サイバー犯罪者が違法取引を行う「ダークウェブ」に犯罪者のための「裁判」が存在する

GIGAZINE
2021年12月10日 07時34分
メモ



犯罪行為が起こった時や個人間で問題が発生したときには、「公正な裁判で解決を図る」ことが基本です。違法薬物や児童ポルノ・子どもの個人情報の売買など、違法取引が多く行われているダークウェブでも同様の問題が発生するものの、当然のことながら公の司法機関は利用できません。そこで、サイバー犯罪者の紛争解決のために、ダークウェブ独自の「裁判」「仲裁」が行われていると、サイバー攻撃を検出、収集、分析、および管理するプラットフォーム「Analyst1」が明かしています。

Dark Web – Justice League – Analyst1
https://analyst1.com/blog/dark-web-justice-league

ダークウェブの裁判は、一般的な司法制度と同じく、対立する2者の紛争からスタートするとのこと。例えば、あるサイバー攻撃を計画する攻撃者がネットワークアクセスを購入したところ、同じアクセスがそれ以前に何者かに購入されていたことが判明したとします。当然ネットワークアクセスを購入した攻撃者は返金を求めることになりますが、販売者が返金を行わないケースもあります。このような時にダークウェブの仮想裁判が開かれるとのこと。サイバー攻撃はロシアを拠点としていることが多いのですが、ロシア以外の文化圏でも「ダークウェブ裁判」「ダークウェブ仲裁」は存在するそうです。

具体的には、まず原告が「裁判」「仲裁」というタイトルの専用サブフォーラムでスレッドを開き、以下の詳細情報を公開します。

・自分の主張
・被告のニックネーム(プロフィールへのリンクを含む)
・被告の連絡先情報(Telegram、メールアドレスなど)

下記の情報に加え、詐欺はチャットログ、スクリーンショット、暗号通貨取引といった証拠となる情報を提出する必要があります。


そして事件に「仲裁人」が割り当てられ、仲裁人は尋問を開始。被告には反訴の機会が設けられます。最終的には評決が行われ、被告が無実あるいは証拠が不十分な時には、そのまま終了します。しかし、仲裁人が被告を有罪だとみなした時には、有罪となったサイバー犯罪者は期間内に下された内容を遵守する必要があるとのこと。評決に従わなかった場合には、将来的な地下フォーラムでの活動が禁じられることになります。

最初にロシア語でフォーラムが作成されて以来、これまでに作成された裁判のスレッドは600件に上る、とAnalyst1は述べています。また、サイバー犯罪のコミュニティは事件でやりとりされた金額の大小で事件の優劣を判断せず、全てを平等に扱うそうです。また透明性を確保するために、フォーラムのメンバーは全員が公聴プロセスに参加し、コメントする権利を持ちますが、陪審員制度はありません。

補償額の中央値は数百ドルから数千ドル(数万円から数十万円)ですが、2021年4月には、ランサムウェア「Conti」関連の著名なサイバー犯罪者が200万ドル(約2億3000万円)で訴えられました。1か月半にわたる裁判ののち、原告の主張は却下されたとのこと。なお、2021年5月時点において、ランサムウェア関連のトピックは禁止されており、Analyst1は「石油輸送パイプライン食肉業者JBSなどに対する大規模なランサムウェア攻撃がヒートアップする中で、この禁止は興味深いことです」とコメントしています。

また、いくつかのケースではだまされた犯罪者が相手側の身元をあばくという、個人的な報復が行われます。実際に、Analyst1はだました犯罪者の住所・ソーシャルメディアアカウント、電話番号、親族の情報などが公開された際のスクリーンショットを入手しています。


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2021年12月10日 07時34分00秒 in メモ, Posted by logq_fa

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