鬼束容疑者への「いじり」に苦言 – 常見陽平

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鬼束ちひろが逮捕された。救急車の後部のドアをけってへこませたという。器物損壊の現行犯逮捕だ。知人の女性のために救急車を呼んで、通行人とトラブルになったそうだ。本人も容疑を認めているという。

いかなる理由であれ、救急車は患者を運ぶためのものであって、サンドバッグではない。蹴って凹ませてはいけない。

ただ、鬼束ちひろ逮捕をめぐるTL上の言葉で、私自身も激しく傷ついてしまった。カッコつきで説明するが「メンヘラ」というコメントである。彼女の過去のビジュアルなどを利用した大喜利まで始まった。

たしかに、過去に彼女の言動が明らかに奇異に感じる時期があったことは事実ではある。ログも残っているし、報じられてもいる。特に一部の著名芸能人に対する誹謗中傷、さらには脅迫は容認されるべきものではない。

ただ、状況もよくわからないままに、逮捕の事実だけで「メンヘラ」を「いじる」のもこれまた暴力的である。そして、仮に心の問題があったとしたら、なおさら「いじって」はいけない。本人の自己管理や、心の強さだけの問題ではないからだ。そもそも、アーティストは存在自体が不安定でもある。

もう1回言っておくが、救急車を蹴ってはいけない。ただ、過剰なまでの「メンヘラいじり」もいかがなものかと思った次第である。

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