【悲劇】栃木・宇都宮のタクシーで「餃子以外の1番ウマい店へ」とお願いしたら「ない」と即答されてしまう! もっと自分に自信を持ってくれ!!!

ロケットニュース24

『餃子』のイメージが強すぎる街・宇都宮。しかし「鳥取といえば砂丘だよね」と100万回言われ続けてきた私(鳥取出身)には分かるぞ……おそらく宇都宮市民は、その強すぎる餃子イメージにウンザリしているに違いない。そしてこう思っていることだろう。「餃子以外にも色々あるぞ」と。

そんな市民の想いを代弁すべく、私は宇都宮へやってきた。地元をよく知るタクシードライバーに “一番おいしい店” へ連れて行ってもらう本企画、今回はあえて「餃子以外で」という条件を付け加えたいと思う。餃子の陰に隠れし宇都宮グルメ、とくと堪能させていただく!

・スーパーギョウザシティ

とりあえず宇都宮中心部を偵察してみると、やはり餃子屋の看板がたくさん目につく。

餃子関連のグッズも多数。

『餃子通り』なんてゾーンまで!

これほど餃子屋があるにも関わらず、多くの店先で行列が発生している様子だ。覚悟はしていたけど、宇都宮って本当に餃子の街なんだなぁ〜!

「だったらもう、普通に餃子屋へ行けばいいやん」って思った方へ……実は私、餃子がそれほど好きってわけでもないのである。いや、もちろんおいしいとは思うが、なんというか、ぶっちゃけ味の違いがあまり分からないんだよね。

そこへきて近年、我が国には “餃子を異常に愛する者” が数多く台頭し始めた。私のようなライト層が気軽に餃子を語れる時代ではなくなったのである。まったく生きづらい世の中だよ……ってことで当初の予定どおり、今日は餃子以外の店へ行くからそのつもりで!


さて駅周辺でタクシーをつかまえた私は、元気よく「餃子以外のおいしい店までお願いします」と告げた。しばし考え込むタクシードライバーさん。喋り方がU字工事と完全に一致していることから、間違いなく栃木県出身者と思われる。気になる答えは……


ドライバー氏「すみません、ないです」


・北関東民の哀愁

これが決して投げやりな答えではなく、深く考えた末の「ない」であることは彼の目を見れば明らかだった。あまりの展開に慌てる私。いや、さすがに「ない」ってことはないでしょう、例えば『宇都宮焼きそば』とか、『いちごの何か』とかさぁ……。

説得を試みること5分。ようやくタクシーは西へ進み出した。ドライバー氏いわく、今から行く店は「餃子も扱っているが、餃子がメインではない」とのこと。 “餃子以外なら何でもいい” という条件でも餃子が登場するなんて、宇都宮における餃子の呪縛は相当根が深いようだ。


ドライバー氏「 “おいしい” という感覚は人それぞれですからね……今から行く店が不味かったら、その時は本当、ごめんなさい。ただ、その店へ行くお客さんを乗せることがよくあるので……そこそこ人気店ではあると思うんです、ハイ……」

「大丈夫です! こちらこそ無理を言ってすみません!」

ドライバー氏「もし『不味いな』と思っても、恨まないでくださいね……」

「もちろんです!」

ドライバー氏「…………」

「…………」


「あっ、そういえば、宇都宮のパルコは閉店したのですか?」

ドライバー氏「ハハ……もう何年も前の話です。宇都宮はこの先も、どんどん廃れていくだけですよ……」

「そ、そんなことは……!」

ドライバー氏「ところで、今から行く店が『不味いな』と思ったら、近くに餃子の『正嗣(まさし)』があるのでそちらへ行ってください。 “おいしい” という感覚は人それぞれですからね。もし好みでなくとも、恨まないでくださいね……」

「…………」


・郊外の大人気店

栃木・群馬・茨城といった北関東圏はしばしば「魅力度が低い」などとネタにされることもあるが、そういった風潮が少しずつ県民の心を蝕んでいるのではあるまいか……そう心配になってくるほど、ドライバー氏の話しぶりからは地方都市特有の哀愁が滲み出ているのだった。

記事テーマを『宇都宮のタクシードライバー・ロングインタビュー』に切り替えようかと本気で悩み始めたころ、車は目的の店『和の中(わのなか)』へ到着。所要時間は宇都宮駅から20分ほど。普通に観光していたのではまず辿り着かない場所だ。

ピークタイムは過ぎているのに店の外に行列が! お世話になったドライバーさんに礼を言い、さっそく列に加わる。

20分ほど待って通された店内は、エキゾチックな雰囲気ただようオシャレ空間。

壁には認定証がズラリ! この時点で少なくとも “不味い” ってことはなさそうである。

ゆったりとしたシートに最新式タッチパネル……

セルフサービスのお茶や小皿もうれしい! この惜しげのないスタイル、都会の飲食店にはマネできぬ芸当。


・謎のひとり大食いチャレンジ

さて。お店の方にオススメを尋ねたところ『餃子』『チャーハン』『ラーメン』が人気であることを知らされた。もうここまで来てガタガタ言うつもりはない。お腹もペコペコだし、ぜんぶ食おうじゃないか……もちろん餃子も!

