岸田首相は今後も朝令暮改を貫け – 田原総一朗

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田原総一朗です。 2022年の幕開けは、残念ながら、「オミクロン株」一色となってしまった。 1日当たり新規感染者は、1月22日では、全国で5万4569人、過去最高となった。
都道府県別に見ても、東京の1万1227人をはじめ、大阪、愛知など、多くの都道府県が、過去最高人数を記録している。 米軍基地がある沖縄をはじめ、山口、広島などは、基地内で起きた「米軍クラスター」から多数の感染者を出してしまった。 米軍関係者には、日本入国に際しての検査も自主隔離もない。
このコロナ禍でも、フリーパスなのだ。 あらためて日米地位協定という、日本が抱える重い問題を考えた。
オミクロン株の感染力は猛烈で、東京都では、1月11日は962人だったのが、12日2198人、14日4051人、16日4172人18日5185人、20日8638人、そして1月22日が1万1227人と、恐るべき勢いで増加している。 明らかにこれまでの感染力とは違う。
重症率は低いといっても、患者がこんなにも多ければ、重症者も増えるし、死亡者も出るだろう。 しかし、2019年平均の完全失業者数は約162万人、最新の2021年11月分データは約182万人。
年と月なので単純比較はできないが、約20万人も増加している。 これ以上国民生活、経済にダメージを与えることは避けねばならない。政府も自治体も専門家も、この対策に困惑している。 政府は、医療活動などの維持と、オミクロンの特性を考慮し、濃厚接触者の待機期間を、14日間から10日間に、医療従事者などはPCR検査等で陰性だった場合、最短で6日間に短縮した。 岸田首相は、昨年には10万円の給付金を、当初の現金とクーポン各5万円から、全額現金支給も可能とした。 またワクチン接種の、2回目から3回目までの間隔を、「8カ月」から「6カ月」とした。 厚労省からはかなり抵抗があったと聞く。 こうした方針転換は、よく言えば「聞く耳を持つ」、悪く言うと「朝令暮改」だと言われている。 しかし僕は高く評価している。 何といっても、これほど強力な感染症との闘いは、現代の日本人にとって、初めての体験なのだ。
頑なに方針を貫くより、まずは柔軟になるべきだと思う。 だいたい、まじめな日本人は、一度決めたことを変えまいとする傾向にある。
官僚などはその最たるものといえよう。 僕は多くの政治家から、その「抵抗勢力」のすさまじさを聞いた。 メディアや周囲からの批判を恐れず、方針を変える岸田首相には、胆力があると感じる。 「朝令暮改」でよいではないか。
柔軟に、この第6波を乗り切ってほしい。

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