ミツバチも叫ぶ

GIZMODO

ミツバチ…、奥が深すぎる!

オオスズメバチにミツバチが攻撃されると、ミツバチは集団でオオスズメバチを囲み、熱殺蜂球という球体をつくって蒸し風呂状態にして殺すのは有名ですよね。

でも、新たにわかった事実によると、ミツバチはオオスズメバチの襲撃にあうと悲鳴にも似た警告音を出すらしいのです。

警告音の存在が確認されたのは、インドやタイ北部、ラオス、ベトナム北部、中国南部に生息する「Bespa Soror」の学名を持つオオスズメバチに襲撃されたミツバチ。どんな音かは、動画で確認してみてください。その悲痛の叫びに胸が痛くなりますよ。

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Video: National Post/YouTube

この音は、巣を守るための防御策を講じるための警告音である可能性が高いそうです。

オオスズメバチは大きくて獰猛で、ひとたび攻撃が始まれば、ミツバチの巣はものの数時間で壊滅状態に…。防御しようとしたミツバチは殺され、幼虫は餌にするために奪われてしまいます。

研究共著者でウェルズリー大学の研究者であるヘザー・マッティラ氏は、この音を

周波数が予測不可能に変化する高音のハイピッチな爆音で、非常に激しく騒々しいですね。霊長類や鳥類、ミーアキャットのパニックコールや警告音、恐怖におののく叫び声に音の特徴が似ている。

と説明しました。

昆虫類が、鳥類や哺乳類が集団に警告するときにだす音に似たものを出しているなんて驚き! マッティラ氏も

ミツバチの警告音の音響特性が、集団生活を営む哺乳類の警告信号に類似していることがわかって、興奮しています。

と話しています。

ハチは羽や胸を振動させて「叫ぶ」

マッティラ氏はベトナムの養蜂農家と協力して、アジアのミツバチとオオスズメバチの関係を7年に渡って研究してきました。時には、ミツバチの巣の中にマイクを設置してミツバチの発する音を1,300時間に渡って収録したこともあるそう。こうして得たデータから周波数スペクトルを計算した結果、他の音とは異なる「antipredator pipe(反捕食者パイプ)」と呼ばれる警告音があることを突き止めたのです。

これらの画像が示すのは、たとえ多くのハチが一度に信号を出してオーバーラップしていたとしても、ミツバチは異なる信号を出しているという事実です。私たちは音の特性を明らかにするために、混ざりっ気のない反捕食者パイプのよい例を求めて全ての録音を聞きました。今では、たくさんの音に混ざっていてもパイプを認識できるようになりました。

マッティラ氏が「パイプ」と呼んでいるのは、ミツバチが羽や胸部を振動させて出す音です。「antipredator pipe(反捕食者パイプ)」と呼んでいるのは、この警告音がオオスズメバチの攻撃にのみリンクしているからだそう。

悲鳴の効果はまだよくわからない

音の存在は確認できたマッティラ氏ですが、この警告音がどのようにミツバチの行動を変えているのかまではよくわかっていないのだとか。明らかになっているのは、オオスズメバチの攻撃の最中は巣の中の群れのおしゃべりが8倍に増え、反捕食者パイプが聞こえるとミツバチが巣の入り口の周りに集まるということ。そして、動物のフンを入り口に敷き詰め、スズメバチの侵入を防ごうとし、一部のミツバチはオオスズメバチを取り囲んで熱殺蜂球を形成し、熱で殺そうとすること。

それと、ミツバチはナゾノフ腺と呼ばれる器官からフェロモンを出すのだとか。この行動の理由は明確になっていませんが、どうやら集団行動を促すと考えられているようです。

この音をスズメバチに攻撃されていないコロニーにも聞かせて、群れがどんな行動をするのか再現実験をしてみる必要があります。そうすることで、この音に対するミツバチの具体的な反応がわかるでしょう。

とマッティラ氏は言います。

現時点では、警告と防御が同じタイミングで発生していることがわかっていますが、どちらが先に始まっているのかは不明です。

科学者たちは、警告音がコロニーの行動をどう変えているのかを突き止める必要があります。それだけでなく、今回はアジアのミツバチが対象でしたが、他のアジアに生息するミツバチも同じ警告音を出しているのか、また、ほとんどの養蜂農家が飼育しているセイヨウミツバチが同じ反応をしているのかも調べなくてはならないみたい。

マッティラ氏は

ミツバチの信号がこれほど特殊で具体的なことに驚きました。ミツバチの世界がどれほど複雑で、脅威に対して準備し一瞬一瞬を懸命に生きているのかを多くの人々に知ってほしいですね。

と言います。

身近な益虫のミツバチにこんな行動があったとは…。日本のミツバチも同様の信号を出すのか調べたくなってきますね。

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