ダ・ヴィンチ発案の「空気ねじ」で飛ぶドローン

GIZMODO

ラピュタのオープニングに出てきそう。

レオナルド・ダ・ヴィンチといえば『モナ・リザ』とか『最後の晩餐』とかの絵で知られてますが、1480年代、人類が空を飛ぶより何百年も前に、彼は飛行機のデザイン画も描いていました。当時は飛行機に使えるような素材がなく、ダ・ヴィンチがこのヘリコプターのような乗り物を実際に作ったり試したりできなかったので、実際こういうものが飛べるのかどうかもわかりませんでした。

ダ・ヴィンチの飛行機を再現

でも実際、飛べることがわかりました。メリーランド大学のエンジニアたちが、ダ・ヴィンチのデザイン画に基づいたドローンを作り、ヘリコプターのデザインコンテストに参加したんです。その名も「Crimson Spin」(深紅のスピン)、小さなクアッドコプターで、ダ・ヴィンチが描いた「空気ネジ」のデザインにインスパイアされた羽を載せています。ちなみに空気ネジはもともと、アルキメデスのネジを使って空気を押し、その力で飛ぶ、という発想で考案されたと言われてます。

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Image: Wikimedia Commons

コルク抜きの先端を拡大したみたいなCrimson Spinの羽はプラスチック製ですが、ダ・ヴィンチの絵ではそれを回すのが人手であるのに対し、このドローンではバッテリーと電気モーターで動いてます。現代のドローンと同じく、方向を変えるときにはプロペラのスピードを微妙に変化させます。ダ・ヴィンチの絵では回転体は1本しかないんですが、それだと作るのはもっと複雑になり、現代のヘリコプターのような技術が必要になるそうです。

修士号取得のためにCrimson Spin開発に参加したAustin Prete氏は、試験飛行を行って撮影し、その動画をTransformative Vertical Flightカンファレンスで披露しました(動画はこちらの記事でご覧いただけます)。

「実際ちゃんと動いたのは本当に驚きでした」メリーランド大学航空宇宙工学修士課程に属するPrete氏はCNETで言っています。いわく、このドローンはそれぞれの羽の先端で空気の渦を作り出し、その渦が下向きに回っていくことで、上向きの推進力を得られるそうです。

通常のヘリコプターよりも音が静か

530年前のデザインのヘリコプターで人間が飛び回ることはないかもしれませんが、垂直離着陸型の航空機は荷物の配送や空のタクシーといった用途がありうるとして注目されつつあります。しかもCrimson Spinのユニークな構造は、垂直離着陸機の課題とされるいくつかの欠点への答えにもなります。通常のヘリコプターのプロペラより吹き下ろす風の力が小さく、音も静かなんです。

Crimson Spinは量販店に売ってるDJIのドローンくらいの大きさですが、Prete氏は「形状の最適化と、いろいろな飛行体制における性能の精査」により拡張でき、人を載せられるサイズにもできると言っています。彼自身は修士号取得後に企業に所属することが決まっていて、この研究はこれ以上進めませんが、資金さえあればメリーランド大学の中で研究が続いていくかも、とのこと。

Crimson Spinは人を載せられる実用的なホバーマシンになるかもしれませんが、機能や性能、信頼性の面でもっと精査されない限り、今の企業デザインの中で使われるとは考えられません。でも最終的に、ダクテッドファン(訳注:ドローンによくある、円筒の中にファンが入ってるもの)と同じような位置で使われるようになれるかもしれません。

とPrete氏は語っています。

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