日本で最も看板激戦区の渋谷を専門家と歩く

デイリーポータルZ

日本で最も看板が盛り上がっている場所といえば渋谷駅前。専門家と見て歩いた

ある時から渋谷のスクランブル交差点で記念撮影をする外国の人が増えた。ここは何が特徴なんだろうか。大きな看板が多いこともその一つだろう。

専門家と街を歩くシリーズ、今回は屋外広告の専門家と街を歩いた。街に掲げられた看板にどんな秘密があるのだろうか。

今回渋谷の看板を一緒に見てくれる専門家は屋外広告の会社である光伸プランニングの原壯さん。 

広告の製作会社といってもデザインはやらず、印刷も加工も現場(施工)もやる屋外に広告を掲示することの専門家である。

デイリーポータルZウェブマスター林雄司(左)さんと光伸プランニングの原壯さん(右)の3人で歩きます

渋谷駅前は屋外広告だらけ

林 :すでにこのハチ公前広場にあるもの全て今日の話の対象ですよね。
原 :全部看板ですね。

大北:これってどういう仕組みなんですか?
原 :これは媒体(※)売りなので、2週間でいくらと決まってるんです。
※看板を掲示する場所も一つの媒体として考えている。
林 :たとえば東急が持ってるところを買って、他の会社に制作お願いするということはやるんですか。
原 :こういう場所だと、この媒体はこの会社が作るって決まってますね。

ハチ公前広場の手の届く場所に置いてある数mサイズの看板

大きな掲示物は一枚の布

林 :こういうの見て、こういう感じで作ったなとかわかります?
原 :わかります。ここは媒体として買って作ったこともあるので、実際に作られるものもわかっているんですけど。これはシートじゃなくて幕なんです。後ろで巻いてある。

後ろで巻いてますよ、と手をつっこむ原さん

林 :ホントだ。布だ。貼るときに力いりそうですね?
原 :そうですね。上を決めちゃって、下を決めて、横を張れば。順々に。5~6人ぐらいで決めていけば。

後ろ側。大きな布を引っ張って掲示してある。

林 :これって解像度は300dpiですか?
原 :たぶん50もないです。この大きさで100以上あったらデータが重たくなるので。
大北:原寸内に。
(※1インチ((2.54cm))内にどれだけ色のつぶがあるか。フルカラー印刷で350dpi、ポスターで200dpi、webの画像で72dpiが目安)

2.54センチ角内にどれくらいの色の粒があるかを示すdpi。50以内では?と。

林 :全体のデータとしてはどのぐらい?
原 :1GBはないと思いますけど。
林 :家のプリンターでこれぐらいで出てきたら荒いですよね。
原 :でも遠目で見るとちゃんとキレイに見える。
大北:こんな近くで見ないですもんね。

字はきれいに出るそうだ

林 :この字のところはもやっとしてないですね。
原 :イラストレーター(※Adobe社のソフト)のデータはパスが切ってあればきれいに出ますね。

看板は嗅げ!

林 :これはインクジェットですか?
原 :インクジェットです。溶剤? 紫外線(UV)かもしれない。UVインクジェットっていうのがあるんです。
林 :においでわかる?
原 :においしますよ。溶剤だとマジックみたいなにおいがするんだけど、これはUV特有のにおい。

躊躇なく看板を嗅ぎ始める専門家らしき姿。UVです、と。

大北:おっ、ちょっと酸っぱいにおいが。
原 :焦がしたような酸っぱいような。においがするんですよ。これUVです。

全員で看板を嗅ぎ始める。今後は積極的に嗅いでいきたい

大北:UVというのは紫外線に強いということですか?
原 :紫外線で硬化して印刷する方法ですね。印刷用でない布地でもインクを強引に吹いて瞬時にUVで固めていくんです。にじむ前に定着させちゃう。そういう手法なんです。
(※UVライトでインクを硬化して定着させる印刷方法。耐摩耗性などに優れるが製品へのダメージや印刷の難しさなどがあるようだ)
大北:何にでも?
原 :ある程度何にでも。
林 :下世話な話ですけど、素材と印刷でいくらぐらい?
原 :1平米あたり、8000円ぐらいですかね。布入れて。施工はもっと高いと思いますけど。あとはハトメ加工がいくらだとか縫製がいくらだとか加工は別に。

