侵攻備え米軍部隊8500人派遣待機 – BBCニュース

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米国防総省はロシアのウクライナ侵攻に備え、米軍部隊が派兵の準備を整えているとした AFP/Getty Images

ウクライナ情勢が緊迫するなか、米国防総省は24日、戦闘準備が完了している8500人規模の米軍部隊をいつでも派遣できる態勢を整えていると明らかにした。

ウクライナとロシアの国境付近には、10万人規模のロシア軍部隊が集結している。ロシアはウクライナに対する軍事行動を計画していないと主張し続けている。

米国防総省のジョン・カービー報道官は24日、米軍の派兵についてはまだ決定していないと説明。北大西洋条約機構(NATO)が緊急対応部隊を始動させた場合か、ロシア軍の増強をめぐって「他の状況が発展した場合」のみ、派兵すると話した。

また、ウクライナ国内そのものに派兵する計画はないとした。

ジョー・バイデン米大統領は同日、ヨーロッパの同盟諸国とのビデオ協議を開催した。西側勢力はロシアが侵攻した場合の共通戦略をもちたい考え。

デンマーク、スペイン、フランス、オランダなどのNATO加盟国は、東欧に戦闘機や戦艦を派遣し、現地の防衛力を増強させることを計画または検討している。

ウクライナには先週末にかけて、「前線守備隊」への武器など、約90トンの軍事支援物資がアメリカから届けられている

「欧米が完全に一致」

24日の欧米首脳のビデオ協議には、バイデン米大統領のほか、イギリスのボリス・ジョンソン首相、フランスのエマニュエル・マクロン大統領、ドイツのオラフ・ショルツ首相、イタリアのマリオ・ドラギ首相、ポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領、NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長が参加した。

欧州連合(EU)からは、ウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長と、シャルル・ミシェル欧州理事会議長(EU大統領)も加わった。

バイデン米大統領は協議後、「かなりいい会合だった。欧州指導者全員と完全に一致した」と話した。

ストルテンベルグNATO事務総長はツイッターで、「欧州安全保障をめぐる米大統領やNATO指導者らとの素晴らしい会合だった」、「ロシアがウクライナに対してこれ以上軍事進攻すれば深刻なコストを伴うことで一致した」と書いた。

Jens Stoltenberg (@jensstoltenberg) on X
Great meeting with @POTUS on European security with #NATO leaders @EmmanuelMacron, @OlafScholz, Mario Draghi, @AndrzejDuda, @BorisJohnson & our #EU partners...

英首相官邸の報道官は、指導者らが「ロシアの敵対的な行動が高まる中、国際社会が結束することの重要性で一致した」と説明した。

ロシアがウクライナに侵攻した際には、「同盟として素早く、前例のない規模の制裁などの報復措置を取る必要がある」ことで意見がまとまったという。

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首都急襲計画の情報

ジョンソン英首相はビデオ協議を前に、ロシアがウクライナの首都キーウ(キエフ)への急襲を計画していることを示唆する「嫌な」情報があるとして警戒を呼びかけた。

「ロシアの60の部隊がウクライナ国境に展開していると、情報は明示している。キーウ制圧のための急襲計画が、誰の目にも明らかだ」

ジョンソン首相はさらに、「それは破滅的な一歩だと、クレムリンに、ロシアに、はっきり伝えなくてはならない」と述べた。

ロシアはこれまで、NATOをロシアにとっての安全保障上の脅威だとしている。そして、ウクライナを含む東方にさらに拡大しないことを、法的に保証するよう求めている。

これに対しアメリカは、問題なのはロシアの武力攻撃であり、NATOの拡大ではないとしている。

緊張は緩和せず

米政府は23日、ウクライナの米大使館職員の家族に国外退避を命じた。イギリス政府も、大使館職員の国外退避を始めている。

英外務省は22日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領について、ウクライナ政府トップに親ロシア派の人物を据えようと画策していると非難した

英外務省に名指しされたウクライナのイーヴェン・ムラエフ元議員は、同省の主張について「ばかげている」とコメント。ロシア外務省も、英外務省は「偽情報を広めている」と非難した。

ロシアのセルゲイ・ラヴロフ外相は21日、アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官とスイスで会談した際、「感情的な反応が収まるよう望んでいる」と述べた

しかし、外交的な論争によって緊張緩和は実現しておらず、ロシアの通貨ルーブルは急落している。アメリカと同盟国は、ロシアがウクライナに対して軍事行動を取れば、新たな経済制裁を科すと警告している。

ウクライナは何カ月も前から、志願者による国防部隊を準備し、首都防衛のために訓練をしている。

参加している50代の医師マルタ・ユズキフさんはBBCに、「もちろん心配している。私は平和を願う女性で、戦争は始まってほしくない。しかし始まった場合のことを考え、国を守る準備をしておくべきだと思っている」と話した。

ロシアは過去にもウクライナの領土を奪っている。2014年には、ウクライナが親ロシアの大統領を追放したことを受け、ロシアはウクライナ南部クリミア地方を併合した。

併合後、クリミアはロシアへの編入の是非について住民投票を実施し、賛成が多数となった。西側とウクライナはこの住民投票を違法だとした。

ロシアの支援を受けた反政府勢力は、ロシアと国境を接するウクライナ東部ドンバス地方を支配している。ウクライナ軍と反政府勢力は同地方で戦闘を続けており、これまでに約1万4000人が死亡したとみられている。2015年の停戦合意は履行から程遠い状況が続いている。

(英語記事 US troops on high alert over Ukraine stand-off

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