韓国で感染激増 日本との違いは – 団藤保晴

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 オミクロン株による新型コロナ感染爆発が世界的に下火に向かう中、隣国の韓国だけが激増して人口1000万人以上の主要国世界一を突っ走っています。日本の人口の4割しかない国なのに連日16万、17万の新規感染が続き、日本なら40万に相当します。1日の検査能力を超えて結果が出るのが一部で翌日、翌々日に遅延する始末で、大騒ぎになって当然です。既にピークは過ぎている欧米や日本との違いを考え、なぜこうなったのか考察します。

 ourworldindata.orgが米ジョンズホプキンス大学の集計で作っている、「人口100万人あたり1週間新規感染のグラフ」を昨年12月から2月25日まで掲げました。G20を中心にした諸国の動きを表示しています。昨年末から英国、オーストラリア、フランスと巨大なピークを形成、最近まではドイツが世界一でしたが、23日に韓国が抜き去りました。

 「1カ月程度でピークアウトする傾向」は最初にオミクロン株が猛威をふるった南アフリカを始め日本を含めてどの国も似ているのに、韓国はうなぎ上りのままです。韓国政府は「概ね3月中旬に一日確定者25万人内外になると展望している」と朝鮮日報が伝えました。現在、韓国で見えている上昇カーブの前半部は韓国政府が不用意に規制を緩和したためにデルタ株感染で増加した分であり、さらにオミクロン株が優勢種になって上乗せした構図になっており、オミクロン株の猛威はこれから最盛期とも言えます。

 韓国の2回ワクチン接種率は86.4%もあり、ブースターと言われる3次接種率も60.9%に達しています。日本の2回接種79.1%、3回目17.3%に比べると条件良好なはずですが、最初の2回接種の段階で比較的効果が薄いアストラゼネカワクチンを1100万人以上に打ってファイザーなど強力なメッセンジャーRNA型ワクチンが3回目に使われた問題もあり、「3回目と言いながら1回目でしかない」と指摘する厳しい声もあります。

 大量の感染を出した欧米で下火になりつつあるのは、人口の2割から3割が既に感染者になり集団免疫が出来つつあるとする見方があります。韓国はこの数日の大量感染を経ても人口の5%しか累積感染者がいません。この見方に従えば今後、非常に大量の感染が出ないと収まらないことになります。国民の協力に頼る日本と違って、強い法的強制力を効かせてコロナを抑え込んできたのに感染力が倍以上のオミクロン株に足をすくわれそうです。

 一方、日本の累積感染者は人口の4%に過ぎません。日本の第6波は1月初めに立ち上がり、2月11日にはピークを打っています。人口の2-3割までも感染が進まなくても収まっている国は昨年11月に書いた第658回「BCG特定株の接種国で新型コロナ深く沈静化」で取り上げた諸国です。BCG日本株接種国では累積感染者の人口比はフィリピン3.3%、サウジアラビア2.1%などとなっています。特定株BCGによる免疫強化はオミクロン株に対しても効果があったと見られます。