医師が語る入国停止に2つの意味 – ABEMA TIMES

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 世界各国で感染が確認されている新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」。日本では11月30日から外国人の入国の原則禁止を決めるなど、感染拡大防止に向け、水際対策の強化が進められている。

【映像】デルタ株より強い感染力か 「オミクロン株」の特徴(30秒ごろ〜)

 厚生労働省のクラスター対策班で京都大学ウイルス・再生医科学研究所の古瀬祐気氏は、この状況をどのように見ているのだろうか。古瀬氏は「まだ疫学的なデータは何も集まっていない」とした上で、オミクロン株の特徴についてこう話す。

「今までの研究でわかっている変異の種類が今回オミクロン株にありました。オミクロン株には、今までのウイルスの株とは違った免疫反応をするところがあって、それによって今までの株に感染したことがある人でも、また感染する可能性があります。また、細胞にくっつきやすくなる変異がアルファ株にもありましたが、これと同じものがオミクロン株にもあります。加えてデルタ株では、細胞にくっついた後に入りやすくなる(感染しやすくなる)ような変異を持っていましたが、オミクロン株はこれも持っています。おそらく伝播力は上がっているでしょう。ただ、繰り返しますが、これは今までの実験でわかっていたことであり、それが人の世界でも本当にそうかどうかは、まだ誰もわかりません」(古瀬祐気氏・以下同)

 オミクロン株が、デルタ株よりさらに強い感染力を持っている可能性はあるのだろうか。

「もちろんあります。実際にデルタ株が主流だった南アフリカでは、このオミクロン株が広まってから感染の割合も増えていますし、実際に感染者の数も増えています。『感染力が強そうだ』ということはわかっていますが、それは複数の場所で複数の感染者が確認される必要がありますので、今は『そうかもしれない』という段階です」

 製薬会社各社はワクチンの有効性を検証するなど、対応を急いでいる。そもそも、オミクロン株にワクチンは効くのだろうか。古瀬氏はワクチンについて「効果が落ちる可能性はあるが、全くゼロになるわけではない」と話す。

「第5波で、日本では多くの人がワクチンを打ちました。ワクチンを打つとだんだん(抗体が減って)免疫が弱ってしまうのですが、弱ってくる効果がまだ見えていない、打ったすぐの状態でうまく収束させることができました。一方で、ワクチンの接種が早かったアメリカやヨーロッパの国々では大きな波が来ています。これは、オミクロン株だから大きな波が来ているわけではありません。ワクチンを打ってしばらく経った後に、免疫が落ちてしまうせいで、大きな波になっているのです。今はワクチンを打ち立ての人が多くて、良い免疫がついていますが、オミクロン株のあるなしに関係なく、時間が経てば次の波が来る蓋然性は高いと思います」

「今回のワクチンがオミクロン株に効くかどうかについては、先ほど申し上げた通り、オミクロン株は、これまでの変異株と少し違う変異がありますので、ちょっと効果が落ちる可能性はあります。ただ、落ちるかもしれないといっても、ワクチンの効果が全くゼロになるわけではありません。南アフリカでも、人口の3割弱が2回目のワクチンを打っています。打っていない人が70だったら、打った人が30いる。この状態でワクチンの効果が何もなかったら、南アフリカにいる(新型コロナの)入院者が、ワクチンを打っていない人と打った人で同じ割合になるはずなんです。ところが、オミクロン株が広がっているこの状態において、入院している方をみると、人口全体における70よりも高い割合でワクチンを“打っていない人”が入院している。ちょっとややこしい話ですが(同じ割合にならないということは)、ワクチンがどの程度効くかはわかっていないものの、かなり高い確度でオミクロン株に対しても有効性を持っているだろうと言えます」

 29日、外国人の新規入国を停止する考えを明らかにした岸田総理。30日午前0時より、全世界に対して日本への入国を禁止し、邦人についても南アフリカなど9カ国に加えて、感染が確認された14の国と地域から帰国する場合は「リスクに応じて指定施設における厳格な隔離措置を実施する」と臨時かつ異例の措置を取るとした。

 この政府の判断に、古瀬氏は「南アフリカだけを対象とするよりは、科学的に妥当な判断だと思う」とコメント。

「オミクロン株を最初に報告したのは南アフリカですが、初めに見つかったのは南アフリカとは違うボツワナという国です。オミクロン株は世界各国で見つかっていて、それらの国を無視して南アフリカだけを制限する対策を取っている国が世界でいくつかありますが、それよりも対象を世界中に広げることは、科学的に考えて妥当な判断だと思います。オミクロン株は世界中で見つかり始めていて、遺伝子の解析は、世界中どこの国でもできるわけではありません」

 また、ウイルスの拡大を抑えるという点において、入国停止措置には「2つの意味がある」と古瀬氏は語る。

「1つ目の意味は、この措置によって、入ってきた変異株が広がるタイミングをおそらく遅くできます。ウイルスは、一部の人が強い感染力を持っていたり、あるいは社会的にアクティブだったりしてたくさんの人と会って移す可能性が高くなっています。それ以外の方(感染者)は、ほとんど人に移さないんです。イメージとしては、サイコロを1回投げて『1』が出たら感染が拡大してしまうと考えてください。何も制限をしないということは、毎日毎日10回も20回もサイコロを振ることになります。それでは数日のうちに『1』の目が出てしまう。邦人はこれからも日本に入国できるわけですが、(入国停止によって)サイコロを振る回数が変わるんですね。いつかは『1』が出てしまうんですけれども、それを遅らせることができる。その間に日本の医療体制が整備できるかもしれませんし、あるいは少しずるいですが、海外のデータを先に見ることで病原性や、ワクチンの効果など、程度データを持った時点で迎え入れることができるかもしれません」

「2つ目は今回、政府から強めのメッセージが出たことで『これからもかなりの覚悟と備えが必要ですよ』と国民にメッセージを送ることができた。感染が下火になってきて、それはすごく素晴らしいことですが、だからといってこれで終わりではないんですよ、と」

 30日、日本国内でもオミクロン株の感染者が初めて確認された。古瀬氏は「水際対策で感染拡大を防ぐなら今だ」と呼びかける。

「(水際対策で)全部の感染が見つかるわけではありません。ナミビアから入国した方がオミクロン株で陽性だとしても、何も大騒ぎする必要はないです。当然、あちらの地域で流行っているものがあって、それがきちんと空港で見つかった場合、その人は隔離されます。なので、おそらく市中には広がらないでしょう」

「こういう水際対策をしていくことは、サイコロを投げる回数を減らすだけであって、サイコロの面の数を増やせるとかそういうことではありません。6個ある面のうち『1』が出たら広がってしまうという状況は変わりません。ただ、サイコロを1日何回投げるのか。その回数を調整し、減らすことを目指すのが水際対策であると理解いただきたいです」 (『ABEMAヒルズ』より)

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