露への経済制裁の先見えない日本 – 阪口直人

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 ロシアの侵攻に対し、ウクライナ国民は女性さえも武器を取りロシア兵に立ち向かっている。命がけの奮闘で、規模で圧倒するロシア軍の攻撃を食い止めている。祖国防衛戦争に従軍する戦士、そして市民は給料をもらって従軍する兵隊とは死への意識、覚悟が違う。ロシア兵にとっては恐ろしい存在だろう。アメリカが敗北したベトナム、またソ連が撃退されたアフガニスタンの再現がウクライナでも起こりつつある。

 ウクライナ市民がゲリラ戦で対抗する事態になると、戦争は長引き、双方に膨大な死者が出ることになる。その過程で、今日のサポロジエ原発への攻撃のように、人類にとっての危機への引き金を本当に引いてしまうかもしれない。国際社会の責任は一日も早い停戦の実現だ。日本はそのための仲介の可能性を全力で追求するべきだ。残念ながら日本にはそんな丹力のある政治家はいないが、今、プーチン大統領と度々対話を試みているマクロン大統領を後方支援することも立派な仲介努力だ。

 ウクライナ侵攻を続けるロシアに対し、岸田総理はロシアとの関係をこれまで通りにはできないと強い経済制裁に踏み込む意思を示している。経済制裁は社会的にもっとも弱い立場の人に大きなダメージを与える政策だ。ロシアの通貨・ルーブルの価値もすでに大幅に下落して、戦争とは関係のないロシアの普通の人々に大きな苦しみを与えつつある。人権を重視する国家として普通のロシア国民への影響には極力配慮するのか?ウクライナ人に塗炭の苦しみを与えている戦争を止めるためには、ロシアの国民にも相応の苦しみを与えて、プーチン政権への不満を沸騰させることが結局は戦争終結にプラスになると考えているのか? 私には日本政府の戦略がどちらなのか見えてこない。特に戦略などないように思える。

 SNSでは日本に住むロシア人に対して攻撃的な言葉が数多く投げられているようだ。ロシア人やウクライナ人の友人によると、日本にいるロシア人のSNSの一部には、日本に対する反感や、日本人を攻撃しようという過激な言葉も多く見られると聞く。ロシアの侵略戦争に反対しているロシア人も多くいるが、独裁的な指導者に反対の声を上げる恐怖と、ロシアを敵視する日本、そして国際世論に反発するロシア人の声もあって、声があげられないとも聞く。

 日本政府は、ロシア政府には反対しても、決してロシアの人々を敵視していないことを、もっと明確に示すべきだ。

 戦争を終結させるにはロシア国民が声を上げ、プーチン大統領に侵攻を断念させる、あるいはプーチン政権を倒すことが最大の鍵だ。ロシアの人々がプーチン大統領に反対の意思を示せるように、そしてそれが世界からロシア国内へと大きなうねりになるように、国際社会として全力で支援しなくてはならない。その先頭に立つのが日本であって欲しいと思う。

#StandWithUkriane

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