3m×7mの幕だとして21mで20万円くらいだろうか

長期のものに良いものを使う

大北:ここは日本でも最高峰の場所ですか?
原 :渋谷が一番ですね。
大北:そう考えると一番いい素材が使われてるはず?
原 :そんなことはないですね。もっと長期で使う1年とか2年ケースのほうが素材としてはグレードが高い。ここで2週間で変えるとなると、ボロボロになるはずがないので、耐久性がそこまでなくても許されちゃう。
大北:あ~、ここは激戦区ですぐ変わるんだ。

ハチ公前出口そばのレリーフの上にある大きな広告。これは幕ではなさそう

林 :この辺の小栗旬とかもそんなに長く貼らないんですね。
原 :弱い糊で貼ってあるんでしょうね。これはシートで分割して貼ってる。1200mmか、広くても1500mmの幅を横に分割してつなぎ合わせて貼ってく。
林 :貼るの大変そうですね。
原 :貼るの大変です。
大北:つなぎ目はわかるんですか?
原 :わからないと思います。でも近くに行くと、たとえばこの真ん中の縦のラインは分割ですね。

縦に線が入ってるのはここでシートが別れている

人が扱うから150cmくらいまで

林 :けっこう細かく分割されてますね。
原 :人の幅ってせいぜい1500mmぐらいまでしか貼れないんですよ。人が貼っていくので。
大北:あーなるほど、手の幅だ。
原 :機械自体も1500とか1600とか。せいぜいそんなもんです。
林 :ガラスの境目と貼る境目は別なんですね。
原 :ガラスはジャンプっていって、ガラスとガラスの間にコーキングが入ってる。ゴムみたいなものがあるじゃないですか。そこには付かないので、浮いちゃってシワが入るんです。斜めにシワが入ってるじゃないですか。これはどうしようもなくて。

ガラスの間にあるゴムみたいなところでシワになっているそうだ

林 :クライアントと揉めそうですね。
原 :先に言わないとシワ入ってんじゃんって話になる。あるあるです。
林 :印刷物施工あるある。

いったん広告です

代理店も制作会社も決まっていたりする

大北:こういう看板を出す場所はどっかの会社とか地主が持っているんですか?
原 :ここは多分ジェイアール東日本企画(jeki)さんが持っていて、JRさんから買い上げて、jekiさんがセールスして、たとえば電通さんが買ったりして媒体を入れる。
大北:媒体を買った会社がそこからまたお客さんを引っ張ってくるんだ。
原 :媒体によっては指定代理店制、買える代理店さんが決まってる場合も。ここはオープンだと思うんですけど。

これ全部媒体であり、それぞれに代理店があって制作会社がある

大北:このビルはこの会社しかだめとか。原さんはこの流れでどこにいるんですか?
原 :僕らは制作側です。たまに買って広告を入れることもありますけど。ただこういうところは施工会社が決まっているので。僕らだったら銀座や新宿で僕らが制作する場所を持っていて、(案件が)入れば僕らが制作施工する。
林 :制作の会社を指定するのは特性を知ってて慣れてるから?
原 :そうです。特性でここにシワが入るとか、持ち込みでやらせたけど剥がれてきたとか、印刷が汚いとかやっぱりあるので。

もはや赤が消えたりしない

林 :場所の特性って西日がすごく当たるとか、すぐに日に焼けちゃうとか?
原 :日に焼けるのは短期媒体だとほぼないですね。3年超えてから。今インクの特性がすごく良いので3年超えて新しいものと比べてみて、やっと日に焼けてるか分かるくらい。
林 :赤が消えたりしないんですか?
原 :しないしない。
大北:赤が消えるの掲示物あるあるだと思ってました。
原 :よく薬屋さんのポスターで日に焼けちゃって、女優さんが真っ青とかあるじゃないですか。あれはUVなどの加工をしていないので。UV加工のラミネートをすれば、まずああいうことはありえない。

過去の記事の写真で青くなったポスターがありました。右の人のことは忘れてください

林 :もうあの味わいはないんですね。
大北:対策はされているのか~。
原 :屋外だとそれはわかっているので、短期だろうが長期だろうが水性のインキを使うところはまずないですね。

