新卒の「大企業へ就職」は負け? – 川北英隆

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先日、ある所で議論していると、「大企業への就職は負け」との発言に遭遇した。もちろん極論なのだが、「そらそうやな」と感じるところがあった。

最近、卒業を控えた大学生に一番人気がある就職とは、起業かコンサルタントらしい。

コンサルタントについてはアホな著名業者を見ているので、あまりお勧めではない。そもそも外資系のコンサルにおいては学位が重視される。起業も成功しない可能性が極めて高い。

とはいえ、大企業に「寄らば大樹の陰」の意識で就職するのが最悪なのは間違いない。

一言で表現するのなら、その大樹が朽ちる寸前かもしれないとの危惧である。ゼミ生を指導していた頃、経済学部だから金融機関志望の学生が多かった。でもあまり勧めなかったところ、「そしたら、どこに行けばいいのか」との質問が飛び出した。それに対し、「とりあえず就職してみたらええやん」「でも、ちゃんと勉強して転職できるようにしておくこと」と答えたと思う。

大企業は組織として一応確立している。「一応」の意味は、大きな齟齬がないとのことである。一方で発展性に乏しい。そんな大企業の組織を観察し、「学ぶべきこと」「あかんとこ」を把握することが重要である。その体験が将来のキャリアに活かせる。もちろん、関心のある分野の専門性を自分自身で高めることは必須である。

その上で、転職するか、起業すればいい。それが、今の日本で生きる最善の道だろう。その結果が起業であってもいいし、伸び盛りの企業に勤めること、外資系に転職すること、何でもいいと思う。

大企業(歴史のある著名企業)で定年まで勤めようとすると、現状では上司に大きく逆らえない。自分の意見を遠慮がちに述べることしかできない。その結果はというと、勤めている企業の衰退である。みすみす発展のチャンスを逃してしまう。面白いはずがない。そんなことで無為に20年、30年という歳月を過ごしていいのだろうか。

もちろん、大企業のトップになり、その企業を大きく変えようとの意気込みを否定するものではない。その意気込みで大企業に就職し、経営を変えられれば大きな満足が得られる。すごい力が必要だが。

いきなり起業するのか、大企業などの既存企業で基礎を学ぶのか、大企業を変革しようとの信念に基づいて働き続けるのか。いずれにしても、「寄らば大樹の陰」的な意識でいると不満に苛まれることだけは間違いない。

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