1月1日に婚姻届を出すと損なワケ – PRESIDENT Online

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会社員が、税金を少しでも安く抑えるにはどうしたらいいのか。税理士の高橋創さんは「納める税金額は12月31日までの1年間の年収や生活状況で決まる。税金で損をしないために最終日までに済ませておいたほうがいいことがある」という——。


※写真はイメージです – 写真=iStock.com/monkeybusinessimages

12月31日時点で税金額が決まる

私たちはいろいろな税金を払っています。右肩上がりの消費税、喫煙者泣かせのたばこ税、がっぽり持っていかれると話題の相続税。そのなかでも特に、働く人が避けて通れないのが「所得税」と「住民税」です。

今回、着目するのは所得税です。所得税は国に払う税金で、住民税は住んでいる地方自治体に払う税金のこと。どちらも自分の稼ぎに応じて支払う額が決まります。

税制度というのはよくできたもので、稼ぎが多く余裕がある人ほど高い割合で税金を払うという、まっとうな仕組みになっています。しかも、ただ単に年収の数字を見るだけでなく、個々人の事情まで考慮してくれるという気の利きようです。

例えば、年収500万円の独り身と、配偶者と子ども3人を養っている年収500万円の人では、懐具合が違うのは明らかでしょう。その人の状況に応じて税負担を調整すること、これが所得控除という制度です。

状況に応じて控除額が加算されればその分、稼ぎと見なされる金額が減り、それに比例して払う税金も減るというわけです。

また、税金の計算は1年単位で行われます。ここでいう1年とは、年度ではなく、1月1日から12月31日までのこと。つまり、2021年分の税金は、2021年1月1日から2021年12月31日までの年収や生活状況に基づいて決定されるということになります。

そして、私たちの1年のお財布事情が診断される基準日、会社でいう決算日にあたるのが12月31日です。いまからできる“節税”対策は決して多いとは言えませんが、所得控除の仕組みに着目すれば、やれることはまだ残されています。

12月31日が終わるまでに所得控除の額をできるだけ増やす——これが基本となります。本稿では、所得控除の仕組みをご紹介しながら3つの方法を紹介します。

頭痛薬にも控除が適用される

セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額についての医療費控除の特例制度)は、4年前に新設されたものです。

1月1日から12月31日までに購入した対象薬の総額が一世帯合計で1万2000円以上となる場合、上回った分に対してこの控除が適用されます(上限は8万8000円)。一般的な医療費控除は、医療費の額が10万円を超えないと受けられませんが、こちらは少しハードルが低くなっています。

ドラッグストアで売っている薬で、パッケージやレシートに「セルフメディケーション税制対象」というマークがついている商品が対象です。かぜ薬から胃腸薬、頭痛薬から肩こりの湿布まで、身近な薬のほとんどがカバーされていると言っていいでしょう。


※写真はイメージです – 写真=iStock.com/katleho Seisa

家族全員分の今年のレシートを確認して合計金額が1万円だとしたら、なくなりそうな薬を年内にまとめて買い足すだけで、控除の対象になります。

例えば、年収400万円の30代の女性が、家族4人分の対象医薬品を5万円分購入した場合、5万円-1万2000円=3万8000円が所得控除され、所得税は7600円、住民税は3800円、合計1万1400円がカムバックします。

レシートを集めたり自分で確定申告をしたりする手間を考えると、コスパが悪いと思う人もいるでしょう。しかし、薬は20%オフでゲットできたことになりますし、ちょっとした飲み代ぐらいにはなりますよね。

私にはドラッグストアのレジ横にあるレシート入れがドル箱に見えるぐらいです。

扶養家族、本当にいませんか

会社の年末調整で「扶養家族なし」として超高速で書類提出を済ませた人、ちょっと待ってください。扶養と聞くと、同居している家族が真っ先にイメージされると思います。

しかし本当は、養っている実態がありさえすれば、離れて暮らしている親族でも自分の扶養に入れられる可能性があります(しかも6親等まで)。そして、これが結果的に税金を引き下げることにもなるのです。

次のモデルケースを見てみましょう。

<東京で暮らす年収600万円の40代男性。共働きで生活に余裕があるため、北海道に暮らす父母に月々それぞれ10万円の仕送りをしている。父は月々10万円の年金に加え、月々10万円のアルバイト収入がある。母の収入は月々5万円の年金のみである>

① 母が父の扶養に入る場合
父の所得税:0円
息子の所得税:35万5800円
② 母が息子の扶養に入る場合
父の所得税:8600円
息子の所得税:25万7800円

母の扶養を、同居する父ではなく収入の多い息子に紐づけるだけで、息子の所得税が10万円近く減っていることがわかります。父の税金は約1万円増えていますが、最大多数の最大幸福のためなら許容範囲内でしょう。

子どものいる夫婦の場合、子どもをどちらの扶養とするかについて、夫婦間でよく話し合うことをお勧めします。共働きで子どもが1人の場合、子どもの扶養は収入の多いほうに入れたほうが、所得控除の恩恵は大きくなります。

妻のほうが稼いでいるならば、旧態依然とした男のプライドはかなぐり捨てて、子どもは妻の扶養に入れるべきです。子どもが2人以上になれば状況は少し複雑になりますが、面倒くさがらず、電卓片手に計算しましょう。

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