このサロンパスは長期、送料無料と書かれているのは新しいので短期広告

林 :あそこの「送料無料」のヒカキンも短期だからそんなに丈夫ではない。
原 :貼ってるように見えるんですけど、あれもこことおんなじような幕で。あそこの関ジャニも幕です。シートって1枚ずつしか貼れないので、すごく時間がかかるんです。でも幕だと工場で全部つなぎ合わせた状態で、せーの!で上から被せれば。一瞬では終わらないにしても早いです。
大北:ということは10mくらいあるわけですか?
原 :あれ10(m)×10(m)だと思います
林 :どれぐらいの時間がかかるんですか?
原 :2時間ぐらいで終わります。
林 :すげえ。職人さんがやるんだ。
原 :こっちの方だと4時間ぐらい。終電後にしかできないから夜中に車入れてセットして、人配しながら、終わるのは4時とか5時。
林 :施工が一番高そうですね。
原 :施工が一番高いですね。作業車がそこそこ高いので。

終電終わってから高所作業車で作業をするそうだ

林 :人は何人ぐらい。
原 :貼るのは2人ぐらい。両方から貼れないので。順を追って貼っていくしかないんですよ。貼っていった後にどうしても5mmとか3mmとか合わせるじゃないですか。そうするとどっかで辻褄が合わなくなってくるので順番にしか貼れないんですよ。
林 :じゃあそんなに人がいっぱいいてもしょうがない。
原 :作業車を扱う人が1人と、貼る人と抑える人でせいぜい3人ぐらいでゴンドラ乗って。まわりは警備とか立ち会いの人とかいますけど。
林 :おもしろい!
大北:へ~、そういうことが行われてるんですね。
林 :ここから見える看板全部?
原 :全部ですね。

看板は内容よりも文字の見え方

林 :広告ってストーリー仕立てにしたり凝ったことするけど、看板はけっこうストレートですよね。おいしいハンバーガーをバーンと出したり。
原 :細かい文字をやっても読めないので。どのサイズだったら文字が見える?ってところが一番重要。
林 :この文字サイズ以下はダメですよとかありますか?
原 :そこの基準はないんですけど、校正を10分の1サイズとかで出すんです。10m×10mの看板なら1m×1mで出して、その比率でもって見たときにここから文字が見えるの見えないのって、やるところはやる。あとはシュミレーションもできるので。写真撮って、photoshop上で原稿当てはめて文字が見える見えないってけっこうやったりしてる。

林 :前にきぬた歯科(※屋外にたくさん看板広告を出している)にインタビューしたことあるんですけど、きぬた歯科みたいな看板は長期だから別の作り方?
原 :そうですね、あれは別ですね。

もんじゃとサロンパスと送料無料。へんな組み合わせである

林 :あそこのサロンパスとかと一緒の。
原 :ああいう感じで作る。あれは長期持つような、5年耐候とか、3年耐候の素材を使って、もっと建築的に作るというか。
林 :素材はなんですか?
原 :シートだと思いますよ。布ではなくて、3Mのシートとかだと5年耐用とか、防火認定が取れてますよとか、建築基準をクリアしてる素材があったりして。高いですけど。さっき金額8000円とか言いましたけど…1平米3万円とか。高いと思います。
大北:布でなくシートというのはなんですか?
原 :シール状のシート。裏を剥がすとシールになってて貼れる。
林 :鉄板があって貼る。
原 :鉄板があって貼ってるんだと思います。作ってないからはっきりとはわからないのですが。

高い看板は建築物扱い

林 :あれ、風で倒れないか心配ですね。
原 :高さ4mを超える看板は構造物というのになって、工作物申請というのが必要になるんです。広告じゃなくて、建築の世界に入っていって、建築基準法に合ってないとだめで、強度計算とか全部役所に提出しないと立てられない。
(4m超の看板、6m超の煙突、8m超の高架水槽などが建築確認が必要な工作物となる)
林 :高さ4m。
原 :自立にしろ、上に載ってるにしろ、壁にしろ、なんにしろ長期でやるものは4mの基準がある。

高さ4mを超えるような看板は工作物として建築の扱いになってくる

林 :あのサロンパスはずっと気になってた。
原 :もう長いですよね。
大北:長いと待ち合わせ場所になったりしますよね。
原 :サロンパスさんが3年に1回とか5年に1回とか改修工事に入ると、まわりがざわついて、サロンパスおりたの?って。そういう話があったりする。
林 :業界で。 

看板の効果はどうやって測るのか?

