EUの原発方針 積極活用ではない – 小宮山洋子

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今年も、これからも、地球の気候変動、温暖化への対策は、最重要課題だと思います。そうした中で、温暖化対策としては有効でクリーンとされる原発の扱いを、日本はもとより、欧州の各国もそれぞれに模索しているようです。

日本では、東日本大震災による福島第一原発の事故以来、安全神話が崩壊し、原発の新設や再稼働には反対の意見が強くなっています。しかし、産業界の声をもとに、政権はベースロード電源としての位置づけを変えることなく、さすがに新増設は難しいとしながらも再稼働の動きを続けています。即原発廃止は、現実的ではないと考えますが、2030年代の早い時期に、原発ゼロとする、という民主党政権時代に、みなさんの意見を反映する討論的世論調査によって立てた計画は、実現してもらいたいと思っています。

確かに再生可能エネルギーにすると、コストが高くなることや、それだけでは賄えないことなど課題があることは承知しています。国民のコンセンサスを得ながら、進めてもらいたいと思います。

欧州連合(EU)の行政を担う欧州委員会は、1日、原子力発電を地球温暖化対策に役立つエネルギー源と位置付ける方針を発表しました。原発の活用については、ドイツが10年前の日本での原発事故をきっかけに「脱原発」を宣言しました。22年度末の脱原発をめざすドイツのほか、オーストリアやスペインなど計5ヶ国が、昨秋、原発の組み入れに反対する共同声明を発表しています。

一方、フランスは電源の7割を原発に頼っています。東欧のハンガリー、チェコ、ルーマニアなども前向き、とのこと。今回のEUの方針は、原発を地球温暖化対策に役立つとしつつ、積極活用にかじを切ったわけではない、とされています。原発や天然ガスの利用について「再生可能エネルギーの未来への移行期において役割がある」としています。

過渡期の一時的な役割であることを強調して、消極的な国にも配慮した内容、ということです。欧州では、電力需要を風力や太陽光発電だけでまかなえない現状に直面していて、不足分を天然ガス発電などで補ったことでガス価格が高騰し、市民生活を圧迫したそうです。日本、世界の状況を注視していきたいと思います。

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