小室夫妻 日本の年金受け取れる? – シェアーズカフェ・オンライン

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去る11月14日、小室圭さん、眞子さん夫妻がニューヨークに向けて出国されたことが報じられた。

お二人は10月26日に婚姻届を提出された。皇族だった眞子さんには新たに戸籍が作成され、2週間余りで戸籍謄本や住民票などを取得し、パスポートやビザを手に入れられた。

ニューヨークに向けて出国された際、おそらく渋谷区にある住民票も除票されたと思われるが、短期間であっても戸籍が作成されてから出国するまでは国民健康保険や国民年金には加入しなければならない。

では海外に出国した後、小室夫妻の国民健康保険や国民年金はどうなってしまうのだろうか。ニューヨークに移り住んだ後、日本の年金を受け取ることはできるのだろうか? あまり知られていないが、海外に住む日本人でも国民年金の加入は続けられるし、海外に住んでいても65歳になったら老齢基礎年金を受け取ることもできる。

小室夫妻を例に、意外と知らない海外居住者の国民年金制度について考えたい。

■約半月だけ日本に住所を持った小室眞子さんと国民年金
国民年金というと、40年保険料を払い続けても年間で78万円余りしか支給されず老後の備えにならないというネガティブなイメージがある。しかし、65歳で支給され始めると約10年で支払った保険料の元が取れ、以後死ぬまで支給される。日本の平均年齢は男が81歳、女が87歳なので、過半数を大幅に上回る高齢者が損をしないお得な金融商品であるともいえる。

ご存じのとおり、日本に居住する20歳以上60歳未満の人であれば外国人も含めて国民年金への加入は義務だ。

現在30歳の小室眞子さんは、10月26日に皇族から離れたことにより日本国民となり、日本国内に住所を有することになった。約半月とはいえ、日本国内に住所を有しなくなった日までは国民年金への加入義務があり、1月分16610円の国民年金保険料を納付することになる。もちろん日本を離れる前に国民年金保険料とともに国民健康保険料もすでに納付されたと拝察する。

■海外居住者の国民年金加入制度
出国した翌日以降は保険料を納付しなくてもいいのだが、任意で保険料を納付し続けることはできる。これが海外居住者の国民年金加入制度だ。

小室眞子さんが渡米後も国民年金に継続加入したい場合には、事前に住民票のある渋谷区の窓口か渋谷年金事務所に年金手帳、預(貯)金通帳および金融機関への届出印を持っていけば受け付けてもらえる。

保険料は原則として金融機関から自動引き落としでの納付となる。国内にいる親族等の協力者が本人の代わりに納付する方法もある。ただし金融機関によっては海外在住者には日本国内での預金口座の取得を認めないこともあるから注意が必要だ。

出国前のあわただしさから、加入手続きをしないまま出国してしまう場合もありうる。この場合は小室眞子さん自身がニューヨークから日本に戻って加入手続きをする必要はない。日本に居住する親族等にあたる、小室圭さんのお母さんやお祖父さんなどが代わりに年金事務所に届を出せばよいのだ。

■小室夫妻に年金はいくら支給される?
海外居住者が国民年金に加入した場合いくら支給されるのか、小室夫妻を例に考えてみる。

海外居住者であっても国内居住者と同じように、国民年金には最大480月(40年)加入できる。小室圭さんは学生だった20歳に達したときから国民年金(銀行員、日本の法律事務所員時代は厚生年金)を納付していれば、60歳まで毎月納付し続けることで65歳になると満額の年間約78万円の年金が生涯支給される。

30歳から加入を始め、海外に居住することになった小室眞子さんについても原則は60歳までだが、特例で65歳まで保険料を納付できる場合もある。加入期間が420月(35年分)になれば、65歳から年間約68万円(78万円x35年/40年)の年金が支給される。

そのほかにも、もし保険料を納めている期間に初診を受けた病気やけがで障害が残ったときには、障害基礎年金を請求できる場合もある。この場合は障害の程度に応じて満額の年間約78万円またはその25%増しの年間約97.5万円が支給される。

ちなみに国内居住者と同様に、年金は65歳になったから自動的に支給されるわけではない。年金事務所に申請しないかぎり支給はされないので、この点は注意が必要だ。

海外に居住して65歳になっても年金が振り込まれないというのは、海外にいるばかりに払った保険料が踏み倒されたわけではなく、単に年金事務所に支給申請をしていないだけなので安心してほしい。

■小室夫妻がアメリカ国籍を取得したら
では、今年ノーベル物理学賞を受賞した眞鍋淑郎博士のように、小室夫妻が将来アメリカ国籍を取得した場合はどうなるだろうか。この場合は、日本国民でなくなった日の翌日から国民年金には加入できなくなる。日本国籍がなく海外に居住する人まで含めてしまうと、全世界の人々が国民年金の加入対象者にもなりかねない。

仮に小室夫妻がアメリカ国籍を取得して、国民年金の加入資格を失うことになったとしても、今まで納付した保険料が掛け捨てになることはない。

平成29年8月から年金の受け取りに必要な資格期間が短縮され、120月(10年)保険料を納付すれば、満額の1/4の年間19.5万円は65歳から生涯支給されるようになったからだ。

小室圭さんであれば、20歳から毎月保険料を納付し続けていていれば、すでに10年以上保険料を払ったことになる。今すぐアメリカ国籍を取得しても、加入期間約10年分の年金が65歳から生涯支給される。

小室眞子さんも、日本で1月分の納付実績があるはずなので、20歳から30歳までの10年間が年金を受給するための資格期間に含まれるという特例が適用されるのであれば、ニューヨーク居住後に保険料をまったく納付しなくても、1月分の納付に対応する年間約1630円(年により増減)が65歳から生涯支給される。 10月に支払った保険料は16610円なので、この場合も支給が始まってから約10年で元が取れることになる。

海外居住者の国民年金加入制度は、いろいろな事情で海外に居住する日本国民にとってありがたい制度といえるだろう。

なお日本とアメリカの間には年金に関する社会保障協定を締結している。二重加入やそれぞれの国における保険期間の通算の問題もあるのだが、本質にかかわる話ではないので本稿では捨象し、国民年金制度の解説のみにとどめた。機会があれば稿を改めて解説したい。

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河野創 青山人事労務代表/社会保険労務士

【プロフィール】
MBAを持つ社会保険労務士。大手企業で社内起業し自らも14年間海外子会社を経営。中小企業社長の気持ちや悩みがわかるコンサルタント。海外人事労務のほか、採用、教育、人事評価制度構築や資金繰りまで幅広くアドバイスを行う。説明調になりがちな人事労務をわかりやすく解説。趣味は10代からの大相撲観戦で、親しみやすさが魅力の照ノ富士のファン。将棋アマ五段、自分で着物を仕立て(和裁)、歌舞伎・能・狂言鑑賞と和の世界に没頭。

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