一番人気は『ゆで餃子』とのことだが、好みの関係で『薬膳焼き餃子』(税込363円)をチョイス。プックリ丸くてカワイイ!

特製のにんにく醤油に浸して……

あ、おいしい! 手作りの皮からハードな小麦の風味、そして餡からは野菜の歯ごたえと甘みを強く感じる。あまり語るとボロが出そうなので控えるが、ただ油っぽいだけの餃子とは違う “ツウ好みの餃子” って感じ〜!

そして大感動モノだったのが、こちらの『内モンゴル岩塩ラーメン』(税込768円)。

この奥ゆかしい味……むかし実家の近所にあったラーメン屋『加藤』の味にそっくりだっ!!!! ちなみに『加藤』が閉店したのは今から30年前のこと。まさか宇都宮で幼い記憶が鮮やかに蘇るとは……!

私はずっと『加藤』に似た味のラーメンを探し求めていたが、過去に食べた中でコレが最も正解に近い気がする。素朴でありながら複雑なこの風味、簡単そうでなかなか出せないんだよなぁ……あっぱれ。マジで。

それから超分厚いチャーシューは柔らかくって味が染みて……いくらなんでもコレで税込768円は安すぎる。お世辞抜きで関東トップクラスの高コスパ!

餃子のタレで味付けする『石焼餃子チャーハン』(税込878円)は、お店の人に頼んで仕上げてもらう。

この悪魔的なまでのパリパリ感、むしろチャーハンというより『せんべい』に近いレベル。最終的に食べきれずテイクアウトすることになったのだが、冷めてもパリパリが持続していた。セットの薬膳スープと混ぜるのもオススメだぞ!


さて。それはそうと……先ほどから気になって仕方ないのがトイメンに座る老紳士だ。


・もうひとつの人気メニュー

中華屋らしくないフォークとナイフを操り、巨大な黒ダンゴを切り分けている彼。よく見ると、店内ほぼ全ての客が謎の黒ダンゴをオーダーしている様子だ。明らかな隠れ人気メニューである。しまった。ラーメンかチャーハンをやめて黒ダンゴを注文すべきだったか……!


とかやってたら……



お店の方に黒ダンゴをサービスされてしまった!!!


う〜ん、近くで見るとやはりデカイ。物欲しそうな様子を察してくださったのだろう。ここはありがたく頂戴させていただきます! 黒ダンゴの正体は『厚切り黒酢酢豚』(税込1098円)。

丸い肉ダンゴスタイルでありながら、中身はミンチではなく繊維感のあるポーク。お店の人に作り方を尋ねたところ「秘伝の製法でゴロゴロ肉をダンゴ状に形成している」とのことだ。トイメンの紳士にならってフォークで口に運ぶと……


控えめに言って世界一の酢豚だった。


外側カリカリ中身はやわらかジューシー。酸味の強いソースのおかげか、このボリュームでもあっさり完食できてしまう。他の3品ももちろん美味だったんだけど、どれか1つしか選べないとしたら、個人的には圧倒的にこの黒酢酢豚を推したい。あっぱれ。


・結論:宇都宮は最高

予想外の黒ダンゴ襲来に、限界を突破してしまった私の胃袋。

しかしご安心! テイクアウト利用者も多い『和の中』では、お願いすれば食べ残したぶんをパックに詰めてくれるぞ。私は汁物と餃子を優先して平らげ、チャーハンを持ち帰る作戦で事なきを得た。

最後はコーヒーと杏仁豆腐でフィニッシュ。ここ数年の外食で個人的満足度ナンバーワンの名店であった。まったく、誰だ「不味かったらゴメン」とか言ってた奴は。このために宇都宮へ来てもいいくらいの価値があるじゃねぇか。もっと自分に自信を持つべきだろ!

ってことで今回の調査の結果、やはり宇都宮は餃子だけの街ではないことが明らかとなった。なお『和の中』へは宇都宮駅からバス(『駒生町』下車)1本で辿り着ける。栃木へ来たらマジで訪れてみてほしい……これはマジのマジ情報だぞ!


・今回ご紹介した店舗の詳細データ

店名 和の中
住所 栃木県宇都宮市駒生町1296-33
時間 ランチ11:30~14:30(LO14:00)、ディナー17:30~22:00(LO21:00))
定休日 月曜日

執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.

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