GoogleとMicrosoftが大量のスパム広告をDuckDuckGoなどの小規模検索エンジンに表示させていることが判明

インターネット上にはGoogleやBingといった有名な検索エンジンの他に、DuckDuckGoやEcosiaなどの小規模な検索エンジンも存在しています。これらの小規模検索エンジンはGoogleやBingの検索システムや広告ネットワークを利用していますが、GoogleとMicrosoftが小規模検索エンジンの検索結果に意図的に多くのスパム広告を表示させていることが判明しました。

New EU antitrust frontier emerges for Microsoft and Google: Spam ads – POLITICO
https://www.politico.eu/article/microsoft-google-bing-spam-ads-advertising-market-eu-commission-margrethe-vestager-antitrust/

世界で最も使われている検索エンジンであるGoogleや、Microsoftが運営する検索エンジンのBingは、その検索システムをDuckDuckGoやEcosia、Lilo、Qwant、Startpageといった小規模検索エンジンに提供しています。これらの小規模検索エンジンはGoogleやMicrosoftと広告に関する契約を交わしており、小規模検索エンジンにはGoogleやBingと同様の広告が表示されるようになっています。

しかし実際には、小規模検索エンジンにはGoogleやBingとは異なる広告が表示されます。例えば、GoogleとGoogleの検索システムを利用しているStartpageで「apple」という語句を検索すると、Googleでは最上部にAppleの広告が1つ表示され、続けてApple公式サイトへのリンクが表示されますが、StartpageではApple以外のウェブサイトの広告が3件表示され、Apple公式サイトへのリンクはページ下部に追いやられています。

海外メディアのPOLITICOによると、多くの小規模検索エンジンで上記と同様に「GoogleやBingよりも多くのスパム広告が表示される」という現象が確認できたとのこと。2022年1月に複数の検索エンジンを10日間利用した際に表示されたスパム広告の件数を示すグラフを確認すると、Googleでは30件のスパム広告が表示されたのに対してGoogleの検索システムを利用しているt-onlineやStartpageでは20倍以上のスパム広告が表示されたことが分かります。

BingとBingの検索システムを利用する検索エンジンを比べた場合も、Bing以外の検索エンジンでは数倍以上のスパム広告が表示されています。

POLITICOが各検索エンジンの運営企業に対して表示される広告の違いについて問い合わせた結果、Googleからは「表示される広告の種類をコントロールするアルゴリズムを使用しています」という回答が得られたとのこと。また、Startpageは「我々の検索エンジンではプライバシーを重視しているため、広告が最適化されていない可能性があります」と回答しましたが、POLITICOは「履歴やCookieを初期化したデバイスで調査しましたが、やはりGoogleやBingと小規模検索エンジンでは異なる広告が表示されました」と指摘しています。

Googleは「検索結果に競合他社より自社のサービスを優先的に表示させた」ことが独占禁止法に抵触しているとして、EUから24億2000万ユーロの制裁金を科されています。POLITICOはGoogleとMicrosoftが小規模検索エンジンに対してスパム広告を多く表示させている状況も同様にEUからの制裁を受ける可能性があると指摘しています。