削るべきか削らざるべきか?–AIは歯科医よりも歯を知っているかもしれない

CNET Japan

 歯科医院に行って、医師が虫歯だと指摘した歯が本当にそうなのか確信が持てなかったことはないだろうか。あるいは、セカンドオピニオンのために別の歯科医院に行ったら、全く別の歯の治療が必要だと言われたことは?

歯科医院のイメージ

 残念ながら、こうしたことは歯科ではよくあることだ。実際、「Reader’s Digest」の記者が50軒の歯科医院に行ったところ、ほぼ50の異なる診断結果だったという有名な話がある。

 歯科における診断の信頼性と精度を高めるための技術革新の機は熟した。さまざまな理由で、歯科は人工知能(AI)の理想的なフロンティアだ。レントゲン写真が多数撮影されるだけでなく、データの匿名化も簡単なので、AI/機械学習が取り込んで学習するための優れたデータセットがあるからだ。それに加えて、歯科業界には他の医療業界のように訓練を受けた専門の放射線技師が不在なので、善意の開業医にとっては「AIの目」の追加は歓迎すべきものになるだろう。

 ロサンゼルスに拠点を置くPearlのCEO、Ophir Tanz氏は、歯科用AI技術の開発者だ。AIによって歯科医療から当て推量診断を排除し、医師と患者の双方に安心感を与えたいと考えている。Ophir氏自身も歯科医の息子で、歯科業界でのAIの可能性に気づき、コンテキストインテリジェンスAI企業のGumGum(現在の企業価値は7億ドル)を立ち上げて成功させた後、この技術で歯科業界を変革しようとしている。

 Tanz氏に、歯科の未来とAIが患者の転帰や業界全体に与える影響について尋ねた。

–なぜ歯科がAIにとっての理想的なフロンティアなのでしょうか?

 歯科業界は2つの理由でAIによる革新の機が熟しています。まず、レントゲン写真が豊富にあります。患者は2年ごとに歯科用レントゲンを撮影するので、他のどの医用画像よりも多数のレントゲン写真があります。これは、歯科用AI放射線システムの開発に非常に役立ちます。システムは、多数のレントゲン写真でトレーニングする必要があるからです。

 次に、歯科業界には、他分野の医療業界よりも起業家精神があります。ほとんどの歯科医は診療所にある程度投資しているので、医者であると同時に事業主でもあります。歯科医の主な関心事は患者に最適な治療を施すことであり、AIはそれを助けます。それだけでなく、AIは歯科医が事業主として直面する経営上の懸念に対処するのにも役立ちます。治療水準と患者の転帰を高めるのと同じAIの洞察を、予算編成、人員配置、資材、設備リソースなどに関する意思決定の支援にも使えます。

 イノベーションは受け入れられる必要がありますが、AIの利点は歯科医の仕事のあらゆる側面に影響を与えるため、彼らはAIのアーリーアダプターになりやすいのです。また、他の医療業界の医師とは異なり、歯科医は事業主であるため、AIに投資する権限と推進力の両方を持っています。

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