オミクロン なぜ軽症に見えるか – 海老原嗣生

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欧米・沖縄の感染急増。一方でWHOの軽症化報告

オミクロン株の驚異的な感染力を目の当たりにしている。1月3日には、米国の新規感染者数は100万人を超えた。人口で日本の約半分である英国でも一日の新規感染は20万人になっている。しかも増加ペースは落ちていない。

日本でも沖縄が大変なことになっている。年明けから日々新規感染者が倍増し、1月5日発表(4日分)ではなんと600人にもなってしまった。県は国に蔓延防止措置の対象に指定するよう要請を出している。こんな状況を見ていたら、日本全国もあっという間にオミクロン株が広まってしまいそうなイメージだ。

がこの余りの急増については、欧米ならクリスマス休暇、日本は年末年始休暇明けという特殊事情が背景にはある。休みの間、PCR検査が滞ったり、感染報告がたまった分が一気に吐き出されて急増しているわけで、今後しばらくは、増加ペースは若干緩むだろう。

加えて、WHOや米国アレルギー研などからは、オミクロン株は重症度合いが低いと安心させる報告が出ている。ただ、現実は「それほど楽観はできない」という話から書いておこう。

オミクロンが軽症に見える「4つの雑音」

オミクロン株が実態以上に軽症と見えてしまうのほ、「4つの雑音」の影響がある。

1つ目は、ブレークスルー感染が多いこと。

2つ目は、ワクチン未接種率が高い若年層の感染割合が高いこと。いずれも、重症化率が低い群であり、彼らを除いたて、過去の感染ピーク時の年齢・接種割合で重症化率を比較すれば、それは見た目ほど低くはなっていないこと。

3つ目は、季節差だ。ご存知のように新型コロナは夏に軽症化、冬に重篤化する。初期データは感染発見地である南アで集められた。南半球の彼の地は夏だから、当然この数値は低くなる。

4つ目は、データのラグだ。発症から入院まで7〜10日、さらに重篤化・死亡までもう1週間かかる。そのため、入院者数は感染よりよ2週間、死亡者数は3週間程度、遅行する。このラグを勘案して、現在オミクロン株の感染爆発が起きている北半球先進国のデータを見ると、感染者が2倍になれば、入院者は1.5〜1.8倍程度になっている。米仏伊がこのペースで、唯一大きく下回るのは英国だけだ。が、英国は3回目のブースター摂取率が対象者の5割にも迫ると、しっかり先手を打っている。日本のそれは、まだ1%にも満たない。とすると、入院・重症者の増加は、放っておけば米仏伊並になる可能性が高い可能性はある。

ちなみに、仏ではすでに一日の死亡者数が300人近くにまで増えている。ワクチン接種完了率は日本とほぼ同じだ。これは、優に緊急事態宣言にあたるレベルであり、同国でも厳重な対策が講じられ始めた。

日本もまた、あの暗い引きこもり生活を、繰り返すことになるのかー?!

結論から書いておこう。否。それはない。日本は、そうならないし、そうしないための方策がいくらでもある。

以下、簡略に示しておこう。

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