「コロナで患者死者増」は本当か – 中村ゆきつぐ

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前回のブログを書いた後、このような朝日新聞記事が出ました。

>「高齢者施設からの救急要請に、施設の医師、看護師等による観察や酸素投与等必要な処置が施されている状況でも、保健所を介さず直接119番通報されている事案が見受けられる」と指摘。相談先として区の保健福祉センターや、市保健所の自宅療養者向け窓口を紹介している。

朝日新聞の表題の付け方には相変わらず悪意を感じますが、少し解説します。

施設入所中の方の状態が悪化した際、その施設の協力病院、いわゆる老人病院と言われるところに搬送されることがほとんどです。もちろん超高齢者、意識レベル、認知度、寝たきり度、要介護度はそこそこの方になります。

本来コロナ感染でなければ、尿路感染症、誤嚥性肺炎などを繰り返していることが多い患者さんですので、その際に地域の2次、3次救急を受け持つような総合病院に送られることはそこまでありません。そう上記のもとの状態の改善はいくら高度な医療をおこなっても不可能だからです。

もちろんPSが保たれている方の初回の悪化などの病態によっては超高齢者でも総合病院に送られることがありますが、その病態が改善しても完全に元の「健康な」状態に戻ることは難しく、状態が安定すれば介護の問題などで自宅にいた方でも施設に移動されることが多くなります。

繰り返しになりますがもともと状態が悪いのですから一般的医療的介入ではそこまで改善することは乏しく、長期間のリハビリが必要となり、そしてその改善は保証されていません。

当然ですが普通の元気な若い方よりお亡くなりになる方がたくさんいらっしゃいます。そして感染症、心筋梗塞、脳卒中が増加する冬場になればその数はそこそこのものになり、コロナ前は今まで速報的に数を上げることはありませんでした。

そして「コロナに感染した」高齢者は今いわゆる老人病院に後送することができていません。だからほとんどの場合施設が必要と思った瞬間に総合病院に送られているのです。これが前回のブログ記事の協力・連携不足の部分です。

総合病院の先生たちがそこまで診ていなかった「コロナに感染した」重篤な高齢者に今までの医療をやってしまうと、自分達が行ってきた絶対的に「命」を維持する今までの医療とのギャップに悩まされていると思われます。目の前の患者さんの命を助けられないという罪悪感、そしてコロナ感染に対する感染対策の手間、それが今の総合病院の医療逼迫を生んでいると感じます。

かなりひどいことを言っていると思われる方がいらっしゃる方も承知の上で書きますが、今の時代になっても老衰を医療で(短期間に)改善させることは不可能ですし、人間いつか必ず100%お亡くなりになります。そして例年のその死者数は今コロナ関連で亡くなっている人数とさほど変わっていないのです。

感染対策、マスク、手洗い、3密予防、換気が大切です。3回目のワクチン接種が大切です。そして高齢者に感染させないことが大切です。そしてそれらをやった後の結果は受け入れることも大切です。

その医療の限界を無視してこのような表題を書く朝日新聞は、政治的に自治体を叩くことを第1の目的として、結果的に医療現場を改善する気は全くないのでしょう。

感染者のピークは低下してきました。もう少しの辛抱です。

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