林 :原さんの会社は制作ですけど、出してどれぐらいの効果があったのかってどうやって測るんですか?
原 :効果測定は代理店によってされてるところはありますけど。ハチ公口から一日何人乗降客数が出てるよとか、スクランブル交差点で一回あたり何人が横断して、それが一日何回ですみたいな。
林 :見た人数で測るしかないですもんね。
原 :最近電通さんとdocomoさんがやってるLIVE BOARDって媒体は、見るとカウントする。どのぐらいのリーチが取れてるか。
林 :別の代理店でもそういうのを作ったって話を聞きました。1人見るたびにいくらって決めるというような。
原 :屋外広告はそれが永遠の課題で。本当に見てるのか。Webなら視聴率がとかクリック回数で分かりますが。

広告といえば渋谷新宿はトラックが頻繁に通ります

広告のトラックは光るシートで目立つ仕様

大北:今、広告のトラックが通ったんですけど、ああいうのも手がけたりしますか?
原 :あれはトラックを専門にやってる運営会社さんがいて、トラックを何台も持っていて、1週間でいくらって決まってる。
大北:ああいうのもフィルムとかで貼るわけですか。
原 :光を透過するFFシート。中が全部ライトボックスになっていて光が入るんです。透過するシートに出力して太鼓張り(※骨組みの表面に貼る貼り方、ふすまなど)してフレームで。
大北:ピカピカ目立つんだ。
原 :夜になるとすごい光るんです。昼間も常時点灯して走っているので。あれは最近LEDになりましたね。
林 :すごい走ってますね。
原 :最初の頃は数百万で走っていたのが、今は4分の1とかじゃないですかね。増え過ぎちゃって価格が崩壊してる。
大北:中はガラガラなんですかね。
原 :真ん中は何も入ってないですよ。LEDが全部に敷き詰められてる。

中にホストがぎゅうぎゅうに詰め込まれていたらいいなと思ってましたが、空っぽだそうです
いったん広告です

日本一、広告が目まぐるしく変わる街渋谷

林 :広告が多い街はどこですか?
原 :渋谷でしょう。
大北:即答で渋谷なんですね。
原 :渋谷以外で短期の媒体がこんなに集まってるところってあんまりなくて。新宿はありますけど、銀座も短期媒体減って長期媒体のほうが多くなった。渋谷は相変わらず109がシンボルになって。駅前のスクランブル交差点(が広告として一等地)っていうのは、距離が取れないと屋外広告を出す意味がないので。新宿はアルタ前がありますけど。
林 :ここは距離があるから見るのにちょうどいいんですね。
原 :銀座の4丁目の交差点だと意外にないんです。距離が近いし、中央区自体が景観条例で厳しく取り締まっている。

距離がとれるからここは広告激戦区なんだそうだ、なるほど!

大北:原さんはこの場所ならだいたいこれぐらいかかるなとか、広告媒体の借りるお金ってわかりますか?
原 :だいたいならわかります。渋谷の駅前だったら2面借りると1週間で900万ぐらい。ものによって違うし、実際公募されてる価格と売買されてる価格は微妙に違ったりするので。マルキューのところは1週間で1200万とか1500万って。
大北:たかたかたかたかっ!

大盛堂書店の看板も一週間で数百万円くらいの価値があるのか(自社ビルのようですが)

林 :もんじゃとかは勝手に書いてるんですね。
原 :あれは自社ビルですね。ちょっとシートに線がはいってます。シートを貼ってる。
林 :直に貼ってある。
原 :スパンドレルと言って、看板の下地材の板があるんです。その上に何もしないで貼るとああいう風になります。
林 :もんじゃ焼きめちゃめちゃ焼けてますね。
原 :あれはそうとう古いですね。何十年前だろう。

線が入っているのはスパンドレルという板状のものに直接貼ってあるから

大北:広告でなくお店の看板自体を頼まれたりします?
原 :します。
林 :ガラスに貼るこういうのも?
原 :やります。

屋外広告なのでこういうのも作る。

林 :ディスプレイ作ったりとかは?
原 :しますします。触るのは職業病です。これは水で貼らないとだめ。水を吹いてシートを貼って、水を押し出しながらシートを貼らないとゴミとか入るので。これは職人技です。

スパンドレルに直接貼った広告

原 :野口英世の看板。あれもスパンドレルですね。縦に細長い。さっきのもんじゃ焼きと同じような。
大北:なかなかないですね、こういう感じ。
林 :建物の外壁ではないですよね?
原 :違いますね。一層、パネルを立ててますね。あれは表面をツヤありのシートを貼っています。
大北:このパネルは一般的なものなんですか?
原 :スパンドレルは一般的なものです。わりと。
大北:うまく凹凸を見せないやり方もある?
原 :この上にもう一層パネルを貼るとか、そういうことをすれば出ないですけど。

