人間の「アイデア」が枯れることはあるのか?

GIGAZINE
2022年02月11日 20時00分
メモ



ノーベル賞を受賞するような偉大なひらめきから便利なタンスの整頓方法まで、人はさまざまアイデアを生み出し、それを生活に役立ててきました。そんなアイデアが尽きてしまうことがあるのかどうかや、どうすればアイデアがあふれるような社会が作れるのかについて、科学系ニュースサイト・Live Scienceが異なる分野で活躍する複数の専門家に質問した結果をまとめています。

Can humanity run out of ideas? | Live Science
https://www.livescience.com/can-humanity-run-out-of-ideas

「人間が思いつくアイデアに限界はあるか」という質問に対する、アメリカ・オーガスタナ大学の哲学者であるデイビッド・オハラ教授の答えは「いいえ」です。この問いに取り組むにあたって、オハラ教授はまずアイデアを「世紀の大発見だけでなく、毎朝をより充実させる方法といった比較的単純なものも含めた『人間が理解できる物事の組み合わせ』」と定義しました。

その上でオハラ教授は、「例えば、囲碁の石の置き方の組み合わせは、宇宙にあるすべての原子の個数よりも膨大です。同様に、私たちの脳細胞の数は有限ですが、脳細胞の結合の組み合わせは無限に近いので、理論的には無限のアレンジが可能です。つまり、人類は文明が終わるまでにアイデアを使い果たすことはできないでしょう」と論じました。


一方、ボストン大学の脳科学者で同大学の認知・臨床神経科学研究所の所長であるロバート・ラインハート氏は、オハラ教授とは少し違った観点から「限界がある」との見方を示しました。ラインハート氏もオハラ教授と同様に、アルファベットといった有限の要素の組み合わせから膨大な文章を生み出せることから、ある意味でアイデアは無限と言えることには同意しています。

その上でラインハート氏は、一瞬で体色を変化させて周囲の環境に擬態できるイカやタコのように、生物界には人間とは異なる感覚器官や人間の脳では処理できないような情報に依存したアイデアが存在しうると指摘。「アイデアが尽きるかどうかはともかく、人間を含むすべての生き物には認知の限界があります。つまり、人間には人間の脳の構造を超えた発想はできないわけです」と述べました。

Live Scienceが次に、「認知の限界はともかく、社会に影響を与えるような革新的なアイデアは尽きてしまうのでしょうか?」との質問を専門家にぶつけると、前問でアイデアは無限としたオハラ教授は条件付きで「多分ない」と回答しました。

オハラ教授が言う「条件」とは、人間が創造性を失い、新たな概念に対する興味を持たなくなってしまうことです。オハラ教授はこれについて、「不思議に思う気持ちや、新発見に対する畏敬の念を忘れたとき、私たちは新しいアイデアを知覚する能力を失ってしまいます。そのような場合を除けば、いいアイデアや新しいアイデア、面白いアイデアに限界はないと思っています」と述べました。


また、ラインハート氏は現代社会における教育のあり方に切り込んで、「成績というかたちで報酬を優先する教育システムは創造性を損ない、関心を失わせ、学習には逆効果で、浅慮を助長し、困難な課題を回避させ、知的なリスクテイクと探究心を減退させる傾向があります」と批判しました。その上で同氏は、「好奇心や批判的思考、協調性を尊重した学習環境や職場を整えることが、大きくて新しいアイデアが生まれる土壌となるでしょう」と述べて、自由な発想を育むことの重要性を強調しました。

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2022年02月11日 20時00分00秒 in メモ, Posted by log1l_ks

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