中国女性工作員 米英豪に浸透か – NEXT MEDIA “Japan In-depth”

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澁谷司(アジア太平洋交流学会会長)

【まとめ】
・英米の政界で中国女性工作員が暗躍との発表、報道が相次ぐ。ハニートラップも駆使。

・「米国内に数百人から数千人の中国人スパイ」の証言。オーストラリアも攻撃目標に。

・一連の報道から、中国共産党は世界支配を目指し、特にAUKUSに工作員多数を潜入させているとの疑惑が湧く。

今年(2022年)1月13日、英情報局保安部、いわゆるMI5(Military Intelligence Section 5)は、中国女性工作員が英議会に対し、献金を通じて「政治的な影響力行使」に関与していると警告した、と報じられた。(『JIJI.COM』<時事通信社>「中国工作員、英議会で暗躍 情報機関が異例の警告」<2022年1月14日付>)

第1に、MI5は、クリスティン・チン・クイ・リー(Christine Ching Kui Lee)が中国共産党の海外工作や政治介入の中心組織、中央統一戦線工作部(以下、中央統戦部)と連携していると主張。

第2に、クリスティン・リーは「英中プロジェクト」や「中国海外友好」などの事業名目で、複数の政党、議員らに対する献金に関わってきたとされる。

第3に、MI5は中央統戦部指揮下の活動について「政治家や著名人を欺き、腐敗させ、強制し、共産党の目的を支持する発言や行動を取らせ、批判的な声を封じることを目指している」と指摘した(同上)。ちなみに、海外で教育支援プログラムを実施している孔子学院は、中央統戦部の管轄下にある。

他方、『BBC NEWS(Japan)』(「英MI5、『中国工作員』が議会で暗躍と警告 中国は否定」<2022年1月14日付>)は次のように伝えている。

第1に、クリスティン・リーは中国や香港の非英国人から得た資金を、英国政治家に献金として渡していた。

第2に、最大野党・労働党のバリー・ガーディナー(Barry Gardiner)下院議員は、2014年末以降、リーの法律事務所「クリスティン・リー&カンパニー」から献金を受けていた。そして、下院議員の利益登録簿によると、2020年までの間に42万ポンド(約6500万円)以上を受け取っていた。

第3に、リーの息子がガーディナーの議員事務所でボランティアとして働き始め、後に正式採用された。

クリスティン・リーは、ロンドンとバーミンガムに弁護士事務所を構えている。リーは1963年、香港で生まれた。1974年、両親と共に香港から北アイルランドへ移住している(英国籍を持つ)。なお、リーには2度の結婚歴があるという。

無論、英議会だけではなく、米連邦議会内にも、中国人スパイは浸透している、との報道もある。

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