小窓があって納豆キナーゼと書いてある。

林 :あそこに非常口がありますね。
原 :開けるようにしないといけなんでしょうね。行政からの指示で。
林 :納豆キナーゼというすごい小さい看板がある
原 :あれは見えないですね。
林 :よく見ないと気づかなかったな。
大北:せっかくだから貼ろうかってなったんですかね。

109前。大きな看板が多い。ところで1壁面に1種類10分の3までというルールがあるそうだ

10分の3ルールとグレーさ加減

林 :この辺も大きい看板がけっこう多いですね。
原 :一個の壁面に対して10分の3以上が広告になると、都の条例で出せない。100平米以内かつ、10分の3以下というルールがあるので。
林 :自分ちのビルで許可がいるなんて思わないけど、あるんですね。あっちの看板も10分の3以上あるんじゃないですか。
原 :この辺グレーになってると思います。
大北:店名の看板も広告扱いになるんですか?

上で切れてるので下の壁面で10分の3を見る

原 :なります。あそこは上が切れてるじゃないですか。上は屋上扱いで壁ではない。下の壁面に対して10分の3という形になる。
林 :10分の3かな、どうかな。
原 :ギリギリ大丈夫かな。計算してギリギリを狙ってる。
大北:1壁面にあるのが別の会社の看板がだったらいいんですか?
原 :別の会社なら大丈夫です。全体で10分の6以上広告になるとだめ。そういうルールがあるんです。
林 :この渋谷の109も。
原 :大丈夫ですね、大手のビルとかそういうところはきちんと守ってる。
大北:へえ~。

窓ガラスの内側に広告があるものは屋外広告ではない

屋外の掲示物は区のルールがある

原 :ああいうガラスの中に入ってる看板は室内として屋外広告扱いにならないんです。そういう裏技がある。
大北:屋外だと10分の3以下ルールが適用されるから室内にしてるんですか?
原 :あとそもそも屋外広告はお金を払わないといけないんです。5平米あたり3,220円とか。
林 :誰に払うんですか?
原 :役所に。許可申請をださないといけない。100平米だから64,000いくらですかね。
林 :短期のやつも払うんですか?
原 :あれも払ってる。
林 :自社ビルで壁に貼って、お金払わなきゃいけないのは納得しにくいですね。
原 :まともにやろうとするとお金を払わないといけない。
林 :払ってないといつか渋谷区がくるんですか。
原 :ここまで数があるとどうですかね。人数もそんなに多くなさそうだから取締できないと思うんですけど、たとえば銀座のど真ん中に無許可で一個ドーンと大きいのを出すとさすがにどうなってるんだって話にはなる。ちっちゃいものは追いきれてないから出てないでしょうね。

これはどういう扱いになるのだろうか?

林 :これは看板っちゃ看板(笑)。
大北:この辺に一枚ぺっとなんか貼ったら看板扱いになるんですか?
原 :なります。ただ、一つのお店の周りに何平米だったかな、10平米か5平米まで出していい、表札と同じ扱いをしてもらえるっていうルールもあってある程度猶予はあるんです。商業施設だと7平米だとかそこまでは許しますっていうのはあるんです。
(注:自治体によって異なるので看板を出す人は確認しましょう)

デザインなのか広告なのか?問題。役所の人と広告代理店しか直面しない問題

林 :こういう壁画は。
原 :これ見解が分かれて、渋谷区はどうかわからないですけど看板って見られるときもあるんですけど、渋谷区なんかは意匠扱いになるので、広告が隠れてなければたぶん言われない。
林 :デザインであると。
原 :その中に広告的な要素があるとあれ広告じゃないの?って言われちゃう。
林 :難しいですね

デジタルサイネージが内側にあるので屋外広告のお金を払わなくていい

原 :これなんかLEDも中なので広告料払ってないです。
林 :そう考えると広告も中のほうがいいですね。
原 :屋外だと耐久性の問題もあるので。
大北:ガラス一枚貼ってあれば中なんですか。
原 :中ですって主張できちゃう
林 :中で外に向けて置いてあるって変ですよね。

取材協力

後編につづきます

看板を見る目がみるみる変わっていく、屋外の広告専門家シリーズ、へぇがたくさんあるので後編につづきます!

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