ランダム要素と「死んだら終わり」なシビアさが特徴のローグライクに、カードバトルの要素に加えてファイヤーエムブレムやオウガバトルのようなシミュレーションゲームの要素を詰め込んだゲームが「Fights in Tight Spaces」です。「Slay the Spire」以降多数登場しているローグライク×デッキ構築のゲームの中でも、スパイ映画的な世界観や「Into the Breach」のような敵の行動を読み切るシステムが要素が融合した作品とのことで、実際にプレイしてみました。
Steam:Fights in Tight Spaces
https://store.steampowered.com/app/1265820/Fights_in_Tight_Spaces/
Fights in Tight Spacesは主人公がスパイ組織の「エージェント」として数千人もの構成員を要するバイカーギャングや刑務所内のギャンググループなどと直接対峙し、問題を解決していく……というストーリー。
主人公はジェームズ・ボンドを連想させるスーツ姿のスパイですが、本作は「Fights in Tight Spaces(狭い場所での戦闘)」というタイトルが示す通り、ステルスなどの要素は存在せず、あくまで戦闘がメイン。ゲーム画面はこんな感じで、上側は主人公や敵キャラクターが戦うフィールド、下側は手札となっています。
敵キャラクターはそれぞれHPや攻撃力などが頭上に表示されており、クリックすると、右側に次のターンで実行してくる攻撃が表示されます。
敵キャラクターの足元に表示されているのは攻撃範囲。以下の画面では、上側の「ピストル暴漢」が直線攻撃の「射撃」を行おうとしているという状況なので、ピストル暴漢の足元から直線的に赤丸が出ています。
現状は主人公が2人のピストル暴漢に前後から挟まれているという状況。なので手札から1~2マス移動できる「ダッシュ」を使って移動します。
すると、下側のピストル暴漢が「射撃」を実行。
上側のピストル暴漢は味方の攻撃を食らってやられてしまいました。このように、Fights in Tight Spacesはあらかじめ敵の予定している攻撃が表示されるので、敵のターンで実行に移される前に攻撃や移動で対処する……というゲームです。
主人公のとれる行動は、画面下側のカードで選択できます。
各カードは、右上にズラッと効果を示すアイコンが並んでいますが、その中でも一番重要なのがコスト。各ターンで使えるカードは、合計コストに制限が存在しており、デフォルトの制限は3。使わなかったカードは、ターン終了時にトラッシュに移動します。
コスト以外の効果については、カーソルを合わせると表示される説明欄を読めばOK。例えば「スリップ」は「隣接する敵の横のマスに移動するor1マス移動する」という効果を有しており……
実際に移動できる範囲はフィールド上に黒丸で表示されます。なお、以下の場面では一番左上のキャラクターが主人公なので、左上・左下・右下の1マスないしは真ん中のキャラクターの側面が移動可能な範囲。
カードは攻撃・移動・防御の3種類に分かれており、攻撃ならばダメージを与えるだけでなく対象を1マス押し出すという「フロントキック」や……
ブロックされなかった場合に限り強力な継続ダメージを与える「引っかく」
攻撃することで蓄積される「コンボ」というリソースを消費して大ダメージを与える「フィニッシャー」など。
移動は任意の方向に1マス移動する「ステップ」などの基本的なものに加えて……
隣接する敵の背面に回れる「シフト」など特殊な移動カードも存在します。
基本的に敵の攻撃は移動で避けるのが前提なのか防御カードは少なめですが、ダメージを防いだ上で攻撃してきた相手に反撃する「カウンター」などが存在します。
以上のカードを駆使して敵と戦うわけですが、このゲームは数ターンおきに敵が沸いてくるので、敵の攻撃を避けつつちまちまダメージを与えていては処理が間に合わないこともあります。
そんなときに重要になるのが「突き落とし」。フィールド上に存在する開け放たれたドアや手すり、リングロープなど、とにかく「乗り越えられそうなフィールドの端」に向かって敵をプッシュすると、即死攻撃扱いになります。例えば以下のシーンでは、壁際の敵に向かって1マスプッシュの効果がある「フロントキック」をぶちかますと……
敵はリングロープを超えて吹っ飛んで……
死亡。突き落としは、対象がどんなHP・防御を持っていようが無関係に殺せます。
そうなると「全部突き落としで殺せば良いのでは?」と考えたくなりますが、突き落としができる端がどれくらいあるかはマップによって異なる上に、「敵の移動」も問題。基本的に敵は攻撃終了後に次のターンで主人公に攻撃を行える位置移動するので、壁際にとどまり続けてくれることはめったにありません。なので、敵を突き落としたい場合には、まず敵が突き落としやすいポジションに来るような位置でターンエンドし、首尾良く敵がその位置に来てくれた場合にはこちらも突き落とせる位置関係に移動。これだけのお膳立てを行った上で、「プッシュ」を行えるカードが手元にないといけないわけです。
さらに敵の能力も重要。目の前1マスに攻撃を仕掛けてくる雑魚敵だけではなく、ピストルで遠距離攻撃してくる敵、プッシュ攻撃を仕掛けてくる敵、反撃してくる敵、範囲攻撃に加えて毎ターン防御を行う敵、目の前に立つと反撃してくる敵、「常に主人公のほうを向く」という特殊能力で側面を取れない敵など、敵キャラクターはさまざまな能力を持っています。
たいていの場合は同時に複数の敵を相手にするので、「あっ、こっちの敵の特殊能力を忘れてた……」という事態や「しまった、こっちのカードを先に使えば良かった」という事態が起こりがち。そういう場合は、「巻き戻し」というボタンで1回のバトルにつき3回までターンをやり直すこともできます。
全ての敵を撃破したらバトル終了。終了後には、報酬としてランダムに提示されるカードの中から1枚獲得できます。
ステージは複数のルートの中から自分で行き先を決めるという形式。
前述のようなバトルオンリーのステージもあれば、ランダムイベントが発生するステージや……
道中で手に入るお金を使ってカードの購入・強化・削除などが行えるステージも存在します。
実際にプレイしてみると、とにかく敵が次から次へと出てくるので、基本的には多勢に無勢な状況ですが、主人公は敵の攻撃予定を見てから動けるので「敵の攻撃が当たらない位置に移動する」という立ち回りが可能。そうすると一方的に攻撃できるわけですが、HPを回復できるチャンスは限られているので常に敵の攻撃を読み切って被弾を最小限に抑えることを求められ続けます。
ローグライク×カードバトル×戦略シミュレーションな「Fights in Tight Spaces」はこんな感じのプレイ画面 – YouTube
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しかし、移動を行うにしても攻撃を行うにしても対応する手札が必要なので、「1マス移動するカードがあるだけで全部の攻撃を回避して敵を突き落とせるのに!」といったことも起こりがち。そうした「ランダム要素の妙」のようなところはカードバトル系ゲームの良さを受け継いでおり、「毎ターン同じ行動を繰り返すだけで強い」といったマンネリとは無縁。そして、カードの連鎖を見事に決めて体力満タンの敵を押し出したときの快感は、タクティクスオウガやファイヤーエムブレムなどのシミュレーションゲームの良さを受け継いでいるという印象でした。
「Fights in Tight Spaces」はSteamで税込2570円で購入可能で、日本語に対応しています。
Steam:Fights in Tight Spaces
https://store.steampowered.com/app/1265820/Fights_in_Tight_Spaces/
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