保護」は、国会決議と内容が同じです。

さらに、決議の内容で、総理の発言にはあるが、決議には含めなかったものもあります。

岸田首相が言及した「原油など燃料価格高騰に対して、国民生活や企業活動への悪影響への対策」については、国会決議では求めていません。

まとめると、総理が政府認識を述べた4日後にその内容をコピー、どころか、劣化コピーしたものが、ロシア非難決議となった、ということです。

これまで説明した通り、決議とは、ただ意志を表明する、やっている感を出すためのツールではなく、政府の先をいく施策や考え方を議会として求めることが必要なものです。

たとえ、政府認識を劣化コピーした内容をなぞる決議であっても、「ないよりあった方が良い」
という人もおられますが、「決議とは何?」を考えれば、ズレた話となります。

念のため、ロシアのウクライナ領内への軍事力行使が始まってから日本と同様の決議を行っている議会は世界にあるか?を国会図書館で調べてもらいました。

結果は?
発見できませんでした。

シンプルにこの時期に、「決議」を行っている議会が発見できませんでした。

既に多くの国々の政府が侵略後に、ロシアに対し、攻撃をやめろ、兵を退け、制裁を加えるぞ、と公式の声明を出しています。

そこに不一致がないならば、わざわざ政府の内容をなぞらえて、意思を表明するためだけに決議する議会は、なかなか見つけられない、と言うことでしょうか。

一刻も早い停戦にむけて、政府に足りていない、腰が引けてる部分をしっかりと求める内容であるなら、決議は必要ですし、れいわ新選組は反対する立場にはありません。

一刻も早い停戦を求めるため、不安の中にいる人々に手を差し伸べるため、具体的に政府に要望する内容が伴う決議を目指すことこそ、「ウクライナの人々と共にある」、ではないでしょうか?

そうならないなら、れいわ新選組として、反対、という形で異を唱える以外ありません。

そうならぬ様、事前に与党側に内容の追加を申し入れようとしましたが、「修正はご遠慮いただきたい」の一言で終了。 
扉は一度も開かれず、閉められたままだったのです。

今回の決議は、政府にとっては全く負担のない、楽な決議内容となりました。

国会にとっても、やっている感を演出することには成功しましたが、政府を動かしていくための決議とはなりませんでした。

世界を巻き込む大戦争にもなり得る事態に、日本の議会として、政府の視点が欠けている部分を指摘し、
実際に動かすための決議を、自ら放棄したのが今回の出来事です。

一番重要な部分を説明していませんでした。

「決議」には、どんな効果があるのか。
先ほどの参議院HPに戻ります。

決議の効果
 一般的には、議院が行う決議は法的効果を有しませんが、前述の内閣不信任・信任決議や、 常任委員長解任決議(国会法第30条の2)のように法的効果を伴うものもあります。

しかし、法的効果を有しないとはいえ、国権の最高機関たる国会を構成する参議院又は衆議院が行った決議の重みを考慮すれば、政治的効果や道義的効果が生ずるといえます。
例えば、政策的決議は、国会による行政監視機能の一態様として内閣にその遵守を求めるものであり、内閣は行政権の行使について国会に連帯して責任を負っていることから、政治的道義的な効果を有しているもの解されています。

政府にとって無視できないのが「決議」です。
今回のロシア非難決議は先ほど紹介した通り、政策的決議に分類されるものですから、議会からの要求に政府は対応することが求められます。

実際、国会の本会議場で決議された後、政府側が必ずそれに応える発言を行います。

[画像をブログで見る]

3月1日決議の後にも、外務大臣が、「決議の趣旨を踏まえて、政府として適切に対応する」旨を本会議で発言しています。

政府は、決議されたことを蔑ろにできないのです。

ですから今回の決議は、これ以上、「命を奪わせない」一刻も早く、「停戦合意」できるよう、この戦争の影響から人々の「生活を守る」ための議会から具体的要求を突きつけ、政府を動かすための決議でなければならなかったのです。

一般的には、6月の参議院選挙前に誤解を生む行動(反対)はマズい、と判断することでしょうが、永田町の同調圧力に負けて、本質を見失う判断こそ、れいわ新選組が存在する価値が失われることであり、国益に資さない、と決意して「反対」をしました。

みなさまにはご苦労とご心配をおかけいたしますが、これからも共に歩んでいただければ幸いです。

れいわ新選組 代表 山本太郎

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