【山田祥平のRe:config.sys】スマホの拡張ディスプレイとしてコモディティ化するスマートウォッチ/バンド

PC Watch

 進化の著しいスマートウォッチ/バンド。気になっていた派手なウォッチフェイスもデザインがこなれてきてシンプルな文字盤も楽しめるようになってきている。四角い時計が増えてきたのも個人的にはうれしい。魅力的な新製品の発売が相次いでいるが、ここでは最新の4機種を試してみた。

最新スマートウォッチ/バンドを試す

 今回、各社から借り出して手元にあるのは次の4製品だ。

  1. OPPO Watch Free
    14日駆動 有機EL 約1万円
  2. Amazfit GTS 3
    12日駆動 有機EL(常時点灯機能つき) 2万8,800円
  3. Redmi Watch 2 Lite
    10日駆動 液晶 8,980円
  4. realme Band 2
    12日駆動 液晶 5,880円

 サイズについては好みによるが、すべて矩形のディスプレイで、1と2が有機EL、3と4が液晶だ。液晶ディスプレイは輝度を上げると、どうしても黒い部分がしらちゃけてしまうので、個人的には有機ELの方が好きだ。

 半年前にスマートバンド/ウォッチ5機種を取り上げて雑感を書いた。そのときに、個人的にスマートウォッチに求める要件として3点を挙げた。

  1. 面積が小さくても、無駄なく情報を表示できるように画面が矩形であること
  2. 常時、時刻と曜日を含む現在日時をはっきりくっきりと表示できること
  3. 1カ月程度のバッテリ駆動時間が確保できること

 今回の4機種は、1と2を満たすが、バッテリ駆動時間は、実際につけて日常を過ごしてみると、各種の測定機能をオフにしても、ちょっと厳しい印象だ。ただ、実用性を考慮して輝度最大で使うようなことをしての駆動時間なので、実際にはもう少し駆動時間は長く確保できそうだ。

 Amazfit GTS 3はダントツに高額だが、さすがによくできているし高級感もある。やはり有機ELの大画面ということでコストが嵩むということか。付属のバンドの質感もいい。

 ただ、今回の4製品の中ではもっともバッテリ駆動時間が短い印象だ。週に2回は充電しないとちょっと不安になる。やはり常時点灯はバッテリ駆動時間にインパクトを与える。それに自動的に環境光に応じて照度を調整する機能もない。

 OPPO Watch Freeも有機ELだが常時点灯機能はない。そのためバッテリ駆動時間も長い。

 もっとも廉価なrealme Band 2を含め、すべての製品で血中酸素濃度の測定ができるのは、やはりコロナ禍という社会状況も影響しているのだろう。

 realme Band 2がこの価格でGPSを搭載しているのには驚く。この製品、どこにも24時間表記にする設定がなくて困ったのだが、スマホ側のシステム設定で日付と時刻を「言語/地域で一般的な形式を使用する」のをやめ、明示的に24時間表示に設定したら時計も24時間表記になった。ここはちょっとした落とし穴だった。

 ちなみに標準のウォッチフェースで盤面に「1月1日 土」と日本語でしっかり表示ができるのはOppo Watch Freeだけだった。どうせなら「1月1日(土)」となっていた方が好みだったのだが……。ただメッセージングアプリの通知時、メッセージ表示の視認性は改良の余地がありそうだ。

 どの製品も多くのスポーツモードに対応し、各種の活動量計として機能する。おもしろいところではOppo Watch Freeが、スマホと連動して、いびきをモニタリングする機能が搭載されている。

よりシンプルな文字盤が欲しい

 色々なデータを24時間モニタリングできるという点では、実は、シニア層にもおすすめしたいのがスマートウォッチ/バンドだ。予算と好みに応じて、各社の製品から気に入ったものを選べばいい。価格はもちろん機能的にもこなれてきていて、どれを選んでも大きな失敗はなさそうだ。

 個人的にはOppo Watch Freeがもっともバランスがいいと感じたが、その半額近いrealme Band 2が著しく劣っているわけでもない。コストパフォーマンスはもっとも高い。また、とにかく大きなディスプレイがいいならRedmi Watch 2 Liteがおすすめだ。

 文字盤のバリエーションについてはもう少し欲張りたい。個人的にはとにかくシンプルな方がいい。色もできれば使っていない方がいい。黒地に白い文字でくっきりを望む。カジュアルな文字盤は楽しそうではあるが、TPOによっては馴染まない場面もある。外出の機会は激減しているが、やはり、人と会うようなときには少しおとなしい盤面が望ましい。

 でも、それがなかなか叶わない。派手な文字盤ばかりがラインナップされていて、シンプルでおとなしい文字盤がなかなか見つからない状況が続いている。だが、この半年で、かなりスッキリしたものが手に入るようになってきている。

 もちろん、自分でカスタマイズできるのが理想だが、各社ともに、奇をてらわないオーソドックスでシンプルなものを最初から選択設定できるようにしておいてほしいと思う。

 各種アプリの通知を知ることができるというのは、スマートウォッチ/バンドには必要不可欠な機能だ。過去に色々な製品を見てきたが、寡聞にしてFacebook Messengerなどのメッセンジャーアプリで、音声通話を着信したときに、通話状態になるまでずっとバイブし続ける製品にはお目にかかったことがない。

 今回の4製品についても同様だった。電話の着信なら、電話に出るまでバイブし続けるのにと思うと、瞬時のバイブでは着信に気がつかないこともあり、ちょっと不便を感じている。通知の機構上仕方がないこととは言え、なんとかならないものだろうか。

スマホの中で起こっていることをしっかりと伝える姿勢を

 スマートウォッチ/バンドは、スマホと人間がコミュニケーションするためのHID(Human Interface Device)だと考えることもできる。スマホに入ってきた情報への気づきを与えるとともに、センサーの権化としてスマホに対して収集した活動情報をリアルタイムで伝える双方向の通信デバイスだ。常に身につけているという存在だから、常に携行しているスマホよりも、さらに人間に近いところにある。

 今、スマホは大きくて四角い平板状態の踊り場にあって、二つ折りなどのフォームファクタが注目されているのは、もう少し人間に近い位置にいられるデバイスが求められているからかもしれない。近いところにあれば、もっといろんなことができる。

 個人的には、スマートウォッチ/バンドは、スマホの拡張ディスプレイでいいと思っている。だから、しっかりと情報を伝える努力を怠らないでほしい。ポケットの中のスマホを取り出さなくても、スマホの中で起こっていることを手首で知ることができればいい。そういう意味では、極端な話、センサー等による活動量計測は二の次でいいくらいだ。

 とは言え、スマートウォッチ/バンドは、機能面について段々横並びになってきていて、見かけや表示のシンプルさ、ゴージャスさといったアナログ的な要素で選ばれるようになるだろう。コモディティ化が始まる兆しだ。

 昨今の製品は、そのバランスが活動量やスポーツ計測にシフトしすぎているように感じているが、そのあたりをうまく調整しながら、よりスマートな製品が出てくることに今年は期待したい。

 そんなわけで、2022年がやってきた。今年もご愛読くださいますようお願い申し上げます。

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