米国の大麻市場 コロナで急成長 – 後藤文俊

BLOGOS

ウェストフィールド・サンフランシスコ・センターに先月オープンした「ジョイ・リザーブ(Joy Reserve)」。オシャレで落ち着いた雑貨店のような雰囲気の大麻ショップだ。しかし、ここでは大麻を販売していない。だからモールに出店も可能となる。

■不動産調査のレイスによるとモール空室率は2021年の第3四半期(7月〜9月期)で11.2%となった。モール空室率は前年同期の10.5%から0.7ポイントも上昇している。コロナ禍でモールから撤去するテナントが増えていることで空室率は昨年から悪化しているのだ。

モール側は歯抜けとなった空きテナントをなんとかして埋めたいと思っているが、物販で元気のある小売店はそれほど多くはない。

ただ、一つの分野だけ有望な市場がある。大麻だ。

マリファナの市場調査や分析を行っているBDSAは今年9月、米国内の大麻の今年の売上高が240億ドル(約2.7兆円)に達する見通しを発表した。

アメリカ国内では11月現在、36州で医療用大麻が合法化されており、嗜好用は19州で合法化されている。

アメリカのマリファナ売上高は、日本たばこ産業の2021年度の売上高予想となる2.2兆円をすでに超えているのだ。

連邦(国)レベルではまだ合法化されていないが、大麻市場は2020年から38%という大幅な増加となっているのは、大麻合法化の州が増えていることでマイナスイメージが払拭されているからだ。

またマリファナ市場の急成長は新型コロナウイルス感染拡大も影響している。

象徴的なのは嗜好用大麻を合法化しているカリフォルニア州などの多くの州で、大麻が食品や医薬品と同じように生活に必要な「生活必需品」として認められ、大麻ショップの業務が許可されたことがある。

外出禁止令により小売店やイートインのレストラン、映画館などが自粛に追い込まれる一方、大麻ショップは店頭販売に加えて電話やインターネットで注文を受け、顧客宅へ時短で配達するデリバリーサービスを行い売上を伸ばしたのだ。

こういった大麻ショップの時短&非接触の宅配もあり、BDSAでは国内のマリファナ市場が年率14%の成長を遂げ5年後となる2026年に476億ドル(約5.3兆円)に達するとの予測も発表している。

全米最多の人口となるカリフォルニア州がマリファナ市場の成長を牽引しながら、大麻合法化の州が加わることで巨大な市場に成長していく。

マリファナ市場は急拡大しつつも、モール側にとってはまだ手が出しにくい。

アメリカ国内にスーパーリージョナル・ショッピングセンター等を30ヶ所以上で展開するウエストフィールドでは4年前、連邦政府が認めない限り大麻ショップをテナントには誘致しないと発表した。

連邦レベルではマリファナをまだ許可されていないため、空きテナントが山のようにあっても大麻ショップを誘致できないでいるのだ。

しかし、この宣言とは裏腹にウエストフィールドに大麻ショップが先月オープンした。手のひら返しではない、モールがショールーミングを逆手に取ったのだ。

Source

タイトルとURLをコピーしました