慣習で潰される文書通信費の改革 – 音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

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こんばんは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。

本日、議院運営委員会が行われ、ずっと議論が続いている1ヶ月100万円の非課税・領収書なしOKの議員特権「文書通信交通滞在費」の改正案が事実上潰されることが決まりました。

色々な話が複雑に絡み合っているので解説が難しく、全貌は遠藤国対委員長・藤田幹事長の記者会見を見ていただきたいのですが、私の方でもできるだけ詳しく説明をしてみたいと思います。

私たちは最低でも「日割り支給・領収公開・残額は返金」の3点を可能にする法改正案を、臨時国会で提出すべく準備をしていました(特に重要なのは領収書=使途公開!)。

そこに与党・自民党が仕掛けてきたのが「国会が始まる前に、議運(議会運営委員会)で日割り支給部分だけ法案を通してしまおう」という奇襲的な動き。

古い政治家たちが困るのは使途公開を義務づけられることで、日割り支給になったとしても、選挙のある月以外はほぼ無関係でダメージはありません。

国会には、

「全会派が一致できる議員立法なら、委員長提案として審議プロセスなしで可決できる」

という慣習・手法があります。本来、議員立法というのは提出者に対して他の議員・会派が質疑を浴びせるのですが、全会派一致なら質問する人はいないから審議の必要はないよね、ということです。

自民党の策略は、各党の議員立法提出の準備が整う前に「各党の提案すべてに『日割り支給』が入っている。だからまずはこの一致点だけ先に合意して、法改正をサクっと進めましょう」と握ってしまうことだったわけですね。

これには報道の通り立憲民主党も乗っかっており、だからこそ本日3日に議運が開催されるに運びになりました(国会運営の流れを決めるのは、基本的に与党と野党筆頭の協議です)。

これはたしかに与党と野党第一党が結託した上手い(小賢しい)手で、私たちも少なからず動揺しました。

確かに日割り支給の提案は入っていて、一歩前進とも言える。まずはここだけ改正するのもありではないか。反対したら、「改革に反対した連中」とレッテルを貼られるのではないか…。

しかしここで合意してしまったら、自民党は「改革が進んだ」ことを口実に、領収書公開などには絶対に手を付けないことは明らかです。

維新や国民民主党は議運では「全会派一致」を目指す自民党案に乗らないことを決定し、具合が悪くなった立憲民主党もなぜか結局は反対することになり、本日の議運では改革は先送りされました。

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