止まらぬアメリカのインフレから、適切なマクロ・ミクロ経済政策を考える

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こんにちは、音喜多駿(日本維新の会 参議院議員 / 東京都選出)です。

超・大規模財政出動で勝負に出た米バイデン政権ですが、世の中にうまい話があろうはずもなく、止まらぬインフレに悩まされ続けています。

こちらの方がTweetで指摘している通り、バイデン政権は再分配と経済成長をも「財政出動」によって実現しようとする、極めて社会主義的・左派的な政策を採用しました。

インフレになったら、金融引き締めと増税で機動的に対応できるという目論見も外れ、FRB(いわゆるアメリカの中央銀行)はインフレと金利をにらみながら対応に苦慮しています。

政府&中央銀行による金融政策・財政出動の主な目的は雇用の安定化であって、それ以上のこと(経済成長や格差解消)を求めるのは誤りであることが、これ以上なくストレートに証明された結果と言えるのではないでしょうか。

日本はこのアメリカの経済政策を他山の石としつつも、固有の事情により難しい舵取りが迫られます。

原油価格の高騰などで一部製品に値上げが見られるものの、一般価格の上昇にはまだ及んでおらず、GDPギャップ(内閣府の最新試算で4.8%)から考えてもまだ金融緩和・財政出動は継続する局面であると判断するのが妥当だと思います(むしろ続けないと危うい)。

一方で、米国を見ればわかる通り、金融緩和と財政出動は無期限・無制限に続けられるものではなく、またそれだけで経済成長が達成できるものではありません

だからこそマクロ経済政策が打てる余地がある間に、ミクロ経済政策である構造改革(雇用の流動化や新規参入規制の撤廃、民営化etc)を急ピッチで進めていく必要があります。

一部の方には残念な事実かもしれませんが、民間企業の創意工夫や競争・イノベーションなくして経済成長はありえないのです。

アメリカがヤバいからすぐに金融緩和・財政出動をやめろという「緊縮財政論」も、とにかくお金を刷ってバラまけば成長できるという極端な「MMT的反緊縮論」もどちらも誤りであって、おそらく正解はその間にあるあるいは別の政策割当を追加する必要があると言えるのではないでしょうか。

しかしながら、この「適切な塩梅」というのが経済政策を実行するにあたっては極めて難しい…。

私の「労働市場流動化」コメントがTwitterで大炎上しているのでおわかりのとおり(苦笑)、大きな変化を伴う構造改革は嫌がるステークホルダーが極めて多く政治的に頓挫しがち。

それゆえ中途半端な財政出動圧力のみでズルズルと場当たり的な金融緩和と財政出動だけを続ける延命措置を繰り返した挙げ句、マクロ経済政策が打てない状態にまで追い込まれてしまう可能性が非常に高いといえます。

先のプライムニュースでの甘利前自民党幹事長の「覚悟が足りない」コメントを見ても、図体の大きな自民党はこの自体を前に立ちすくみ、上滑りを続けています。

金融緩和の継続・減税による財政出動、そしてこうしたマクロ経済政策が打てる余力がある間に放つ第三の矢・ミクロ経済政策の構造改革で完成する「真・三本の矢」を今こそ完成させなければなりません。

金融財政政策の効果と限界を適切に見極めながら、マクロとミクロの政策割当が機能するよう、引き続き国会論戦の中で政府与党に対案を提示していきます。

それでは、また明日。

franckreporter/iStock


編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会)のブログ2022年2月14日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。

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