二輪ボード遊具 流行でケガ増加 – BLOGOS しらべる部

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日本では「ブレイブボード」や「キャスターボード」などの様々な名称で販売されている”二輪”のボード遊具。人気の高まりとともに街中や公園などで遊んでいる子どもの姿を見かける機会も多くなったが、大きな事故や怪我につながるケースもある。

小児医療従事者から子どもの診療報告が寄せられる日本小児科学会の「傷害速報」には、遊んでいる最中の転倒による骨折や、軽自動車との衝突事故などの事例が報告されている。

傷害速報に掲載されている事例をもとに、兵庫県立こども病院・救急科の竹井寛和医師に予防のために心がけたいルールを聞いた。

※本記事では日本小児科学会の傷害速報に基づき、以下、二輪のボード遊具を「キャスターボード」と表記します。

転倒で骨折 坂道を下った先で軽自動車と衝突も

傷害速報は小児科学会が2008年に、小児医療従事者が経験した傷害に関する事例を報告する場として設置。投稿された事例を、複数名の医師が調査・吟味し、再発防止策などとともに学会雑誌やホームページ上にアップしている。

傷害速報によるとキャスターボードの流行に伴い、2010年代から日本でも外傷を負うケースが増加。キャスターボードの事例だけを集約した報告は少なく、「正確な実態把握は困難」とした上で、スケートボードよりも低年齢(平均年齢11.7歳)で発生している傾向があるとしている。

傷害速報に掲載されているキャスターボードに関連する事例報告は4件だ。

2020年4月、ヘルメットと四肢の保護具を着用して自宅マンション前で遊んでいた6歳の男児が側溝の蓋にキャスターボードの車輪がひっかかったことでバランスを崩して転倒。左腕を骨折した。

同月、7歳の男児が初めてキャスターボードを使用した際に転倒し左足を骨折。翌5月には雨上がりの路地で遊んでいた9歳の男児が、車輪が滑って転倒し右の手首を骨折した。2人ともヘルメットや四肢の保護具を着用していなかった。

また、同年7月、8歳と6歳の姉弟がヘルメットなどを着用していない状態でキャスターボードに二人乗り。公園横の坂道を下った際、軽自動車と衝突し怪我を負っている。

竹井医師は「キャスターボード=危険と考えるのではなく、きちんと基本のルールを守ることで大きな怪我につながる事態を防いでほしい」と話す。

キャスターボードは転ぶもの 保護具やヘルメットの着用は絶対

キャスターボードで遊ぶ際に守るべき基本ルールは

の2点だ。

竹井医師は「キャスターボードで転ぶことを防ぐことはできない。転んだ時に怪我の程度を軽くするために、確実にヘルメットや肘当てなどの保護具をつけることが大切」と話す。

「幼い子どもや使用に慣れていない子どもが使う場合は保護者が監督することも大事ですが、近くで親が見ていても自転車と同じように転ぶ時は転びます。転んでも大怪我につながらないように四肢の保護具・ヘルメット着用を心がけましょう」

公道での使用はNG 命に関わる事故を防げ

公道などの車や人が通る場所での使用を控えることも大切だ。

竹井医師自身も公道でのキャスターボード使用中に事故にあった子どもを診察した経験があるという。

「公道などの”交通のひんぱんな道路”での使用が法律で禁止(道路交通法第76条4項)されているスケートボードと同様に、キャスターボードの販売メーカーは商品のホームページや説明書に使用禁止を明記しています。しかし、子どもが把握していなかったりルールを破ってしまったりすることも多い。保護者は車や人通りの多い場所での使用は命に関わる事故につながる危険性があることを認識して、安全な場所で遊ぶことを徹底させましょう」

「保護具の着用」と「公道などの交通量の多い場所での使用は控え、安全な場所で遊ぶこと」。

基本的なことだが、疎かにしてしまうと大きな事故や怪我につながるこの2つのルール。

今一度心がけ、キャスターボードのみならず、スケートボードや自転車など子どもが屋外で遊んでいる最中の大怪我防止につなげよう。

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