ニッポンを強くしよう

アゴラ 言論プラットフォーム

私のブログは日本を批判することが多いと思っていらっしゃる方は多いでしょう。それは残念ながら全くの外れです。叱咤激励、これが正しい答えです。私は日本がうろたえているのを外から見続け、何ができるのか考えてきました。そしてエールを送り続けたのが2007年から一日も休まずにアップし続けたこのブログの意味するところです。

monzenmachi/iStock

私はソフトな論調で迎合的になりながら皆さんと「そうだよね」と言い続けることもできます。このブログへのアクセス数を増やし、人気ランクを上げることだけを考えるなら写真なりもっと万人受けする興味深いことを書けばよいでしょう。もし、それを望む方がいるならば他に星の数ほどあるブログや動画などを参照頂ければと思います。

私はバブルの申し子と言われるほど日本のバブル経済をど真ん中で実感し、苦い失敗やとんでもない経験をしたのち、91年の秋にバンクーバーへの転勤を命じられ、片道切符となりました。いみじくも日本がもがき苦しみ、失われた時代に突入した時と重なります。

私はカナダに来て苦労の連続でした。生粋の日本人が北米という社会で生き延びるための自己変革は時として日本人のメンタルを修正しなければならず、日々挑戦以外の何物でもありませんでした。いや、30年たった今でも同じです。毎日、必ず何かある、これが私の日々でそれをどう解決するかで悩まされ、ほっとすることはありません。

ですが、私は「日常の中の非日常」を通じて強くなったともいえます。これは経験者でなければわからないでしょう。数多くの日本の読者の方々にこれをご理解頂くにはたやすくありません。「お前はあちらの人だからね」と言われてしまっては元も子もないからです。

それ故に日本のメディアには目を通し、日本でもビジネスをし、母校の校友会に関与し、日本の方と日常的にやり取りしながらその距離感を狭める努力をしたうえで様々な意見をさせて頂いています。

さて、前置きが長くなりましたが、ニッポンを強くするにはいくらでも方法があります。ただ、それには何をどう強くするか、議論しなくてはいけません。私の思う結論は未来のニッポンです。言い回しには気をつけなくてはいけませんが、50代から上の方々はそれなりに自分の道を歩んで第三コーナーから第四コーナー、そして最後のストレッチに向かっています。この方々はなんだかんだ言っても人生経験を通じて作り上げたものがあるし、今更変えることも望まないし、言うことも素直には聞き入れません。

しかし、これから社会に出る人、あるいは社会に出たばかりの人達の30年後、50年後を想像したとき、日本がどうあるべきか、今から設計しないともう変わることはできないのです。社会制度は世代をまたがってゆっくり変化するものです。

私の実感では二世代ぐらい経たないとそれが浸透しません。例えばマイナンバーカードはかつて国民背番号制度と酷評された1980年の財務省の「グリーンカード案」が発祥です。それから40年たってようやく「ないと困る」という社会制度が少しずつ進んできた状況です。

私の愛読紙は日経や日経ビジネスですが、最近、記事のトーンが日本に対して厳しいものが妙に増えています。「本当にこのままでよいのか?」です。社会は故石原慎太郎氏のような剛腕型の指導者を良しとしなくなりました。故に問題を提起し、それに立ち向かう強力なリーダーではなく、全天候型の人が好まれます。

社会に広がる様々な思想、収入層、社会的地位、性別、年齢層等三次元で広がる「国民のばらつき」の最大公約数だけを政党戦略として追い求めるのが正しいのか、私には疑問です。また、未来の日本づくりのための政府の絶対方針(何党が与党になろうとブレない国家の基盤方針)が存在するとは私には思えません。

アメリカは移民大国がアメリカンという同胞づくりをします。カナダは世界第2位の国土ながら3700万人しかいない国家故に毎年人口の1%以上を移民として受け入れ国家の成長の糧を築きます。批判される中国も共産思想なり共同富裕なり明白な方針があります。韓国は国内の限られた経済資源では生き残れないために多くが移民として世界に根付き、逞しいビジネスを展開しています。

強く成長する国はそれぞれに向かうべき方向を示していますが、日本は自由奔放故にバラバラでアメリカ以上に個人主義、家族主義が進んでいるともいえます。

東京都は国際金融都市を目指す、と小池百合子都知事は述べますが、コロナでそのプランは完全に凍結されました。しかし、マーケットはこの間、ずっと動いています。そして香港の地位を誰が奪うかという水面下の戦いが進んでいます。最近、ソウルの方が有利ではないか、という声すらあります。

鎖国宣言をした岸田首相の判断に私は一番初めに「それが正しいと思うなら批判はしないが、一度締めた門戸は開けるのに抵抗勢力があって苦労する」という趣旨のことを申し上げました。岸田首相に本当に聞いてほしかったところです。

私は「日本は日本のやり方で」という声を聞き続けています。もちろん、それが正しいのですが、意固地になってもいけません。

論理的でMake Senseするものでなければなりません。そして世の中が技術革新、常識観の変化、世界の勢力地図の変化などを通じて日々変わっていく中、ガラパゴス化していくことだけは避けてもらいたい、そしてこれからを担う若者たちに未来と光があるニッポンを作ることを50代から上の層が積極的に後押しするようになって欲しいと考えています。

理想論と言われればそう、だけど理想も夢もビジョンもなくて日々を何気なく過ごすのはあまりにも「もったいない」という典型的な日本思想でお答えしたいと思います。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2022年2月13日の記事より転載させていただきました。

タイトルとURLをコピーしました