400億円分のビットコインを保存したHDDをゴミとして捨てた人物は12年たってもなおHDDを探し続けている

GIGAZINE
2021年12月12日 18時00分
メモ



ビットコインの価値がほとんどなかった2009年に7500BTC(約400億円)を保存したHDDを捨ててしまった人物は、2021年時点でも市職員や埋立処分場の管理者と交渉し、HDDを探し続けているということが報じられています。

Half a Billion in Bitcoin, Lost in the Dump | The New Yorker
https://www.newyorker.com/magazine/2021/12/13/half-a-billion-in-bitcoin-lost-in-the-dump

2009年当時、イギリス・ニューポートでエンジニアとして働いていたジェームズ・ハウェルズ氏は、ビットコインが発表された直後からその存在に興味を抱き、オンラインフォーラムなどで情報を仕入れていました。そして、ハウェルズ氏は「複数のコンピューターが力を合わせる」という仕組みに魅力を感じてビットコインマイニングソフトを導入。ハウェルズ氏がマイニングを始めた当初はブロックチェーンに接続している他のPCがたった4台という状況でしたが、「実験や楽しみのため」におよそ1週間マイニングを行ったそうです。

しかし、同居していたガールフレンドから「PCの駆動音がうるさい」と怒られたことをきっかけにマイニングをやめ、その半年後に「レモネードをこぼした」という理由でPCを分解。HDDを残して全てのパーツを売却・廃棄し、7500BTCの秘密鍵やトランザクション履歴が入ったフォルダも「当時ビットコインを扱えなかったから」という理由で新しいデバイスであるiMacに移行しなかったとのこと。

その後、2013年になってハウェルズ氏は新聞で「ノルウェー・オスロの男性が1000ビットコイン(当時約2000万円)で住宅を購入」というニュースを見て仰天。ハウェルズ氏はそこで初めてビットコインに途方もない価値が付けられているということを知りましたが、慌ててHDDを探すも見つからず、最終的に家の掃除の際に捨ててしまったことが判明します。ハウェルズ氏は「HDDを捨ててしまった日のことを鮮明に覚えている」と話しています。

ハウェルズ氏はすぐにでも埋立処分場に行こうと考えたものの、当時のビットコインの知名度の低さからうまく状況説明できる気がせず、約1カ月間誰にも言わずに時を過ごしたとのこと。ハウェルズ氏が失ったビットコインの価格が600万ドル(約6億8000万円)を超えた頃、ようやくガールフレンドに事実を打ち明け、HDDを見つけ出すことを決心。埋立処分場に出向いて職員を説得したものの、ハウェルズ氏がそこで見たものはサッカーコート10~15面ほどの膨大なゴミの山でした。

しかし、埋立処分場の職員は「一般家庭のゴミを捨てる区画は決まっている」と述べ、ハウェルズ氏を勇気づけました。ハウェルズ氏は「HDDを見つけ出すことは不可能ではない」と確信したものの、ハウェルズ氏のゴミを掘り返すという行為に対し、市の許可が下りませんでした。ニューポート市議会は「埋立処分場での宝探しは許可しない」「もしHDDが発見された場合はハウェルズ氏へ返却する」とコメントしましたが、後に「もし発見されても壊れてしまっているだろう」と述べるに至っています。


ハウェルズ氏は市のコメントにもめげず、HDDの製造元に連絡を取って「防食性のため頑丈である」ということを確認したり、NASAの焼けたスペースシャトルからデータを回収したという企業に連絡を取って「ビットコインの秘密鍵が保存されたわずか32kBのディスクスペースが無事であれば、80~90%の確率でデータを取り出せる」ということを確認したりしたとのこと。

また、ハウェルズ氏はHDDを採掘するためのフォーラムを立ち上げて資金や情報の収集も試みています。これには「本当にたった1週間で7500BTCも集められたのか」といった疑問の声が寄せられた反面、「超能力者のチームを派遣する」「あなたについての映画を作りたい」といった協力的な声も寄せられたとのこと。

ハウェルズ氏はその後も市当局や英国議会の地元議員に発掘の許可を求め続けます。ハウェルズ氏はエンジニアとしての手腕を生かし、何年にもわたって洗練された戦略を組み立てたとのことで、最終的にはヨーロッパのビジネスマン2人と「収益を3分割すること」を条件に契約し、埋立地を掘り起こせる力を持った企業とも計画を進めているとのことです。


2021年10月、ハウェルズ氏に面会を行った海外メディアのThe New Yorkerは、ハウェルズ氏について「パリッとしたシャツを着ており、車はコンバーチブルのBMW、全体的な印象は無駄がなく効率的」と記しています。ハウェルズ氏は地元メディアやオンライン上でバッシングを受けたこともあったものの、HDDを採掘する意思は固いという旨を告げ、ニューポートの街を案内しながらビットコインや採掘計画について話してくれたとThe New Yorkerは述べています。なお、ハウェルズ氏は現在もビットコインの取引を行っており、その保有額は約5億3000万ドル(約600億円)分だとのことです。

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