未接種者への仏大統領発言に非難 – BBCニュース

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マクロン仏大統領はワクチン未接種者の社会活動へのアクセスを「可能な限り」制限したいと述べた Getty Images

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は4日、仏紙ル・パリジャンのインタビューの中で、俗語を使い、新型コロナウイルスワクチン未接種者の生活を困難なものにしたいと発言した。野党からは、大統領が分断を生じさせる下品な言葉を使用したとして、非難の声があがっている。

マクロン大統領はル・パリジャンのインタビューで、「私は本当に彼ら(未接種者)をうんざりさせてやりたい。我々はそれを続けるだろう。最後まで」と語った。

大統領はフランス語で「くそ」を意味する「merde」から派生した「emmerder」(くそくらえ)という下品な言葉を使い、未接種者の接種を望む強い思いを語った。ワクチンを接種していない残りの500万人について、「強制的に接種」はしないものの「社会生活における活動へのアクセスを可能な限り制限する」ことで接種を促したいとした。

また、「私は(未接種者を)刑務所に送ったりはしない」が、「1月15日からレストランに行けなくなると、彼らに伝える必要がある。コーヒーを飲みに行くことも、劇場に行くこともできなくなる。映画館に行くこともできなくなると」と述べた。

大統領選挙を3カ月後に控える中、マクロン氏に批判的な人々は同氏の言葉遣いは大統領にふさわしくないとしている。マクロン氏は2期目への出馬を正式表明していない。だが4日には、立候補への意欲を表明し、「健康状態が許し次第」出馬の有無を明らかにしたいと述べた。

政府法案の審議が中断

ワクチン未接種者を公の場の大部分から締め出す法案の国会審議は一時中断された。

今週中に承認される見込みの同法案は、ワクチン反対派の怒りを買っている。複数の下院議員は殺害予告を受けたとしている。

欧州の一部の国では新型ウイルスワクチンの接種が義務付けられている。オーストリアは来月から14歳以上の子どもを対象に、ドイツは成人に対して同様の措置をとる予定。イタリア政府は5日、50歳以上の全ての人を対象に、2月15日から接種を義務付けると発表した。

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「大統領が言うべきことじゃない」

マクロン氏の発言は野党関係者の強い反発を招いた。

右派・共和党の大統領候補ヴァレリー・ペクレス氏は、マクロン氏が未接種者は仏市民ではないと非難したことに憤慨しているという。「彼らをありのまま受け入れなければならない。彼らを侮辱するのではなく、彼らを導き、まとめなくてはならない」と、ペクレス氏は仏テレビニュース・チャンネルCNewsに語った。

極右の大統領候補マリーヌ・ルペン氏は、「大統領はそんなことを言うべきではない。(中略)エマニュエル・マクロンはその職責に値しない」とツイートした。

極左政党のリーダー、ジャン=リュック・メランション氏は、マクロン氏の発言は驚くべき告白だとした。「ワクチン接種パスが、個人の自由に対する集団的罰であることは明らかだ」。

マクロン氏のような言葉を使ったフランス大統領はほかにもいる。

1966年にジョルジュ・ポンピドゥー第19代大統領が、そろそろフランス人を困らせるのはやめようと述べた際にも、マクロン氏と同じ言葉が使われた。ポンピドゥー氏と同様に、マクロン氏も自分の役割はフランス人をイライラさせないことだと語った。ただ、ワクチン未接種者についてとなると話は別だ。

マクロン氏の盟友クリストフ・カスタネール氏は5日、「この言葉がポンピドゥーの口から出たとき、誰もショックを受けなかった」と述べた。

ジャン・カステックス首相は後に国会で、どこの国の人もマクロン氏と同じことを言っているとした。「あらゆる種類の制限が課される一方で、そうしたことから逃れることを選択する人々を見て、この国の国民は憤りを感じている」。

フランスの感染状況

フランスは欧州連合(EU)の中でも接種率が高い国の1つで、成人の90%以上が2回の接種を終えている。

同国は数カ月前から、多くの公共施設に出入りする際に、接種証明あるいは陰性証明の提示を求めている。

しかし、感染力の強いオミクロン変異株やデルタ変異株による感染者の記録的増加を受け、仏政府は陰性証明の提示を選択肢から除外したいと考えている。

同国の5日の新規感染者は33万2252人と、パンデミック開始以来最多となった。

(英語記事 Uproar as Macron vows to ‘piss off’ unvaccinated

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